01

Cookieは残った。それでも、追えなくなっている

この6年で決まったことを、時系列で並べます。

2020年3月

Safariが、サイトをまたぐ記録を既定でブロック

Safari経由で来た人は、他サイトでの動きとつなげて見られなくなりました。

2023年6月

改正電気通信事業法の外部送信規律が施行

訪問者の情報を外部へ送るなら、自社サイト側に通知や公表などの対応が求められます。

2024年7月

Googleが、Chromeでの一律廃止の方針を見直すと発表

いつまでに何をすればよいのか、対応の期限が見えにくくなりました。

2025年10月

Privacy Sandboxの主要な仕組みを終了すると発表

10種の仕組みが対象です。代替技術に乗り換えるという選択肢が縮みました。

2026年7月

改正個人情報保護法が公布

個人に結びつく情報の扱いに、新しい決まりが加わります。

02

「廃止は撤回」でも、手元のデータは戻らない

Chromeの方針が変わっても、次の3つは続いています。

Safariの制限は続いている

国内のブラウザ利用は2割を超えるとされ、無視できる規模ではありません。

自社で出した記録にも寿命がある

Safariでは、画面側の仕組みで作った記録が最大7日で消えます。

日本の法規制は強まる方向

外部送信規律と個人情報保護法の改正が、続けて動いています。

記録が技術的に残ることと、顧客を追い続けられることは別の話です。

03

会社どうしの取引ほど、影響が表に出やすい

検討が長く、訪問者の数が少ないことが理由です。

検討期間が、記録の寿命を超える

検討は数か月から1年。7日や30日で消える記録では、最初の接触と受注をつなげません。

決める人が、ひとりではない

調べるのは担当者、決裁は部長、最終判断は役員。端末が別々なので同じ商談として束ねられません。

数が少なく、推定でごまかせない

足りない分を計算で補う手法は精度が出ません。月20件の商談では判断材料になりません。

社内ネットワークがまぎらわしい

会社の回線は共有です。同じ会社の5人が別人に見えることも、1人にまとまることもあります。

04

使うデータは4種類。主軸に据えるのは上の2つ

違いは「誰が集めたか」と「誰から許可を得たか」です。

主軸にする / 自社の手元で集まる

ゼロパーティ

顧客が自分から教えてくれた情報

フォームの回答やアンケート。本人が意図して渡した内容です。

ファーストパーティ

自社サイトで直接記録した情報

会員が何を見て、何を落としたか。自社の画面上の動きです。

補助にとどめる / 外から借りてくる

セカンドパーティ

他社から提供を受けた情報

共催セミナーの参加者リストが典型です。

サードパーティ

外部の事業者が広く集めた情報

規制の直撃を受けているのが、この層です。

ただし、量は増えません。匿名の訪問者を広く集める手法より接点は減ります。社内で先に共有しておく点です。

05

ログインする場所を先に作らないと、名前は集まらない

この4段階は、順番を入れ替えると機能しません。

1

ログインしないと見られない情報を用意する

マーケ・情報システム部門 / 目安1〜3か月

2

会員登録へ案内する

マーケ / 目安1か月〜

3

誰が・何を・いつ見たかを記録する

マーケ / 継続

4

営業へ渡す

営業企画 / 継続

登録する理由になりやすい情報

詳細な仕様書、図面、CADデータ

導入事例の詳細版(企業名や実数値入り)

セミナー動画の録画

取引先ランク別の価格や在庫

製品マニュアル

公開中のページを会員限定にするだけでは、登録は進みません。営業がメールで個別に送っている資料が有力な候補です。

記録するのは、閲覧数ではない

「B社の設計担当が、製品Aの仕様書を今週3回開いた」という粒度で残します。

1

資料のダウンロード(何を、何回)

2

製品ページの閲覧(滞在時間と再訪)

3

動画の視聴(どこまで見たか)

4

よくある質問での検索語(何に困っているか)

5

見積依頼や問い合わせの起票

4つ目は見落とされがちです。検索語には、顧客がまだ言葉にしていない困りごとが表れます。

06

壊れるのは集客ではなく、測り方

ここを混同すると、施策の良し悪しを読み違えます。

自社のサーバー側で計測する

ブラウザ側の制限を受けにくい取り方に切り替えます。

広告媒体へ成果を直接送る

媒体が用意している連携の仕組みを使います。

フォームで本人に聞く

「どこで知ったか」の設問1つで、記録では取れない情報が手に入ります。

法対応で押さえる範囲は、この2つ

1

外部送信規律(2023年6月16日施行) — 訪問者の情報を外部へ送るなら、通知・公表、同意取得、断る手段のいずれかが要ります。解析タグや広告タグを置くサイトも対象になり得ます。

2

改正個人情報保護法(2026年7月17日公布) — 公布から2年を超えない範囲で施行される予定です。細かい決まりは今後示されるため、法務部門と範囲を詰めます。

SUMMARY

覚えておく3つの原則

ブラウザの方針を待つ作業ではなく、自社側に土台を作る作業です。

代替技術を探しにいかない

乗り換え先を待つほど、手元のデータは薄くなっていきます。

名乗ってもらう場所を作る

ログインが要る情報があって初めて、実名の記録が積み上がります。

順番を入れ替えない

場所を用意し、登録へ案内し、記録し、営業へ渡す。この並びを守ります。

サードパーティCookieの廃止は延期され、2025年10月にはGoogleがPrivacy Sandboxの主要技術を取り下げました。Cookieは当面残ります。ただ、BtoBの集客が抱えた問題は何ひとつ解決していません。

ブラウザ側の制限は続き、日本では外部送信規律と個人情報保護法の改正が動いています。匿名の訪問者を広告で追いかける前提が、少しずつ崩れています。

この記事では、2026年時点でCookie規制がどこまで進んだかを整理します。そのうえで、BtoBが影響を受けやすい理由、実名データで集客する設計、法対応の押さえどころを扱います。

読み終えたときに、リード獲得を何から作り直すかが決まっている状態を目指します。

サードパーティCookie規制の現在地|2026年時点で決まったこと

2026年7月時点で、Chromeのサードパーティcookieは廃止されていません。ただし規制が終わったわけでもありません。

Googleは2025年10月17日、Privacy Sandboxの主要技術を段階的に終了すると発表しました。TopicsやProtected Audienceなど10のAPIが対象です(Google|Privacy Sandboxの計画更新)。代替技術として期待されていた枠組みが、大幅に縮小したかたちです。

一方でSafariは2020年3月、Safari 13.1でクロスサイトのcookieを既定でブロックしました(ITmedia NEWS)。Firefoxもトラッカー由来のcookieを遮断しています。Chromeも、扱いをユーザーの選択に委ねる方針です。

Cookie規制の動きを、BtoB集客への影響とあわせて並べます。

時期 出来事 BtoB集客への影響
2020年3月 SafariがサードパーティCookieを完全ブロック Safari経由の訪問者は横断的な追跡が不可に
2023年6月 改正電気通信事業法の外部送信規律が施行 自社サイト側に通知・公表などの対応義務
2024年7月 GoogleがChromeでの一律廃止方針を見直すと発表 対応の期限が見えにくくなる
2025年10月 GoogleがPrivacy Sandbox主要APIの終了を発表 代替技術という選択肢が縮小
2026年7月 改正個人情報保護法が公布 個人関連情報の扱いに新たな規律

「廃止撤回」でも元に戻らない理由

Chromeが方針を変えても、手元のデータは元に戻りません。理由は3つあります。

  1. Safariの制限は継続している。国内のブラウザシェアで2割を超えるとされ、無視できる規模ではない
  2. ファーストパーティcookieにも寿命の制限がある。SafariのITP(=Appleのトラッキング防止機能)では、JavaScript由来のcookieが最大7日で削除される(アドエビス|Cookie規制とは?
  3. 日本の法規制は強化の方向にある。後述の外部送信規律と個人情報保護法の改正が該当する

Cookieが技術的に残ることと、それで顧客を追い続けられることは、別の話です。

なぜBtoBはCookie規制の影響を受けやすいのか

BtoBは、BtoCよりCookie規制のダメージが表面化しやすい領域です。訪問者の母数が小さく、検討期間が長いためです。

効いてくるのは次の4点です。

  • 検討期間がcookieの寿命を超える:製品検討は数か月から1年に及びます。7日や30日で消えるcookieでは、最初の接触と受注を結べません
  • 意思決定者が複数いる:情報収集は担当者、稟議は部長、最終判断は役員という分業が普通です。端末が別々のため、同一商談として束ねられません
  • 母数が小さく推定が効かない:統計モデルで欠損を補う手法は精度が出ません。月間の商談が20件の事業では、推定値を判断材料にできません
  • 社内ネットワークの制約:企業のIPアドレスは共有されます。同じ会社の5人が別々の訪問者になることも、逆に1人にまとまることもあります

4点目は、企業単位でリードを見るBtoBでは特に厄介です。

Web経由でリードを組み立てる考え方は、製造業のWebリード獲得でも整理しています。

4種類のデータを見分ける

対応を考える前に、扱うデータの出どころを4つに分けます。主軸をどれに置くかで打ち手が変わります。

BtoBが主軸に据えるのは、上段の2つ マーケティングで扱うデータを出どころ別に4つへ分類した図。ゼロパーティデータは本人が自ら申告した情報。ファーストパーティデータは自社が直接取得した情報。セカンドパーティデータは他社から提供を受ける情報。サードパーティデータは外部事業者が集めた情報。 ゼロパーティデータ 本人が自ら申告した情報 ファーストパーティデータ 自社が直接取得した情報 セカンドパーティデータ 他社から提供を受ける情報 サードパーティデータ 外部事業者が集めた情報
図1:BtoBが主軸に据えるのは、上段の2つ

違いは「誰が集めたか」と「誰から許可を得たか」です。

  • ゼロパーティデータ:顧客が意図的に提供した情報。フォームの回答やアンケートが該当します
  • ファーストパーティデータ:自社のサイトで直接取得したデータ。会員の閲覧やダウンロードの履歴が中心です
  • セカンドパーティデータ:他社のファーストパーティデータの提供を受けたもの。共催セミナーの参加者リストが典型です
  • サードパーティデータ:外部事業者が広く収集したデータ。規制の直撃を受けているのがこの層です

BtoBで再現性が高いのは、ゼロパーティとファーストパーティの組み合わせです。顧客が自ら名乗り、自社の画面上で行動する。ブラウザの仕様変更に振り回されにくくなります。

ただし、量は増えません。匿名の訪問者を広く集める手法より、接点の母数は小さくなります。社内で先に共有が要ります。

実名データで集客するBtoBマーケティング戦略の全体像

実名データで集客する設計は4つのステップに分かれます。順番を入れ替えると機能しません。

ログイン領域を先に作らないと、実名データは集まらない 実名データで集客する手順を左から右へ示した図。ステップ1はログイン領域を作る。ステップ2は会員登録へ誘導する。ステップ3は行動を実名で記録する。ステップ4は営業と共有する。 1 ログイン領域を作る 2 会員登録へ誘導する 3 行動を実名で記録する 4 営業と共有する
図2:ログイン領域を先に作らないと、実名データは集まらない
  1. STEP1|ログイン領域を用意する(担当:マーケ・情シス/目安1〜3か月)
  2. STEP2|会員登録へ誘導する(担当:マーケ/目安1か月〜)
  3. STEP3|行動を実名で記録する(担当:マーケ/継続)
  4. STEP4|営業と共有する(担当:営業企画/継続)

ログイン領域を用意し、登録の理由を作る

最初にやることは、ログインしないと見られない情報の用意です。ここが弱いと、以降のステップが空回りします。

登録の動機になりやすいのは次の情報です。

  • 詳細仕様書、図面、CADデータ
  • 導入事例の詳細版(企業名や実数値入り)
  • セミナー動画のアーカイブ
  • 取引先ランク別の価格や在庫
  • 製品マニュアル

公開中のコンテンツを会員限定にするだけでは、登録は進みません。営業がメールで個別送付している資料が有力な候補です。

立ち上げ手順はBtoB会員サイトの構築方法で整理しています。

行動を実名で記録する

次は行動の記録です。見るべきはPV数やセッション数ではありません。

「誰が」「何を」「いつ」見たかを、個人と企業の単位で残します。「B社の設計担当が、製品Aの仕様書を今週3回開いた」という粒度です。

記録したい行動を挙げます。

  1. 資料のダウンロード(何を、何回)
  2. 製品ページの閲覧(滞在時間と再訪)
  3. 動画の視聴(どこまで見たか)
  4. FAQの検索キーワード(何に困っているか)
  5. 見積依頼や問い合わせの起票

4つ目は見落とされがちです。FAQの検索履歴には、顧客が言語化していない課題が現れます。

集計と可視化は分析・通知機能が担う領域です。

記録した行動を営業へ渡す

データは、営業が使って初めて価値になります。渡し方を設計しないと、誰も開かない画面が残ります。

渡し方は2通りです。行動を検知して担当営業へ自動通知する方法と、週次で企業ごとの行動サマリーを共有する方法です。

例えばtoviraでは、閲覧やダウンロードの行動を積み上げ、関心の強さとして可視化する考え方をとっています。

実名の行動データを何から集めるか整理したい方へ。tovira では、BtoB会員サイトの設計資料をご用意しています。資料をダウンロードする

Cookieレスで壊れるのは計測

Cookie規制で最初に壊れるのは、集客そのものではなく計測です。ここを混同すると、施策の評価を誤ります。

影響が大きいのは、複数のサイトをまたぐ経路の追跡です。広告のクリックから資料請求までを1本の線でつなぐ計測は、精度が落ちます。

代替は、サーバーサイド計測、広告媒体のコンバージョンAPI、フォームでの流入経路の自己申告です。3つ目は原始的に見えますが、BtoBでは機能します。「弊社をどこでお知りになりましたか」という設問1つで、cookieでは取れない情報が手に入ります。

同意取得と法対応で押さえる範囲

実名データを扱うほど、法令対応の重みは増します。押さえておきたいのは2つです。

  1. 改正電気通信事業法の外部送信規律:2023年6月16日に施行されました。利用者の情報を外部へ送信する場合、通知・公表、同意取得、オプトアウトのいずれかが求められます(のぞみ総合法律事務所|外部送信規律の解説)。アクセス解析タグや広告タグを置くBtoBサイトも、対象になり得ます
  2. 改正個人情報保護法:改正法は2026年7月10日に参議院で可決・成立し、同月17日に公布されました(参議院|改正個人情報保護法の審議情報)。公布から2年を超えない範囲で施行される予定で、政令やガイドラインは今後示されます

自社が何をどこまで対応すべきかは、政令とガイドラインを確認し、法務部門と詰める領域です。確定していない部分を、推測で運用に組み込まないよう注意してください。

よくある質問

サードパーティCookieは結局廃止されないのですか

2026年7月時点で、Chromeでの一律廃止は行われていません。Googleは2025年10月にPrivacy Sandboxの主要APIを終了すると発表し、ユーザーの選択に委ねる方針を維持しています。ただしSafariはすでに完全ブロック済みです。

ファーストパーティCookieなら影響を受けませんか

影響はあります。SafariのITPでは、JavaScript由来のcookieが最大7日で削除されます。数か月の検討プロセスを追うなら、cookie単体に依存しない設計が必要です。

実名データを集めると、リードの数は減りませんか

登録のハードルを設ける以上、獲得件数は減る可能性があります。一方で、名前と所属が分かるリードは営業がそのまま追えます。件数ではなく商談化数で評価軸を組み替えるのが現実的です。

会員サイトを作れば、すぐに実名データが集まりますか

すぐには集まりません。ログインしてでも見たい情報があるか、既存顧客への案内動線があるかで立ち上がりが変わります。取引先を先に招待し、新規へ広げる順序が取りやすい方法です。

まとめ|Cookieの動向を待たず、自社の土台を作る

最新動向を追うだけでは、集客の課題は解決しません。ブラウザや法制度に左右されない土台を、自社側に作る作業が残ります。

要点を整理します。

  1. Chromeでの一律廃止はないが、Safariの制限と国内の法規制は続いている
  2. BtoBは検討期間の長さと母数の小ささから、Cookie依存の影響を受けやすい
  3. 主軸に据えるのはゼロパーティデータとファーストパーティデータ
  4. ログイン領域の用意、会員登録、行動の記録、営業との共有という順で組み立てる
  5. 外部送信規律と個人情報保護法の改正は、法務部門と対応範囲を確認する

まず着手すべきはSTEP1です。ログインしてでも見たい情報があるかを、営業資料から棚卸ししてください。

tovira のカスタマーポータルは、会員の実名の行動データを取得し、営業へ共有するまでを1つの基盤で扱います。自社で実現できるかは、実際の画面でご確認ください。デモを依頼する

出典

  • Google『Update on Plans for Privacy Sandbox Technologies』 privacysandbox.google.com(参照:2026-07-26)
  • ITmedia NEWS『Google、「プライバシーサンドボックス」を実質終了 関連技術のほとんどを廃止へ』 itmedia.co.jp(参照:2026-07-26)
  • ITmedia NEWS『Safari、サードパーティーCookieの完全ブロック宣言』 itmedia.co.jp(参照:2026-07-26)
  • アドエビス『【2026年版】Cookie規制とは?日本の状況・影響・対策方法まで解説』 ebis.ne.jp(参照:2026-07-26)
  • のぞみ総合法律事務所『改正電気通信事業法による外部送信規律(日本版Cookie規制)』 nozomisogo.gr.jp(参照:2026-07-26)
  • 参議院『個人情報の保護に関する法律等の一部を改正する法律案』 sangiin.go.jp(参照:2026-07-26)
最終更新日:2026-08-04
編集者:

中川 晃次

再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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