AI時代のクリエイティビティは「視点」の勝負|BtoBマーケターが磨く真善美と大局観

    美術館でルネサンス様式の絵画の前に立ち、作品を見つめる人の後ろ姿
    何を見て、何を選ぶか。AI時代のクリエイティビティは、見る人の視点で差がつく

    AIが文章も画像もコードも数秒で作るようになりました。BtoBマーケティングの現場でも、LPのコピー、広告バナー、ホワイトペーパーの構成、メルマガの件名を、AIに何十案も出してもらうのが当たり前になりつつあります。誰でも作れるようになったとき、クリエイティビティはどこへ行くのでしょうか。

    私たちは、創造性の重心が「作る力」から「問い、選び、意味を与える力」へ移ると考えています。AI時代のクリエイティビティは、技術より視点で差がつきます。

    この記事では、AIで制作の何が変わったのかを、これまでの機械学習と比べて確かめます。そのうえで、人間に残る判断を「真善美」、羽生善治さんの「大局観」、アートと哲学の「パースペクティブ」から考え、BtoBマーケターが日々の制作で視点を磨くための習慣にまとめました。

    先に結論をまとめておきます。

    • AIで試作のコストがほぼゼロになり、「まず作って、見てから考える」進め方のほうが速くなった
    • 点数や二択しか返せなかったこれまでの機械学習と比べて、言葉で直せるAIには1回で多くのことを伝えられる。直したい点を具体的に言葉にできる人ほど、AIを使いこなせる
    • 作るのが一瞬になると、ボトルネックは「どれが良いかを判断する」工程に移る。BtoBでは「誰の、どの判断を助けるのか」が決まっていないと、案が増えても選べない
    • 人間が受け持つ判断は、真(本当か)、善(やるべきか)、美(良いか)の3つに整理できる
    • AIの出力は誰の立場でもない平均的な眺めに近い。どこから見るかを選び、複数の視点を重ねるのが人間の仕事になる

    この記事でわかること

    • AIの「言葉で直せる」が、これまでの機械学習と比べて何がすごいのか
    • AI時代に人間が受け持つ判断(真善美)と、それを磨く方法
    • 羽生善治の大局観、遠近法、ニーチェの視点主義から見る「視点」の意味と、BtoBマーケティングでの使い方

    試作のコストが下がり、改善が速く回る

    AIの最大のインパクトは、試作のコストがほぼゼロになったことです。以前は1案作るのに数日かかっていたものが、今は数分で何十案も出せます。

    試作が安くなると、綿密に計画してから作るより「まず作って、見てから考える」ほうが速くなります。PDCAを1周ずつ回すというより、Do(作る)とCheck(確かめる)を何度も往復しながら方向を探る進め方に近づいていきます。

    BtoBの制作物でいえば、ウェビナー告知のLPのファーストビューを10案並べ、社内で見比べてから1つを磨く、といった進め方が1日のうちにできます。以前なら、デザイナーに依頼してから初稿が上がるまでに数日かかっていた工程です。

    言葉で直せるようになり、専門スキルの壁が下がった

    生成AIのもう一つの利点は、自然言語でフィードバックできることです。便利になっただけでなく、制作に参加できる人の範囲が変わりました。

    これまでデザインを直すにはデザインツールを、コードを直すにはプログラミングを扱える必要がありました。今は「もう少し親しみやすく」「この部分を目立たせて」と言葉で伝えるだけで修正できます。フィードバックの担い手が、専門家から全員に広がりました。

    BtoBでは、製品や顧客をいちばんよく知っているのが、開発や営業、カスタマーサクセスの担当者であることも少なくありません。マーケティング部門はその人たちの知識を制作物に落とし込む役を担ってきました。言葉で直せるようになれば、営業担当者が「この書き方だと、情シスの人は導入の手間を心配する」と書き込むだけで、その指摘を反映した案が出てきます。

    ただし自然言語は曖昧です。「いい感じに」と頼んでも、狙いにはなかなか近づきません。何に違和感があるのかを具体的に言葉にできる人ほど、AIをうまく使えます。フィードバックを言葉にする力が、新しいスキルになっています。

    これまでの機械学習と比べると何がすごいのか

    自然言語で直せることのすごさは、これまでのAIの「教え方」と比べるとよく分かります。

    従来の強化学習では、AIに返せるフィードバックは基本的に「点数」だけでした。勝ったら+1、負けたら−1です。囲碁AIのAlphaGo Zeroは、人間の棋譜を使わず、外から与えられる報酬は勝敗の+1と−1だけという条件で、約3日間に490万局の自己対局を重ねて強くなりました。

    点数だけのフィードバックには大きな弱点があります。「何が悪かったのか」「どこを直せばいいのか」を伝えられないことです。AIは膨大な試行錯誤の中から、自力でその答えを探し当てるしかありません。

    ChatGPTなどの開発に使われた、人間のフィードバックによる強化学習(RLHF)でも、人間が返すフィードバックの中心は、AIの回答を見比べて「どれが良いか」を順位づけすることでした。OpenAIがChatGPTに先立って発表したInstructGPTの研究では、1つの質問に対する4〜9個の回答を人間が順位づけしています。2つの回答を比べる場合、1回で伝わるのは「AとBのどちらが良いか」という二択の情報だけです。

    方式 フィードバックの形 1回で伝わる情報 反映されるまで
    教師あり学習 正解ラベル付きの大量データ 「これが正解」のみ 学習し直しが必要
    強化学習 点数(報酬) 良かったか、悪かったか 数百万回の試行
    RLHF 複数の回答のどれが良いか どれが良いかの順位 学習し直しが必要
    自然言語のフィードバック 言葉による指摘・指示 どこが、なぜ、どう直すか 次の出力にすぐ反映

    自然言語なら、「2段落目が硬い。20代向けなので、もう少し話し言葉に寄せて」と一言で伝えられます。BtoBなら「この導入事例は効果の数字が後ろにある。決裁者は冒頭しか読まないので、削減できた工数を最初に」といった指摘です。どこが問題で、なぜ問題で、どう直せばいいかが一度に伝わり、モデルを学習し直さなくても、同じやり取りの中の次の出力に反映されます。

    人間同士では当たり前の「言葉で教える」ことが、機械に対してもできるようになりました。1回のフィードバックで伝わる情報が格段に増えたことが、改善の速さを支えています。

    ボトルネックは「作る」から「選ぶ」へ

    作ることが一瞬になると、時間がかかるのは「どれが良いかを判断する」工程です。何十案出せても、評価の基準がなければ回転数が上がるだけで、品質は上がりません。

    AI時代に価値が上がるのは、作る力よりも見極める力です。そして「なぜ良いのか」「何が足りないのか」を言葉にする力です。

    スケッチや写真が一面に貼られた壁の前で、案を見比べる人
    案はいくらでも出せる。時間がかかるのは、どれを選ぶかを決める工程になる

    BtoBでは、この判断がとくに難しくなります。買い手が1人ではないからです。同じ製品を検討していても、現場の担当者は日々の運用への影響を、情シスはセキュリティや既存のシステムとの連携を、決裁者は費用対効果を気にします(DMU(意思決定単位))。LPのコピーを30案出しても、「このページで、誰の、どの判断を助けるのか」が決まっていなければ、どれが良いのかは決められません。

    逆に、評価の基準を先に言葉にしておけば、AIが出す大量の案は、その基準に照らして選ぶための材料になります。

    人間が受け持つ「真善美」

    見極める力の中身を整理すると、古くからある「真善美」という枠組みに当てはまります。それぞれが、人間が持つべき問いになります。

    光を受ける古典的な大理石の女性像のモノクロ写真
    真善美は、古代ギリシャから問われ続けてきた価値の枠組み
    視点 問い 人間の役割 BtoBマーケティングでの例
    真 それは本当か? AIの出力を鵜呑みにせず、現場や一次情報と照らし合わせる 事例の数字、製品の仕様、他社との比較が、商談の記録や顧客の声、公式の資料と合っているか
    善 それはやるべきか? 目的、価値、誰のためかを決め、結果に責任を持つ 買い手の比較検討を本当に助けるか。誇張や、競合を不当に下げる書き方になっていないか
    美 それは良いか? 正解のない領域で「こっちがいい」と選び切る 自社らしい言葉づかいか。読み手の役職や検討の段階に合った語り口か

    真:それは本当か

    AIはもっともらしい答えを大量に出しますが、それが事実かは保証しません。現場で見たものや、顧客と話して分かったことを知っているのは人間です。

    BtoBの制作物は稟議の資料に引用されたり、情シスの技術評価で読み込まれたりします。仕様や数字の誤りは、そのまま会社への信頼を損ないます。

    善:それはやるべきか

    AIは「どうやるか」には強くても、「やるべきか」は決めてくれません。どこで線を引くかという価値判断と、その責任は人間にしか持てません。

    美:それは良いか

    選択肢が無限に出てくる時代に、どれを選ぶかを決めるのがセンスです。整っている、心地よい、らしさがある。そうした判断が作品の個性になります。BtoBでは、その積み重ねが「この会社らしい」というブランドの印象になります。

    直感とセンスは磨ける

    「合理性やデータはAIに任せ、人間は直感とセンスで勝負する」。方向性としてはその通りですが、きれいに分けすぎないほうがいいと考えています。

    良い直感は大量の経験と思考の蓄積から生まれる「圧縮された合理性」です(速い直感と遅い熟慮の関係は「二重過程理論」で解説しています)。センスも生まれつきの才能というより、良いものを見て、自分で判断し、結果を振り返ることで磨かれます。

    ここで最初の話とつながります。AIで試作が安くなったことで、判断の機会は以前より桁違いに増えました。AIは作業の代行者であると同時に、人間がセンスを鍛えるための練習相手にもなります。

    BtoBマーケティングで悩ましいのは、「結果を振り返る」ための材料が見えにくいことです。BtoCのように売上ですぐに答え合わせができず、問い合わせや商談につながるまでに数か月かかることもあります。どの企業がどのページを読み、その後どう動いたかを追えるようにしておけば、自分の判断が当たっていたかを確かめる回数を増やせます。

    羽生善治の「大局観」に学ぶ

    人間とAIの役割分担を考えるうえで、将棋の羽生善治さんの「大局観」という考え方が参考になります。羽生さんは講演や著書で、一手を決めるときは「直感・読み・大局観」の3つを使うと語っています。

    著書『直感力』によれば、将棋の一つの局面には約80通りの指し手の可能性があります。まず直感で候補を2〜3手に絞り、次にそれぞれの展開を読み、最後に大局観で決める。大局観とは一手ずつ読まなくても局面全体を捉え、進むべき方向を感じ取る力です。

    段階 将棋での役割 AI時代の担い手
    直感 候補手を2〜3手に絞る 人間のセンス。AIが出す大量の案から筋の良いものを拾う
    読み 各候補の展開を深く計算する AIが最も得意とする領域
    大局観 全体を見て最終的に決める 人間。目的と価値観から方向を決める
    将棋盤の上で、指先で歩を一つ前へ進める手
    候補を絞り、読み、最後は全体を見て一手を決める

    羽生さんは、若く経験が少ないうちは読みに重きを置き、年齢を重ねるにつれて直感や大局観が中心になっていくと語っています。どちらが優れているという話ではない、と付け加えたうえでの発言です。著書『決断力』の章の題にもなっている「直感の七割は正しい」という言葉も、経験に裏打ちされた直感の確かさを示しています。

    将棋はチェス(1997年)や囲碁(2016年)と並んで、AIがトップ棋士を破った分野です。2017年の第2期電王戦では、将棋ソフトのPONANZAが当時の佐藤天彦名人に2連勝しました。読みをAIに任せられるようになった今、人間が磨くべきは大局観です。これは将棋に限らず、あらゆる創作や仕事に当てはまります。

    BtoBマーケティングに置きかえると、AIが出したLPの案や記事の構成を細かく比べる作業(読み)は、AIにも手伝わせられます。けれど、「今期は既存顧客との取引の拡大に力を入れるから、新規向けの訴求は控えめにする」といった全体の方向は、事業の状況と自社の価値観を知っている人間が決めるしかありません。

    「視点」とは何か:アートと哲学のパースペクティブ

    この記事で繰り返し使ってきた「視点」は、英語ではパースペクティブです。この言葉はアートでは「遠近法」、哲学では「遠近法主義(視点主義)」として、どちらも「世界をどこから見るか」を問うてきました。

    アート:遠近法は世界観だった

    15世紀前半のフィレンツェで、ブルネレスキが線遠近法を実演してみせ、アルベルティが『絵画論』(1435年)で理論にまとめました。消失点に向かって線が集まる描き方で、絵画は「一つの目から見た世界」になります。

    大理石の円柱が奥へ向かって並び、消失点に吸い込まれるように見える回廊
    17世紀にボッロミーニがローマのスパーダ宮に設けた遠近法の回廊。奥へ行くほど柱を小さく並べ、実際よりずっと長い回廊に見せている

    美術史家のパノフスキーは『〈象徴形式〉としての遠近法』(1927年)で、遠近法は中立的な技術ではなく、その時代の世界観の表れだと論じました。その後、セザンヌが先駆けとなり、20世紀初めにピカソとブラックが始めたキュビスムは、この単一の視点を崩し、複数の角度から見た姿を一枚の画面に同時に描きました。「どこから見るか」を、画家が自覚的に選ぶ時代になったのです。

    哲学:視点を重ねることが客観性になる

    ニーチェは、すべての認識は何らかの視点からの解釈であり、視点抜きの純粋な事実は存在しないと考えました。そのうえで『道徳の系譜』では、一つの物事について、より多くの情動に語らせ、より多くの異なる目で見るほど、その物事の「概念」や「客観性」はより完全になるとも述べています。客観性は視点を重ねるほど高まる、という考え方です。

    プリズムを通った光が、いくつもの色の帯に分かれて広がる様子
    一つのものも、見る角度を変えるたびに違う姿を見せる

    これと対照的なのが、哲学者トマス・ネーゲルが「どこでもないところからの眺め(The View from Nowhere)」と呼んだ客観性です。特定の誰かの視点を離れて世界を捉えようとする考え方で、ネーゲルはその価値と限界の両方を論じました。

    AIは「どこでもないところからの眺め」に近い

    AIの出力は膨大なデータを平均した「どこでもないところからの眺め」に近いものです。だから整っていて破綻がない。けれど、誰の視点でもありません。

    人間の役割は消失点をどこに置くか、つまりどこから見るかを選ぶことです。そしてAIを使えば、キュビスムの画家のように複数の視点を高速に試し、ニーチェの言うように重ね合わせることができます。

    BtoBの購買は、もともと複数の視点が重なる意思決定です。現場の担当者、情シス、決裁者が、それぞれの立場から同じ製品を見ています。「情シスの担当者として、このLPで不安に感じる点を挙げて」「決裁者として、この事例で判断に足りない情報は何か」とAIに立場を変えて読ませれば、1つの制作物を複数の目で点検できます。どの視点を重ね、最後にどれを優先するかを決めるのは人間です。

    AIによって、仕事はアートと哲学に近づいている

    ここで逆説的なことが起きています。最先端のテクノロジーであるAIが広がるほど、私たちの仕事はアートと哲学の領域に近づいています。

    作り方や計算をAIが引き受けると、人間の手元に残るのは「何を見るか」「何が美しいか」「何が善いか」という問いです。それは、アーティストと哲学者が長いあいだ向き合ってきた問いでもあります。

    AIへの指示を書くことも、自分の視点や価値観を言葉にする作業です。AIと働くことは、自分は世界をどう見ているのかを、絶えず問われることでもあります。

    視点を記事の設計にどう落とし込むかは、「AI時代の"思想的リーダーシップ"コンテンツ制作」で、切り口・接続・態度の3つに分けて紹介しています。

    BtoBマーケターが視点を磨く4つの習慣

    ここまでの話を、日々の制作に落とし込むと次の4つになります。

    1. AIに頼む前に、評価の基準を言葉にする

    「このページは誰の、どの判断を助けるのか」「読んだ後に何をしてほしいのか」を2〜3行で書き出します。AIへの指示の前提になり、出てきた案を選ぶときの物差しにもなります。

    2. AIが持っていない一次情報を集めておく

    商談の記録、営業やカスタマーサクセスが聞いた顧客の言葉、導入企業での数字などです。真を確かめる材料になり、AIの案に「自社だから書けること」を足す材料にもなります。

    3. 立場を変えて読み、視点を重ねる

    現場の担当者、情シス、決裁者のそれぞれの立場でAIに読ませ、指摘を並べます。どの指摘を優先するかはこのページの目的に照らして自分で決めます。

    4. 結果を振り返り、判断を記録する

    公開した制作物を、どの企業が読み、その後どう動いたかを確かめます。案を選んだ理由と結果を残しておくと、自分の判断の癖が見え、センスを磨く材料になります。

    作る時間を減らし、視点を入れる時間を増やす

    toviraのContent Studioは、BtoB向けのSEO記事をAIで作成するツールです。

    • 1つの検討テーマを、ピラー記事を含めて2〜20本の記事群として設計し、現場の担当者、情シス・法務、決裁者のそれぞれが調べる論点に答える
    • 制作前に検索上位のページを読み込み、競合が触れていない「空いている論点」を洗い出す。そこに「自社だから書けること」を書き足す欄がある

    構成づくりや下書き、HTML化をAIに任せた分の時間を、どこから見るかを決め、一次情報を足す作業に回せます。

    判断の答え合わせにはcoreAnalyticsが使えます。サイトを訪れた企業を特定するBtoB向けのアクセス解析ツールで、訪問企業ごとにどのページをどの順番で見たかをタイムラインで追え、狙った業種や規模の企業に、狙った記事やLPが読まれたかを確かめられます。

    ※2026年10月時点の各機能ページの記載に基づきます。

    AIで作る時間を減らし、自社の視点を入れる時間をつくりたい方へ

    Content Studioでできることは機能ページで紹介しています。

    Content Studioの機能を見る

    よくある質問

    AIを使うと、クリエイティビティは下がりますか?

    使い方しだいです。AIの案をそのまま採用し続けると、自分で判断する機会が減り、似たような制作物が増えます。一方で、試作が安くなった分だけ多くの案を見比べ、選んだ理由を言葉にする機会は増やせます。作るのはAIに任せても、選ぶ判断は自分で持ち続けることが大切です。

    センスがない人は、AI時代に不利ですか?

    センスは生まれつきの才能というより、良いものを見て、判断し、結果を振り返る経験で磨かれるものです。AIで試作が安くなったことで、判断の回数は以前より増やせます。選んだ理由と結果を記録する習慣をつければ、後からでも鍛えられます。

    AIへの指示に視点を入れるには、どう書けばいいですか?

    最初に渡すのは、「誰の、どの判断を助けるのか」と「自社だけが持っている情報」の2つです。たとえば「情シスの担当者が、既存のシステムとの連携でつまずく点を知りたがっている」という前提と、自社の導入事例で実際に起きたつまずきを渡すと、一般論で終わらない案が出やすくなります。出てきた案には、どこが、なぜ、どう違うのかを言葉で返します。

    BtoBとBtoCで、AI時代のクリエイティブの考え方は違いますか?

    考え方の基本は同じです。違うのは、BtoBでは買い手が複数人いて、検討の期間も長いことです。1人の心を動かす表現に加えて、現場の担当者、情シス、決裁者のそれぞれが判断できる材料をそろえる必要があります。そのぶん、どの立場から見るかを選び、視点を重ねる力が成果を左右します。

    まとめ:AIに作らせ、人間は問い・選び・意味を与える

    AIは作る力を民主化しました。誰もが速く、安く、何度でも作れます。だからこそ差がつくのは、何を作るべきかという問い、無数の候補から選び取る目、そこに込める意味です。

    AIは平均的に良いものを出すのが得意ですが、平均から外れた尖りや、その人にしか持てない文脈は持っていません。何に心を動かされ、何を美しいと思い、何を許せないと思うのか。AIが普及するほど、「誰が作ったか」「なぜ作ったか」の重みは増していきます。BtoBでいえば、「どの会社が、どんな考えで発信しているか」です。

    • 試作が安くなり、ボトルネックは「作る」から「選ぶ」に移った
    • 言葉で直せるAIを使いこなす鍵は、直したい点を具体的に言葉にする力
    • 人間が受け持つのは、真(本当か)、善(やるべきか)、美(良いか)の判断
    • 読みはAIに任せ、人間は大局観で方向を決める
    • どこから見るかを選び、現場の担当者、情シス、決裁者の視点を重ねる

    AI時代のクリエイティビティとは自分の真善美を持ち、それを磨き続けることなのだと思います。

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    参考資料

    編集者:

    中川 晃次

    再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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