Grokを使ったXのソーシャルリスニングは、2026年の秋に大きく変わりました。これまでは、担当者がGrokに「今週、自社の製品は何と言われているか」とその都度たずねる使い方が中心でした。2026年10月からはAIエージェントの「Grok Bot」にXの検索と監視を任せ、毎朝決まった時間に結果をまとめさせられます。

Grok Botは、Grokを開発するSpaceXSIが2026年8月に公開したAIエージェントです。SpaceXSIは、2026年2月にSpaceXが買収したxAIの今の名前です。Grok Botは8月29日にXとの連携が始まり、10月11日の更新で、Xのアカウントを連携しなくても公開の投稿を検索して読めるようになりました。

この記事は2025年に公開した記事を2026年10月17日時点の公式情報で全面的に書き直したものです。BtoBマーケティングの担当者に向けて、Grok Botでできること、料金、BtoBで監視すべきテーマとプロンプト例、無料で始める方法、設定手順、導入前に情シスと確認する点をまとめています。費用をかけずに今日から始めたい方は「無料でXのソーシャルリスニングをする方法」から、導入の審査をする方は「導入前に情シス・法務と確認すること」から読んでください。

先に結論をまとめておきます。

  • Grok BotはXの投稿の検索・閲覧・監視ができるAIエージェント。公開の投稿なら、Xのアカウントを連携しなくても読める
  • 「ルーチン」に登録すると、毎朝や毎週の監視を自動で回せる。Grokにその都度たずねる使い方から、AIに見張らせる使い方に変わった
  • 料金は2026年10月12日に始まった「The X Subscription」のPremium(月30ドル、税別)から。従来のSuperGrokやCursorの有料プランでも使える
  • 無料でも始められる。Grokのチャットと定時に動く「Automations」、Xの高度な検索、Yahoo!リアルタイム検索を組み合わせる。業務で使う前に社内のAI利用ルールを確かめ、入力した内容を学習に使わない設定にしておく
  • BtoBでは言及の件数より「誰が何を言ったか」が大事。自社と競合への言及、比較や乗り換えの相談、障害の報告、業界の論点を拾う
  • 自社名の言及が少ない業界では、製品カテゴリや業界の言葉、展示会の反応を見る。先にYahoo!リアルタイム検索で30日分の件数を確かめてから、監視するテーマを決める
  • Grok Botは、取得できる投稿数の上限が公開されておらず、漏れなく集める道具ではない。漏れのない収集や長期の推移、X以外のSNSの監視は、専用のソーシャルリスニングツールのほうが向いている
  • 導入前に、契約先、学習への利用、データの保存、退職時の処理を情シスと確認しておく。監査ログが必要ならEnterpriseプランになる

この記事でわかること

  • Grokのソーシャルリスニングが2026年に何から何へ変わったか
  • Grok Botとは何か、Grokのチャットや@grokとの違い
  • Grok BotでXについてできること・できないこと、料金
  • BtoBマーケティングで監視すべき5つのテーマと、そのまま使えるプロンプト例、結果の例
  • 自社名の言及が少ない業界での使い方
  • 無料でXのソーシャルリスニングをする方法
  • Grok Botで毎朝のX監視を自動化する手順
  • 情シス・法務と確認すること、専用ツールとの使い分け

Grokのソーシャルリスニングは「たずねる」から「見張らせる」へ

2025年までの使い方

2025年までのGrokのソーシャルリスニングは、チャットで質問する形でした。「過去1週間の〇〇に関する投稿から、不満と要望を抜き出して」と頼むと、GrokがXの投稿を検索して答えます。手軽な反面、担当者が毎回質問しなければならず、聞き忘れた週の変化は記録に残りません。結果を社内で共有するにも、回答を手で貼り付ける必要がありました。

2026年からのGrok Botの使い方

Grok Botに監視の条件を一度伝えておけば、「平日の朝8時」のような決まった時間に自動で調べ、結果を会話に残してくれます。Slackなどの業務ツールとつなげば、チームで結果を見ることもできます。Grokのチャットでは質問するのが担当者の仕事でしたが、Grok Botでは監視そのものをAIに任せられます。

Grokのチャットにたずねる使い方と、Grok Botに見張らせる使い方 左はGrokのチャット。担当者が質問を考えて入力し、GrokがXを検索して答え、回答を手で社内に共有する。聞き忘れた週は記録が残らない。その場の調査に向き、無料から使える。右はGrok Bot。ルーチンが平日8時に起動し、Grok BotがXを検索して分類し、結果を会話に残してSlackへの文面を下書きする。担当者は確認と承認だけを行う。継続的な監視に向き、The X SubscriptionのPremium(月30ドル)から使える。 Grokのチャット 担当者がその都度たずねる Grok Bot 決まった時間にAIが調べる 1 担当者が質問を考えて入力 1 ルーチンが平日8時に起動 2 GrokがXを検索して答える 2 Grok BotがXを検索・分類 3 回答を手で社内に共有 3 会話に残しSlackへ下書き 4 聞き忘れた週は記録が残らない 4 担当者は確認と承認だけ その場の調査に向く 無料から使える 継続的な監視に向く Premium(月30ドル)から
図1 Grokのチャットにたずねる使い方と、Grok Botに見張らせる使い方の違い(SpaceXSIの公開情報をもとに当社作成)

Grok BotとXの連携に関する主な発表

日付 発表 内容
2026年8月11日 Grok Botを公開 自分のクラウド上のコンピュータを持ち、24時間動くAIエージェント
2026年8月26日 対象プランを拡大 SuperGrok、Cursor Pro、Cursor Teamsの全プランで使えるようになった
2026年8月29日 Xとの連携を開始 Xのアカウントをつなぐと、投稿の検索やタイムライン、メンションの確認ができる。有料ユーザーには無料のX APIクレジットが付く
2026年9月3日 Enterprise向けに提供 組織全体への展開と管理機能
2026年9月28日 Team Botsを公開(ベータ) 1つのBotをチームで共有し、Slackのチャンネルでも使える
2026年10月8日 Xの検索・閲覧・監視に対応 公式アカウント(@bot)が「Grok Bot can now search, read, and monitor X.」と投稿
2026年10月11日 アプリの更新(v0.70.2) Xのアカウントを連携しなくても、投稿とプロフィールを検索・閲覧できるようになった
2026年10月12日 The X Subscriptionを開始 Grok、Grok Bot、Cursor、X Premiumをまとめた新しい料金プラン

※10月8日はXの投稿日時(日本時間)、それ以外はSpaceXSIの発表日です。

Grok Botとは?Grokのチャットや@grokとの違い

Grok BotはSpaceXSIが2026年8月11日に公開したAIエージェントです。公式には「always-on agents(常に動いているエージェント)」と紹介されています。Botごとに名前と役割を決めて作り、仕事を任せる使い方です。

Grok BotはAIを使ったプログラミングのツール「Cursor」と一緒に提供されています。Cursorを運営するAnysphereは、2026年6月にSpaceXが買収を発表した会社です。そのため、公式ドキュメントではGrok BotにCursorのアカウントでサインインし、Cursorが運営するクラウド上のコンピュータで動くと案内されています。

主な特徴は次のとおりです。

  • Bot専用のパソコンがクラウド上にあり、人と同じようにブラウザやファイルを使う。自分のパソコンやスマートフォンを閉じても作業を続ける
  • 業務アプリにコネクタ(連携機能)があればそれを使い、なければ人と同じように画面を操作する
  • うまくいった手順を「スキル」として保存し、「ルーチン」として決まった時間に実行できる
  • 複数のBotを並行して動かし、Bot同士で仕事を引き継げる。1つのBotをチームで共有する「Team Bots」もある

使うモデルはGrokと同じ系統です。2026年9月21日に発表されたGrok 4.7は、Grok Botの仕組みに合わせた学習も受けています。AIエージェントがBtoBマーケティングの仕事をどう変えるかは、「BtoBマーケティングの今後の展望|AIエージェントで何が変わるか」でも解説しています。

Grok・@grok・Grok Bot・@botの違い

名前の似たものが4つあるので、ソーシャルリスニングでの使い道とあわせて整理しておきます。

名前 使う場所 動き方 ソーシャルリスニングでの使い道
Grok(チャット) grok.com、Grokアプリ、XのGrokタブ 質問するたびに、Xの投稿やWebを調べて答える その場の調査や、話題の背景を知るとき
@grok Xの投稿へのリプライ 呼び出された投稿に、公開の返信で答える 個別の投稿の補足を知るとき。返信は誰でも見られる
Grok Bot デスクトップアプリ、モバイルアプリ 自分のコンピュータで作業を続け、決まった時間にも動く 継続的な監視と、チームへの共有
@bot Xの投稿へのリプライ タグを付けた投稿を、自分のGrok Botに仕事として渡す 気になった投稿を、Botの調査に回すとき

@botはX上で気になった投稿に「@bot」を付けてリプライすると、その投稿をGrok Botに渡せる機能です。X上には受け付けたことを伝える短い返信だけが表示され、調べた結果はGrok Botのアプリに届きます。

ただし、@botを付けたリプライは自分のアカウントからの公開の投稿です。競合の投稿に@botを付けると、調べていることが相手からも見えてしまいます。BtoBの競合調査ではGrok Botのアプリから依頼しましょう。公式ドキュメントによると、@botを使うには、GrokのアカウントとXのアカウントの連携が必要です。オーストラリア、英国、EUなどを拠点とするアカウントでは、まだ使えません。

Grok BotでXについてできること・できないこと

Grok BotからXへのアクセスには、アカウントを連携しない「読み取り専用」と、Xプラグインでアカウントを連携する方法の2段階があります。公式ドキュメントの記載は次のとおりです。

区分 できること
連携なし(公開の情報を読み取り専用) 投稿の検索、投稿のリンクを開いて読む、アカウントの投稿とメンションを読む、投稿を引用・リポストした人を調べる、話題に関する最近の投稿数を数える、トレンドとニュースを確認する
Xプラグインで連携 上記に加えて、自分のDM、ブックマーク、ホームタイムライン、自分の投稿にいいねした人

連携なしのアクセスは自分のアカウントでXにサインインするものではありません。他社の製品名や業界のキーワードを調べるだけなら、連携は不要です。アカウントを連携する場合は、SpaceXSIがXの開発者アカウントを用意し、Grok Botの有料ユーザーには無料のX APIクレジット(Xのデータを取得するための利用枠)が付きます(8月29日の発表)。

できないことと公開されていないこと

  • 投稿、返信、DMの送信:Xプラグインでできる操作として案内されていない(2026年10月時点)。Grok Botには投稿文の下書きまでを任せ、公開は人が行う
  • 取得できる投稿の件数や、さかのぼれる期間:公式ドキュメントに記載がない。件数は目安として扱う
  • X以外のSNS:今回のX連携の対象外。ブラウザの操作で見に行くことはできても、サイトによっては自動操作が止められたり、人によるログインを求められたりする

Grok Botの料金と対象プラン

2026年10月12日、SpaceXSIはGrok、Grok Bot、Cursor、X Premiumをまとめた料金プラン「The X Subscription」を発表しました。Grok Botが含まれるのは、Premium以上のプランです。

プラン 月額(税別) Grok Bot 主な内容
Free 0ドル 含まれない Grokのチャットと、Cursorのエージェントを回数制限つきで使える。Xの基本機能
Plus 8ドル 含まれない Grokのチャット・音声・画像生成、Cursor、Xの認証マークと分析機能
Premium 30ドル 含まれる Plusの内容に加え、Grok Bot、最新モデル、Xの広告非表示(大半の画面)。利用枠はPlusの4倍
Super 100ドル 含まれる Premiumの内容に加え、利用枠がPlusの15倍
Ultra 200ドル 含まれる Superの内容に加え、利用枠がPlusの50倍

※2026年10月17日時点の料金ページの記載に基づきます。

利用量はGrok、Grok Bot、Cursorで共通の枠から差し引かれ、毎週リセットされます。枠を使い切ったら、追加で購入するか、翌週のリセットを待ちます。

Premiumはこれまで別々だったSuperGrok、Cursor Pro、X Premium+の内容をまとめたプランで、発表では「合わせて月90ドルだったもの」と説明されています。SuperGrok(Plus、Heavyを含む)やCursorの有料プランを契約している場合は、そのままでもGrok Botを使えます。新しいプランへの切り替えは任意です。一方、従来のX Premium+だけを契約している場合にGrok Botが使えるかどうかは、公式ドキュメントに記載がありません。

The X Subscriptionは発表から数日かけて世界中に提供を広げるとされています。日本円での価格は申し込み画面で確認してください。為替レートで変わりますが、1ドル=150円で計算すると、Premiumは月4,500円(税別)です。業務で使う場合は、個人のカードで契約する前に、社内で申請する手順を確かめてください。

無料で試す方法

Grok Botを契約する前に、無料の道具でXのソーシャルリスニングを試すこともできます。Grokのチャットと定時に動く「Automations」、Xの高度な検索、Yahoo!リアルタイム検索を組み合わせる方法を、後の章「無料でXのソーシャルリスニングをする方法」で紹介します。

チームで使うときの料金

TeamsではPremium、Super、Ultraを個人と同じ1席あたりの価格で契約でき、SSO(社内のIDでのログイン)、管理機能、請求の一本化、利用状況の分析が付きます。料金ページの表示は1席あたり月30ドルからで、Premium相当を5席なら月150ドル、年1,800ドルです(1ドル=150円で年27万円、税別)。

監査ログ、SCIM(退職や異動に合わせてアカウントを自動で止める仕組み)、請求書払いは、Enterpriseだけの機能です。Enterpriseの価格は公開されておらず、営業窓口に相談する形です。情シスが監査ログを必須とする会社では、費用の見積もりが必要になります。プランごとの違いは「導入前に情シス・法務と確認すること」の表にまとめました。

BtoBマーケティングでXのソーシャルリスニングが必要な理由

営業の見えないところで進む比較検討

BtoBの購買では、担当者が営業に会う前に、多くのことを調べ終えています。SurveyMonkeyとRedditが米国の事業の意思決定者1,202人に行った調査(2026年3月)では、83%が営業と話す前に自分で調べると答えました。信頼できる情報源としては、同業者の推薦が73%で最も高く、企業のWebサイト(55%)を上回っています。

同業者どうしの「〇〇を使っている人、使い勝手はどうですか」「△△から乗り換えた理由」といったやり取りは、売り手のサイトや問い合わせフォームには届きません。日本では、こうした相談や感想がXに投稿されることもあります。BtoBのサービスを提供する企業106社に聞いた比較ビズの調査(2024年)では、82.1%がSNSでビジネスの情報を集めると答え、情報収集に使うツールはXが62.5%で最多でした。回答したのはサービスを提供する側の企業で、買い手の行動を直接示す数字ではありません。

ただし、同じSurveyMonkeyの調査で、ソーシャルメディアを信頼できると答えた人は36%にとどまります。Xの投稿は購買の決め手というより、検討している人が何を気にしているかを知る材料と考えるのが妥当です。BtoB企業とソーシャルメディアの関係は、「ソーシャルメディアはB2B企業のブランド力をどう変えるか?」でも取り上げています。

BtoBで拾うべき声とBtoCとの違い

ソーシャルリスニングの解説にはBtoCを前提にしたものが多く見られます。BtoBでは言及の件数がずっと少ないため、件数の増減を追うより、1件ずつ中身を読むほうが役に立ちます。

観点 BtoC BtoB
言及の量 多い。件数の増減に意味がある 少ない。1件ずつ読む価値がある
主な発信者 消費者 情シス、エンジニア、マーケター、導入企業の担当者、業界の有識者
拾いたい声 好感度、話題の広がり、炎上の兆し 比較や乗り換えの相談、導入後の不満、障害の報告、業界の論点
主な使い道 広告や販促、商品の改善 比較表や営業資料、FAQやヘルプ、CS、記事やウェビナーの企画

一方で、件数が少ないほど、1件の取りこぼしが響きます。Grok Botは取得できる投稿数の上限が公開されておらず、漏れなく集める道具ではありません。向いているのは、拾えた投稿を読んで、要点と根拠をまとめる使い方です。重要な声を漏らしたくない場合は、後で紹介するように、Xの高度な検索の結果と突き合わせて確かめましょう。

自社名の言及が少ない業界での使い方

製造業や専門性の高いサービスでは、自社名で検索しても月に数件しか出てこないことがあります。その場合、毎朝自社名だけを監視しても「該当なし」が続くだけです。先にYahoo!リアルタイム検索で、自社名、製品カテゴリ、業界の言葉それぞれについて30日分の件数を見てから、監視するテーマを決めましょう。

  • 自社名の件数が少ないなら、自社名の確認を週1回に減らし、毎朝の確認は製品カテゴリの比較・乗り換えの相談(テーマ3)に切り替える
  • 創業間もないSaaSなら、製品カテゴリの語(例:経費精算 クラウド)や競合の製品名で、比較や乗り換えの相談を拾う
  • 製品カテゴリや業界の言葉(例:包装機械、充填機、省人化)で、使う側が話している課題を拾う
  • 顧客が属する業界の課題(例:食品工場の人手不足)を見て、記事や提案の切り口にする
  • 業界の展示会が開かれている間は、展示会名やハッシュタグで反応を拾う

Xに声が少ない業界では、Xの監視より、検索や自社サイトへの訪問から検討の動きをつかむほうが確実な場合もあります。

BtoBで監視する5つのテーマとプロンプト例

ここからはBtoBマーケティングで監視したい5つのテーマと、Grok Botに渡すプロンプトの例を紹介します。〔 〕の部分は自社の内容に置き換えてください。

BtoBで監視する5つのテーマと、結果の使い道 1は自社名・製品名への言及で、毎朝確認し、CSや開発に共有してFAQを改善する。2は競合の動きで、毎週確認し、比較表や営業資料を更新する。3は比較や乗り換えの相談で、毎週確認し、比較記事やFAQで先に答える。4は業界の論点で、毎月確認し、記事やウェビナーを企画する。5は展示会やウェビナーの反応で、施策のあとに確認し、施策を振り返って次回に生かす。 監視するテーマ(頻度の目安) 結果の使い道 1 自社名・製品名への言及 毎朝 CSと開発に共有、FAQを改善 2 競合の動き 毎週 比較表・営業資料を更新 3 比較・乗り換えの相談 毎週 比較記事やFAQで先に答える 4 業界の論点と制度の変化 毎月 記事・ウェビナーを企画 5 展示会・ウェビナーの反応 施策のあと 施策を振り返り次回に生かす
図2 BtoBで監視する5つのテーマと、結果の使い道(当社作成)

どのテーマでも、プロンプトに次の4点を入れておくと、結果が安定します。

  • 期間と言語(例:直近24時間、日本語の投稿のみ)
  • 検索語と除外語(表記ゆれ、略称、同じ名前の別のもの)
  • 出力の形式(表にする、件数の上限、投稿URLを必ず付ける)
  • 事実と推測を分けること、該当がなければ「該当なし」と書くこと

1. 自社名・製品名への言及

正式名称だけでなく、英字とカタカナの表記、旧製品名、公式アカウントへのメンション、自社サイトのURLを含む投稿も検索語に入れます。短い略称は別の意味で使われやすいので、「導入」「障害」「使い方」などの言葉と組み合わせて検索します。導入の報告、使い方の質問、不満、障害を思わせる投稿を分けて拾い、CSやプロダクトの担当者に渡します。

冒頭で「誰が何を言ったか」が大事と書いたとおり、発信者の種別も分けさせます。BtoBでは利用企業の担当者の1件と、代理店やまとめアカウントの1件では重みが違うためです。

あなたは当社のXリスニング担当です。X上の公開投稿を、次の条件で調べてください。

期間:直近24時間

検索語:「〔製品名〕」「〔英字表記〕」、「〔略称〕」と「導入」「障害」「使い方」の組み合わせ、当社サイトのURL(〔example.co.jp〕)を含む投稿、@〔公式アカウント〕へのメンション

言語:日本語の投稿のみ

除外:当社の公式アカウント、求人、広告、キャンペーンの応募投稿、プレスリリースの転載やニュースのまとめアカウント、リポスト

まとめ方:

  1. 投稿を「不満・要望」「質問」「評価」「導入・利用の報告」「その他」に分ける
  2. 発信者を「利用企業の担当者」「ベンダー・代理店」「メディア・bot」「個人・不明」に分ける。プロフィールに当社名がある発信者は「当社の関係者」とし、件数に含めない
  3. 分類ごとに重要な投稿を最大5件選び、投稿日時、発信者の種別、要約を表にする。要約に投稿者の名前は書かず、根拠の投稿URLは表の最後の列に置く
  4. 障害や不具合を思わせる投稿が1件でもあれば、冒頭に「要確認」と書く
  5. 件数は目安として書き、事実と推測を分ける。該当がなければ「該当なし」とだけ書く

結果はたとえば次のような形で届きます(経費精算のクラウドサービスを想定した架空の例です)。

要確認:〔製品名〕にログインできないという投稿が1件ありました(10月16日 9時台)。

分類 投稿日時 発信者 要約 URL
不満・要望 10/16 9:12 利用企業の担当者 朝からログイン画面が表示されないという報告 〔投稿URL〕
質問 10/16 13:40 個人・不明 請求書をCSVで出せるかという質問 〔投稿URL〕
評価 10/16 18:05 利用企業の担当者 月末の締めが半日早く終わったという感想 〔投稿URL〕

件数の目安:不満・要望1件、質問1件、評価1件、導入・利用の報告0件

2. 競合の動き

競合の公式アカウントの発表(新機能、料金改定、イベント)と、利用者の不満や評価を、週に1回まとめます。比較表や営業資料のどこを直すべきかまで書かせると、そのまま営業に渡せます。

次の競合3社について、X上の過去7日間の投稿を調べてください。

競合:〔A社(製品名a)〕〔B社(製品名b)〕〔C社(製品名c)〕

見る点:

  • 公式アカウントの発表(新機能、料金、イベント、事例)
  • 利用者の不満と評価
  • 障害や不具合の報告

出力:

  • 社名ごとに「発表」「利用者の声」「当社の比較表・営業資料に反映すべき点」を3行以内で書く
  • 根拠となる投稿のURLを必ず付ける
  • 推測で書いた部分には「推測」と明記する

3. 比較検討・乗り換えの相談

製品カテゴリ全体で、比較や乗り換えを相談している投稿を探します。BtoBのソーシャルリスニングで、特に価値が高いのがこのテーマです。比較で重視されている観点がわかれば、比較記事やFAQ、営業資料で先回りして答えられます。

過去7日間に、〔製品カテゴリ。例:勤怠管理システム、包装機械〕の比較や乗り換えについて話している日本語の投稿を探してください。

検索語の例:「〔カテゴリ〕 比較」「〔カテゴリ〕 乗り換え」「〔カテゴリ〕 どれがいい」「〔競合製品名〕 代わり」

出力:

  • 比較で重視されている観点(ソフトウェアなら料金、連携、サポート、セキュリティ。装置なら処理能力、保守、納期など)を並べ、それぞれの件数を目安として添える
  • 当社のサイトやFAQで答えられていない観点を挙げる
  • 要約に投稿者の名前は書かず、根拠の投稿URLは最後にまとめる

見つけた投稿の投稿者に、営業のDMを送るのはやめましょう。相談した直後に売り込みが届けば、相手は警戒します。ここで得た声は個人への接触ではなくサイトや資料の改善に使うのが基本です。

4. 業界の論点と制度の変化

法改正、新しい技術、業界団体の動きなど、実務者や有識者がXで議論している論点を月に1回まとめます。ウェビナーやホワイトペーパー、記事の企画の材料になります。

過去30日間に、〔業界名〕の実務者や有識者がXで議論している論点を5つ挙げてください。

各論点について:

  • 代表的な投稿のURL(3件まで)
  • 意見がどう分かれているか
  • 当社が記事やウェビナーで扱える切り口
  • 根拠が弱い論点には「要確認」と書く

5. 展示会・ウェビナーの反応

展示会、自社のウェビナー、プレスリリースなどの施策のあとに、反応をまとめます。定期的に回す必要はなく、施策の翌日に一度依頼すれば足ります。

〔イベント名。例:自社が出展した業界の展示会〕の開催期間と前後3日間に、〔ハッシュタグ〕または〔イベント名〕を含む投稿を調べてください。

分けてまとめる点:

  • 当社のブースや登壇への言及
  • 来場者が関心を持っていたテーマ
  • 不満や改善点(混雑、配布資料、説明の内容など)
  • 競合のブースへの言及

出力:分類ごとに、投稿URLと要約を表にする。件数は目安として書く

無料でXのソーシャルリスニングをする方法

Grok Botは有料プランでしか使えませんが、Xのソーシャルリスニングは無料の道具でも始められます。1人で回す定点観測なら、次の3つを組み合わせれば足ります。

道具 費用と条件 向いている用途 弱いところ
Grokのチャットと「Automations」 無料(チャットは回数制限つき)。grok.comかGrokアプリにログインして使う 投稿を読ませて分類・要約する。決まった時間に同じ調査を実行させる 回数に上限がある。結果はメールかアプリの通知で届き、チームへの共有は自分で行う
Xの高度な検索 無料。x.comへのログインが必要 語句、言語、アカウント、期間で投稿を絞り込み、元の投稿を確かめる 要約や件数の集計はしない
Yahoo!リアルタイム検索 無料。ログイン不要 キーワードを含むポスト数の推移と、感情の割合(ポジティブ・ネガティブ)を見る 投稿の要約や分類はしない

※2026年10月17日時点で、各サービスの公式ページと画面で確認した内容です。

Grokのチャットと「Automations」で毎朝の確認を自動にする

Grokのチャットは無料のFreeプランでも回数制限つきで使え、質問に答えるためにXの投稿を検索します。前の章で紹介した5つのテーマのプロンプトは、Grokのチャットにもそのまま使えます。

決まった時間に同じ調査をさせるには、Grokの「Automations」(日本語の画面では「オートメーション」)を使います。指示を一度登録すると、毎日、平日、毎週などのスケジュールで実行し、結果をメールやアプリの通知で知らせます。2026年7月の発表では、スケジュールでの実行はすべてのユーザーが使えるとされています。メールの受信をきっかけに動かす機能は、有料プランが対象です。ただし、10月12日に公開された新しい料金ページには、Grokのオートメーションについての記載がありません。Freeプランのチャットの回数の上限も書かれていないため、無料のアカウントでどこまで使えるかは画面で確かめてください。

grok.comにログインし、オートメーションの画面(grok.com/automations)で作るか、チャットで次のように頼むと設定できます。登録したら、すぐに実行するボタン(Run now)で一度試し、結果を確かめてから毎日の実行に任せましょう。

毎朝8時(日本時間)に、次の調査をして結果を知らせてください。

  • X上の直近24時間の日本語の投稿から、「〔製品名〕」「〔略称〕」を含むものを探す
  • 当社の公式アカウントの投稿、求人、広告は除く
  • 「不満・要望」「質問」「評価」に分け、重要な投稿を最大5件、要約と投稿URLで示す。要約に投稿者の名前は書かない
  • 障害や不具合を思わせる投稿が1件でもあれば、冒頭に「要確認」と書く
  • 該当がなければ「該当なし」とだけ書く

Xの高度な検索で元の投稿を確かめる

Grokがまとめた投稿は、Xの高度な検索で元の投稿を確かめます。x.comにログインして検索し、検索フィルターから「高度な検索」を開くと、次の条件で絞り込めます。

  • すべての単語を含む、語順どおりのフレーズを含む、いずれかの単語を含む、特定の単語を含まない
  • ハッシュタグ、言語
  • 特定のアカウントからの投稿、特定のアカウントへの返信、特定のアカウントを含む投稿
  • 投稿された期間

たとえば、自社の製品名と競合の製品名を両方含む日本語の投稿を直近7日に絞れば、比較の相談を探せます。自社の公式アカウントを含む投稿に絞れば、自社あての問い合わせや不満を拾えます。条件を入れて検索した結果のページをブックマークしておけば、次から同じ条件で検索できます。

Yahoo!リアルタイム検索でポスト数と感情の割合を見る

件数の増減を見るなら、Yahoo!リアルタイム検索が手軽です。ログインせずに、キーワードを含むXの投稿を検索できます。検索結果の画面にはポスト数の推移のグラフ(6時間、24時間、7日、30日)と、感情の割合(ポジティブとネガティブ)が表示されます。

BtoBでは件数が少ないので、グラフの細かな上下より、急に増えた日がないかを見ます。障害や炎上のような出来事は、件数の急な増加として表れやすいからです。増えた日の投稿をGrokに読ませれば、何が起きたかをつかめます。感情の割合も件数と同じく目安として扱いましょう。

無料での回し方の例

頻度 使う道具 やること
毎朝(自動) GrokのAutomations 30日分の件数を見て決めた1テーマ(自社名、または比較・乗り換えの相談)をまとめて知らせる
毎朝(数分) Yahoo!リアルタイム検索 自社名と製品カテゴリのポスト数の推移と感情の割合を見て、急な増加がないか確かめる
気になる投稿があったとき Xの高度な検索 期間やアカウントで絞り、元の投稿を読む
週に1回 Grokのチャット 競合の動き(テーマ2)と、毎朝は見ていないテーマを調べる
月に1回 Grokのチャット 業界の論点をまとめる(テーマ4のプロンプト)

無料で使うときの注意点

  • 先に社内のAI利用ルールを確かめる。無料でも、業務の調査に個人のアカウントを使ってよいかは会社が決めることなので、必要なら情シスに申請し、会社が認めたアカウントで使う
  • 無料版は会社のアカウントとして管理できない。学習を止める設定も、退職時のアカウントの削除も本人に任され、退職後も調査の履歴や結果のメールが本人の手元に残る。退職時に削除する手順を決めておき、会社として管理したいならTeams以上のプランを使う
  • 入力した内容を学習に使わない設定にする。Grokの個人向けの利用では、入力した内容と回答がモデルの学習に使われることがある。grok.comでは「Settings」の「Data」にある「Improve the Model」で選べ、「Private Chat」で話した内容も学習に使われない(SpaceXSIのFAQ)
  • ログインして使う。ログインせずに使うと、地域によっては学習への利用を断れない。XアプリのGrokタブで使う場合の設定は、Xのヘルプセンターの案内に従う
  • 未発表の製品情報や顧客の名前は入力しない
  • 回数の上限を意識する。Freeプランのチャットは回数制限つきなので、毎朝自動で確認するテーマは1つに絞る(自社名の言及が少ないなら、比較・乗り換えの相談にする)
  • 結果をチームに回すのは担当者の作業になる。共有の手間が大きくなったら、有料のGrok Botを検討する

有料のGrok Botに切り替える目安

次のどれかに当てはまったら、Grok Botへの切り替えを検討しましょう。社内のルールに沿って無料の方法で1〜2週間試し、拾えた声の例を稟議の資料に添えると、費用を説明しやすくなります。

  • 監視するテーマが増え、回数の上限に当たるようになった
  • 結果をSlackなどでチームに共有したい
  • XのDMやブックマークなど、自分のアカウントの情報も扱いたい
  • 会社として管理したい。SSOやチーム全体のプライバシー設定はTeams以上、監査ログやSCIMはEnterpriseで使える

稟議に書く効果の測り方

ソーシャルリスニングの効果は拾った件数では測りにくいものです。稟議や振り返りでは、次のような指標で、拾った声が何に使われたかを示しましょう。

  • 拾った声をもとに更新したFAQ、比較表、営業資料の数
  • CSや開発に渡した不具合・要望の件数と、そのうち対応したもの
  • 検索と共有にかかっていた作業時間がどれだけ減ったか
  • 話題になった時期に、指名検索とサイトを訪れた企業の数がどう動いたか(アクセス解析で訪問企業がわかる場合。同じ時期の広告やプレスリリースの影響と分けて見る)

工数は試行期間の2週間に、初期設定(検索語の表づくりと突き合わせ)と毎日の確認にかかった時間を実際に測って書きましょう。

Grok BotでXの監視を自動化する手順

手順は5つです。最初のルーチンは1つ目のテーマ「自社名・製品名への言及」から始めるのがおすすめです。結果を確かめやすく、すぐに社内で役立てられます。自社名の言及が少ない会社は、テーマ3の「比較検討・乗り換えの相談」から始めましょう。

Grok BotでXの監視を自動化する5つの手順 1. プランを用意する。The X SubscriptionのPremium以上、またはSuperGrokかCursorの有料プラン。2. リスニング用のBotを作る。役割をXリスニング担当の1つに絞る。3. 監視する語句を渡す。自社名、表記ゆれ、競合名、除外語の一覧。4. 試しに実行してスキルに保存する。結果を見て検索語と除外語を直す。5. ルーチンに登録する。実行する時間、結果の届け先、承認の範囲を決める。 1 プランを用意する Premium以上、またはSuperGrok・Cursorの有料プラン 2 リスニング用のBotを作る 役割を「Xリスニング担当」の1つに絞る 3 監視する語句を渡す 自社名、表記ゆれ、競合名、除外語の一覧をファイルで渡す 4 試しに実行してスキルに保存する 結果を見て検索語と除外語を直し、うまくいった手順を保存 5 ルーチンに登録する 実行する時間(例:平日8時)、結果の届け先、承認の範囲を決める
図3 Grok BotでXの監視を自動化する5つの手順(Grok Botの公式ドキュメントをもとに当社作成)

1. Grok Botを使えるプランを用意する

The X SubscriptionのPremium以上か、SuperGrok、Cursorの有料プランが必要です。チームで使うなら、Teamsプランを検討します。

2. リスニング用のBotを作る

デスクトップアプリ(macOS、Windows、Linux)をインストールしてサインインし、Botを作ります。Botには「Xリスニング担当」のように役割を1つだけ決め、どう働いてほしいかを書いておきます。公式ドキュメントではCursorのアカウントでサインインし、SuperGrokを契約している場合はその場で紐づける手順が案内されています。

3. 監視する語句の一覧を渡す

自社名、製品名、表記ゆれ、競合名、除外する語句を表にまとめ、ファイルでBotに渡します。製品名が一般的な単語と同じ場合は、除外語を多めに用意しましょう。社員の個人アカウントの一覧をBotに渡すのは避けます。社員の私的な情報を外部のサービスに渡すことになるためです。

4. 試しに実行してスキルに保存する

テーマごとのプロンプトで一度実行し、結果を確認します。拾い漏れや無関係な投稿があれば、検索語と除外語を直して実行し直します。満足できる結果になったら、「この手順をスキルとして保存して」と依頼します。

5. ルーチンに登録する

保存したスキルを決まった時間に実行するよう、Botに頼みます。

この手順を、平日の毎朝8時(日本時間)に実行するルーチンにしてください。

結果はこの会話に投稿し、表の行を〔リスニング専用に作ったスプレッドシート〕にも書き足してください。

「要確認」がある日だけ、Slackの#x-listeningに送る文面を下書きしてください。送信は私が承認してから行います。

該当する投稿がない日は「該当なし」とだけ書いてください。

スプレッドシートとつなぐ場合は、リスニング専用に作ったファイルだけを使い、顧客の情報が入ったファイルやアプリはつなぎません。理由は「投稿に紛れた指示文に注意する」で説明します。

公式ドキュメントでは、Slackへの投稿は承認が必要な操作とされています。毎朝の承認を手間に感じる場合は、後で紹介するTeam Botsを使い、チームがSlackのチャンネルでBotに直接たずねる形にする方法もあります。

実行の記録は下の上限のとおり長くは残らないため、結果を表に書き足させておくと、あとで推移を比べられます。ルーチンを保存すると、Botが内容と結果の届け先を要約し、次に実行される時間を示します。ルーチンの一覧はBotの「View conversation details」から「Routines」を開くと確認できます。一時停止、編集、テスト実行、実行の記録の確認もここで行います。

公式ドキュメントに書かれているルーチンの上限は次のとおりです。

  • 1つのBotにつき、ルーチンは50件まで
  • 実行の記録はルーチンごとに直近20件まで残る
  • スケジュールは5分以上の間隔をあける
  • 削除は取り消せない。止めたいときは一時停止を使う

長いあいだ使わずにいると、Botはルーチンを続けるかどうかをたずね、返事がなければ一時停止します。

Team Botsでチームに共有する

TeamsとEnterpriseのプランでは作ったBotを「Team Bots」としてチームで共有できます(2026年9月28日からベータ版で提供)。Team BotにはSlackのハンドルがあり、チャンネルに招待すれば、マーケティング、営業、CSのメンバーが同じBotに質問できます。Botとの個別の会話は人ごとに分かれ、スキルはチームで共有されます。

導入前に情シス・法務と確認すること

Grok Botは業務アプリにサインインして動くAIエージェントです。Xの監視だけに使う場合でも、BtoB企業では情シスの確認を通すことになるでしょう。公式ドキュメントと料金ページの記載をもとに、確認する項目をまとめました。

先に結論を書くと、プランの選び方は次のとおりです。

  • 担当者が1人で試すなら、Premium(個人)。ただし、学習の設定やアカウントの管理は本人に任される
  • 会社として管理し、社内のIDでログインさせたいなら、Teams
  • 監査ログ、SCIM、請求書払いが必須なら、Enterprise

まず社内のCursorの契約を確かめる

開発部門などがCursorのチームプランを契約している会社は、先に確認が必要です。公式ドキュメントによると、チームプランではGrok Botが初めから全員に有効で、止めるスイッチはありません(旧来のPrivacy Modeや、リクエスト数で課金する旧プランを除く)。社内のCursorの契約を洗い出し、Grok Botがすでに使われていないかを確かめましょう。Enterpriseでは、管理者が有効にするまで使えず、グループごとに使える人を決められます。止めたい場合の方法は営業窓口に相談してください。

契約先とプランの違い

The X Subscriptionの販売元はX Subscription Corp.で(料金ページ)、Grok Botの実行環境はCursorが運営しています。Xのアカウントを連携する場合は、Xの開発者アカウントとX APIが使われます(8月29日の発表)。契約の相手とデータを処理する会社は、契約するプランごとに営業窓口に確認しましょう。

管理の機能はプランによって大きく違います。

機能 Premium(個人) Teams Enterprise
Grok Bot 使える 使える 使える
請求と管理の一本化、利用状況の分析 なし あり あり
チーム全体のプライバシー設定 なし あり あり
学習への利用の設定 本人が設定する チーム全体で設定できる チーム全体で設定できる
SSO(SAML・OIDC) なし あり あり
SCIM(アカウントの自動の追加・停止) なし なし あり
監査ログ なし なし あり
Grok Botのアクセス・通信・監査の制御 なし なし あり
請求書払い なし なし あり

※2026年10月17日時点の料金ページの比較表に基づきます。

確認する項目

確認項目 公式ドキュメントの記載(2026年10月時点)
学習への利用 Grok BotにはチームのPrivacy Modeが適用され、有効なら顧客データは学習に使われない。自社の設定を確かめる。なお、SpaceXSIのFAQでは、法人の顧客の内容はモデルの改善に使わないとされている
動く場所 Grok Botのコンピュータは現在、米国で動いている。Cursorの米国内のデータ保存の仕組みは、初期設定ではGrok Botに適用されない
データの保存と削除 Botのコンピュータのファイルやブラウザのログイン状態は、休止中も消えない。Botを削除しても、ファイルとブラウザのログイン状態は残る。契約終了後は、データ処理契約(DPA)に基づき、書面の指示から30日以内に削除または返却される
退職・異動 SCIMはEnterpriseのみ。それ以外のプランでは、チームからメンバーを外し、IDの管理システムでセッションを止める作業を手で行う。Botを削除しても、Grok Botを止めても、Botのコンピュータのファイルは消えないため、残ったファイルとログイン状態の片付け方も決めておく(コンピュータの管理機能はEnterpriseのみ)
権限 Botはサインインしたメンバーとして動き、メンバー以上の権限は持たない。同じアカウントのBotは1台のコンピュータを共有するため、Botごとの分離には頼れない
認証情報 コネクタのトークンはCursorのバックエンドに保存され、Botのコンピュータには置かれない
承認 送信、投稿、購入、削除など、取り消せない操作の前に承認を確認する
監査 監査ログと、Botの操作の記録(90日保持)はEnterpriseのみ
通信の制限 接続先の許可リストはEnterpriseのみ。設定がなければ、すべての接続先が許可される
認証・SSO Cursorのアカウントで認証する。CursorでSSOを設定している会社は、その設定が使われる
第三者認証 Cursorを運営するAnysphereがISO/IEC 27001とISO/IEC 42001を取得しており、Grok Botも対象範囲に含まれる

※Grok Botの公式ドキュメント(Security、Teams and enterprises)の記載に基づきます。

Xの投稿の扱いを決めておく

Xの公開投稿であっても、個人を識別できる情報は個人情報にあたる場合があります。投稿URLにはアカウント名が含まれるため、まとめの本文に投稿者の名前を書かせないだけでは、匿名にはなりません。結果を共有するチャンネルを限る、保存する期間を決める、といった運用のルールを法務と決めておきましょう。

投稿に紛れた指示文に注意する

Xには誰でも文章を投稿できるため、AIへの指示を装った文が紛れていることがあります。Grok Botは外部の文章を信頼しないデータとして扱いますが、公式ドキュメントも、それでリスクがなくなるわけではないと書いています。リスニングに使うBotでは、送信や投稿の操作を「Always allow(常に許可)」にせず、毎回の承認を残しておきましょう。

ただし、承認は操作ごとの確認で、通信先そのものを制限するものではありません。接続先の許可リストはEnterpriseでしか使えないため、それ以外のプランでは、リスニングに使うGrok Botのアカウントを分けましょう。つなぐのはリスニング専用のスプレッドシートとSlackのチャンネルだけにし、顧客の情報があるアプリはつなぎません。分離の単位はBotではなくアカウントだと、公式ドキュメントも説明しています。

Grok Botと専用のソーシャルリスニングツールの使い分け

Grok Botは専用のソーシャルリスニングツールの代わりになるものではありません。違いは結果が文章かグラフかではなく、漏れなく集められるか、同じ条件で同じ結果を出せるか、過去にさかのぼれるか、という点にあります。目的に合わせて使い分けましょう。

観点 Grokのチャット Grok Bot 専用のソーシャルリスニングツール
向いている用途 その場の調査、話題の背景を知る Xの定期監視、要約とチームへの共有 複数のSNSの網羅的な収集、長期の推移、炎上の検知
対象 XとWeb XとWeb、つないだ業務アプリ ツールによる(X、Instagram、ブログ、掲示板など)
定期実行 Automations ルーチン 常時の収集とアラート
網羅性 検索で拾えた範囲。取得件数の上限は非公開 検索で拾えた範囲。取得件数の上限は非公開 設定した条件で収集を続ける
再現性 同じ指示でも結果が変わることがある 同じ指示でも結果が変わることがある 同じ条件で集計し直せる
過去のデータ さかのぼれる期間は非公開 実行の記録は直近20件まで。結果は自分で表に残す 収集した期間のデータを残せる(契約による)
結果の形 文章、表 文章、表、ファイル。Slackなどで共有 ダッシュボード、グラフ、レポート
費用 無料から。結果を人が確かめる手間がかかる 月30ドル(Premium)から。結果を人が確かめる手間がかかる ツールと収集量による

どちらを使うかはまず言及の量で決めます。Yahoo!リアルタイム検索で見た30日分の件数が毎日すべて読める量なら、まずはGrok Botで足ります。次のような状況になったら、専用ツールを検討しましょう。

  • 言及が多く、1件ずつ読むより件数の推移で判断したい
  • 競合と比べた言及の量の割合(シェア・オブ・ボイス)を、毎月同じ基準で報告する必要がある
  • 重要な声を1件も漏らさずに記録する必要がある
  • X以外のSNS、掲示板、ニュースサイトもまとめて監視したい
  • 炎上や障害の兆しをすぐに検知したい

精度を上げるコツと注意点

  • 最初の2週間は同じ条件でXの高度な検索も行い、結果を突き合わせる。拾えた投稿の割合と、関係のない投稿の割合を記録しておけば、Grok Botの結果をどこまで信じてよいかがわかる。重要な投稿を落とし続けるテーマは、Xの高度な検索で人が読む運用に戻す
  • 根拠の投稿URLを必ず出させ、重要な投稿は自分で開いて確かめる。URLが実在するかも確かめる
  • 結果は表に残す。日時、URL、分類、発信者の種別を書き足させておくと、あとで推移を比べられる
  • 社内への報告は件数より、「今週の示唆3つ、根拠の投稿URL、次の行動と担当者」の形にまとめる
  • 件数は目安として扱う。同じ条件でも結果は変わるので、週ごとの比較はGrokが示す件数ではなく表に残した投稿の一覧で行う
  • 製品名が一般的な単語と同じなら、除外語を増やし、結果を見ながら直していく
  • 該当がなければ「該当なし」と書かせる。件数の少ないBtoBでは関係の薄い投稿まで拾って数を埋めないようにする
  • Botのメモリ(記憶)を事実の根拠にしない。公式ドキュメントも重要な判断では記憶に頼らず、今の情報源を確かめるよう案内している
  • 皮肉や業界の略語は誤読されやすい。重要な判断の前には元の投稿を人が読む

Xの声とサイトを訪れる企業をあわせて見る

Xで製品が話題になったり、比較の相談で名前が挙がったりすると、検討している担当者は製品名で検索し、サイトを訪れます。Xの声を拾うだけでなく、その後の指名検索とサイトへの訪問までつなげて見れば、どの話題が実際の検討につながったかの手がかりになります。同じ時期の広告やプレスリリースの影響と分けて見ましょう。稟議で問われる「効果の測り方」にも、この流れで答えられます。

Xに声が少ない業界でも、検討している企業がサイトを訪れれば、その動きはつかめます。指名検索の増やし方は「BtoBサイトの指名検索を増やす方法」で解説しています。

toviraのcoreAnalyticsはサイトを訪れた企業を特定するBtoB向けのアクセス解析ツールです。

  • 訪問企業ごとに、どのページをどの順番で見たかをタイムラインで追う
  • 指名検索のダッシュボードで、製品名などの指名キーワードのクリック率(CTR)や表示順位の推移を確かめる
  • 訪問企業を業種、規模、上場区分で分類し、営業リストにする

※2026年10月時点の機能ページの記載に基づきます。

リスニングで見つかった「自社のサイトで答えられていない比較の観点」は、記事にすれば検索からの入り口になります。Content Studioは、1つのテーマを最大20本の記事群として設計・作成できるBtoB向けの記事作成ツールです。制作の前に検索上位のページを読み込み、競合が触れていない論点を洗い出します。

Xで話題になったあと、サイトを訪れた企業を把握したい方へ

coreAnalyticsでできることは機能ページで紹介しています。

coreAnalyticsの機能を見る

よくある質問

Grokでソーシャルリスニングはできますか?

できます。Grokのチャットは質問に答えるためにXの投稿を検索できるので、その場の調査に使えます。2026年10月からはAIエージェントのGrok BotがXの検索・閲覧・監視に対応し、ルーチンで毎朝や毎週の監視を自動化できるようになりました。

Grok Botとは何ですか?Grokとの違いは?

Grok BotはSpaceXSI(旧xAI)が2026年8月に公開したAIエージェントです。クラウド上の自分のコンピュータで動き、業務アプリを使いながら作業を続けます。質問に答えるGrokのチャットと違い、Grok Botには仕事を任せられ、決まった時間に自動で動くルーチンも持てます。

Grok Botの料金はいくらですか?

The X SubscriptionのPremium(月30ドル、税別)以上のプランに含まれます。SuperGrok(Plus、Heavyを含む)やCursorの有料プランを契約している場合も使えます。1ドル=150円で計算すると、Premiumは月4,500円(税別)です。利用量はGrokやCursorと共通の枠から差し引かれ、毎週リセットされます。

無料でXのソーシャルリスニングはできますか?

できます。Grokのチャットは無料のFreeプランでも回数制限つきで使え、「Automations」で毎朝の確認を自動にできます(10月の新しい料金ページには記載がないため、使えるかは画面で確かめてください)。投稿の絞り込みにはXの高度な検索が、ポスト数の推移と感情の割合を見るにはYahoo!リアルタイム検索が、それぞれ無料で使えます。業務で使う前に、社内のAI利用ルールを確かめておきましょう。Grok Botを使うには、有料のPremium以上が必要です。

Xのアカウントを連携する必要はありますか?

公開の投稿を検索して読むだけなら、連携は不要です。2026年10月11日の更新で、連携しなくても投稿とプロフィールを検索・閲覧できるようになりました。自分のDM、ブックマーク、ホームタイムラインを扱う場合や、X上で@botにタグ付けして依頼する場合は、連携が必要です。

Grok BotはXに投稿できますか?

2026年10月時点で、Xプラグインでできる操作に、投稿や返信は含まれていません。Grok Botには投稿文の下書きまでを任せ、公開は担当者が行う運用が安全です。

専用のソーシャルリスニングツールの代わりになりますか?

用途によります。拾えた投稿を読んで要点をつかむ用途で、言及が毎日すべて読める量なら、Grok Botで足ります。漏れのない記録、件数の推移の報告、競合とのシェア・オブ・ボイスの比較、X以外のSNSの監視、炎上の早期検知が必要なら、専用ツールが向いています。

日本語の投稿も分析できますか?

日本語で指示を出し、日本語の投稿を検索させられます。ただし、公式ドキュメントには言語ごとの精度についての記載がありません。プロンプトで「日本語の投稿のみ」と指定し、根拠の投稿URLを確かめながら使ってください。なお、Grokのチャットとオートメーションは日本語の画面で使えます。Grok Botの公式ドキュメントは英語で、画面の項目名も英語で案内されています。

BtoB企業がXでソーシャルリスニングをする意味はありますか?

あります。BtoBの購買では、担当者が営業に会う前に、同業者の評判や比較の相談を通じて多くを調べ終えています。そうしたやり取りの一部はX上で交わされ、売り手のサイトには届きません。言及の件数は少なくても、比較で重視される観点や、自社の製品への不満を知る手がかりになります。製造業など自社名の言及が少ない業界では、製品カテゴリや業界の言葉、展示会の反応を見ると使いどころが見つかります。

まとめ

  • Grokのソーシャルリスニングは2026年10月の更新で、チャットにその都度たずねる使い方から、Grok Botに見張らせる使い方に変わった
  • Grok BotはXの公開投稿をアカウントの連携なしで検索・閲覧でき、ルーチンで毎朝や毎週の監視を自動化できる。投稿や返信はXプラグインの操作に含まれていない
  • 料金はThe X SubscriptionのPremium(月30ドル、税別)から。無料でも、Grokのチャットと「Automations」、Xの高度な検索、Yahoo!リアルタイム検索を組み合わせて始められる。業務で使う前に社内のAI利用ルールを確かめる
  • BtoBでは件数より中身を読む。自社と競合への言及、比較や乗り換えの相談、業界の論点、イベントの反応を拾い、発信者の種別も分けて、比較表、FAQ、営業資料、記事の企画に生かす
  • 自社名の言及が少ない業界では、製品カテゴリや業界の言葉、展示会の反応を見る。最初の2週間はXの高度な検索と突き合わせて、拾えている範囲を確かめる
  • 導入前に、契約先、学習への利用、データの保存と削除、退職時の処理、承認と監査の設定、Xの投稿の扱いを、情シス・法務と決めておく。監査ログやSCIMが必要ならEnterpriseになる
  • 件数の推移や複数のSNSの監視が必要になったら、専用ツールと使い分ける

Grok BotとXの連携は2026年8月に始まったばかりで、機能や料金はこれからも変わる可能性があります。この記事も公式の発表にあわせて更新していきます。

coreAnalyticsの機能を見る

参考資料

編集者:

中川 晃次

再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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