BtoBのオウンドメディアで成果が出にくくなってきた理由と、AI時代にやるべきこと

    BtoBのオウンドメディアでは、「〇〇とは」「選び方」といった解説記事で検索から人を集め、資料ダウンロードで連絡先をもらうやり方が定番でした。

    このやり方が、二つの変化でうまく回らなくなっています。

    検索はAIの要約で終わり、買い手は先に候補を絞る

    一つは、Googleの検索結果にAIの要約が出るようになったことです。記事を開く前に答えがわかってしまうので、クリックされません。

    日本の「〇〇とは」のような検索で要約が出ると、検索1位のクリック率は、本来見込める24.1%から9.0%まで下がります。

    もう一つは、買い手が生成AIや動画で候補を絞ってから、売り手に連絡するようになったことです。

    この1年で仕事の製品・サービス選びに関わった人のうち、72.3%が選ぶ過程で生成AIやAI検索を使っていました。63.5%は、候補を何社か挙げる段階以降になって、ようやく売り手に連絡しています。

    根っこにあるのは「一般論の記事」という弱点

    とはいえ、うまく回らなくなったのはAIだけのせいではありません。2022年の調査でも、オウンドメディアに課題を感じている大手BtoB企業の半数が「受注に繋がっていない」と答えていました。

    もともとの弱点は、どの会社が書いても同じになる一般論の記事です。AIはその弱点をはっきり見せてしまった、と考えるのが実態に近いと思います。

    記事を「選ばれる根拠」に作り替える

    対策は、オウンドメディアを「検索から人を集める場所」から、「AIや買い手が会社を選ぶときの根拠になる情報を置く場所」に変えることです。やることは次の四つです。

    • 料金の目安や「向いていない会社」など、買い手が探しても見つからない情報を出す
    • 自社にしか出せない調査や、現場の知見を発信する
    • 業界メディアや動画、比較サイトなど、社外で話題にしてもらえる場を増やす
    • 成果の物差しを、PVから「社名での検索数」「AIの回答に名前が出るか」「商談で聞いた、どこで知ったか」に変える

    問い合わせを待たずに、こちらから声をかける手もある

    問い合わせを待つやり方そのものに代わる手として、サイトに来ている企業を特定し、こちらから声をかける方法もあります。買い手は候補を絞っているあいだ、名乗らないまま売り手のサイトを見ていると考えられるからです。

    tovira(株式会社アーチャレス)なら、訪問企業の特定から、AIによるメール・紙のDM・広告での声かけまでを一つのサービスでできます。こうした仕組みを使えば、問い合わせが来る前に、検討中の企業とつながれます。

    まず押さえておきたい数字

    何の数字か 数字 出典
    日本の「〇〇とは」のような検索で、AIの要約が出たときの検索1位のクリック率 本来24.1%見込めるところ、実際は9.0%(2026年6月) Ahrefs
    製品・サービス選びで生成AIやAI検索を使った人 72.3%(1,573人中) HubSpot Japan
    候補を何社か挙げる段階以降に、初めて売り手に連絡した人 63.5% HubSpot Japan
    情報源として「信頼できる」と答えた人(企業ブログ/導入事例) 39.3%/57.0% HubSpot Japan
    企業の発信を「一般論ばかり」と感じる人 79.0%(105人中) IDEATECH
    ChatGPTからBtoBサイトへの月間の流入 1年で303%増。ただし訪問全体の約0.33% Demandbase

    調べた会社・国・対象者・方法は、調査ごとにばらばらです。

    とくにAhrefsのクリック率は、情報を集めるための検索だけを対象にした推計です。すべての検索で同じだけクリックが減っているわけではありません。

    IDEATECHの調査は105人と少ないので、割合は数ポイントずれることがあります。

    ここでいう「オウンドメディア」

    BtoB企業が自社で運営している、ブログやコラムのような記事メディアのことです。

    検索で上位を狙えるキーワードで解説記事を書き、ホワイトペーパー(お役立ち資料)のダウンロードで連絡先をもらいます。そこからメールやインサイドセールス(電話やメールで商談をつくる担当)が商談につなげる、という形です。

    これまでのBtoBオウンドメディアの流れと、崩れている箇所 解説記事で検索から人を集め、資料ダウンロードで連絡先をもらい、メールやインサイドセールスで商談につなげる流れ。1つ目の問題は、AIの要約で答えがわかり記事がクリックされないこと。2つ目の問題は、買い手が早い段階でサイトに来てくれるという流れ全体の前提が崩れていること。 1 AIの要約で答えがわかり、記事がクリックされない(1章) 解説記事で 検索から人を集める 資料ダウンロードで 連絡先をもらう メールや インサイドセールスで 商談につなげる 2 早い段階でサイトに来てくれる、という前提が崩れている(2章)
    図1 これまでのBtoBオウンドメディアの流れと、崩れている箇所

    この流れのどこが崩れているのかを見ていきます。

    「〇〇とは」の検索は、記事を読む前にAIの要約で済んでしまう

    Googleは2024年8月、検索結果のいちばん上にAIが要約を出す「AIによる概要」(AI Overviews)を日本でも始めました。

    2025年9月には、チャットのように質問しながら調べられる「AIモード」も日本語で使えるようになっています。

    要約が出ると、検索1位でもクリックは6割減る

    いちばん影響を受けているのは、BtoBのオウンドメディアが力を入れてきた「〇〇とは」「〇〇 メリット」のような、情報を集めるための検索です。

    Ahrefsが2026年7月に出した日本の調査では、AIの要約が出たときの検索1位のクリック率は9.0%でした。要約がなければ24.1%は見込めたはずなので、62.7%も減っています。

    半年前の2025年12月には38.0%減だったので、減り方は大きくなっています。ざっくり言えば、要約が出る検索では、1位を取っても来るはずだった人の6割を逃している計算です。

    AIの要約が出たときの検索1位のクリック率 日本の情報収集系の検索で、検索1位のクリック率は、要約がない場合に見込める24.1%に対し、AIの要約が出たときは9.0%で、62.7%減っている。 要約がない場合に見込めるクリック率 24.1% AIの要約が出たときのクリック率 9.0%(62.7%減)
    図2 AIの要約が出たときの検索1位のクリック率(日本の情報収集系の検索)。出典:Ahrefs(Web担当者Forum)

    米国では、検索の7割近くがクリックなしで終わる

    米国では、検索全体で同じ流れが見えます。SparkToroがSimilarwebのデータを使って調べています。

    2026年1〜4月に米国で行われたGoogle検索のうち、68.01%はどのサイトもクリックされずに終わっていました。2024年は60.45%です。

    ただ、2024年と2026年ではデータの出どころが違うので、増えた分の一部は測り方の違いによるものです。

    自社への影響はSearch Consoleで確かめられる

    自分のサイトへの影響は、Google Search Consoleで確かめられます。情報収集系の検索語ごとに、表示回数とクリック数を並べてみてください。

    順位も表示回数も落ちていないのにクリックだけ減っている記事は、AIの要約に読者を取られている可能性が高いです。

    買い手は、売り手に会う前にAIや動画で候補を絞っている

    クリックが減っただけなら、来てくれた人をしっかり商談につなげれば済みます。困るのは、買い方そのものが変わってきていることです。

    生成AIで調べ、候補を挙げてから連絡してくる

    HubSpot Japanは2026年6月、この1年で仕事の製品・サービス選びに関わった1,573人に話を聞いています。72.3%が選ぶ過程で生成AIやAI検索を使っていて、41.6%は「AIが判断に与える影響が増えた」と答えました。

    売り手に初めて連絡したタイミングは、63.5%が候補を何社か挙げる段階以降でした。一度も連絡しなかった人も9.0%いました。

    情報源では、ビジネス動画が日経を上回る

    イニシャルの調査(724人)でも、85.2%が選ぶときに生成AIやAI検索の情報を参考にしていました。

    ふだんの情報源では、PIVOTやNewsPicksのようなビジネス動画メディア(78.0%)が、日本経済新聞(55.9%)を上回っています。

    最初の候補に入れないと、ほぼ選ばれない

    しかも、最初の候補に入れるかどうかで、勝負はほぼ決まってしまいます。

    6senseの2025年の調査は、北米・欧州・アジア太平洋の約4,000人が対象です。それによると、買い手が売り手に初めて連絡するのは、検討が61%ほど進んだころでした。

    最終的に選ばれる会社は、95%の確率で、検討を始めた日の候補(4社くらい)に入っていました。買い手が最初に連絡した会社が受注する確率も、約8割あります。

    買い手が売り手に初めて連絡するタイミング 買い手が売り手に初めて連絡するのは、検討が約61%進んだころ。最終的に選ばれる会社は、95%の確率で検討を始めた日の候補(4社くらい)に入っている。 売り手に初めて連絡(検討の約61%) 売り手に連絡する前 0% 100% 検討の進み具合 最終的に選ばれる会社は、95%の確率で 検討を始めた日の候補(4社くらい)に入っている
    図3 買い手が売り手に初めて連絡するタイミング(北米・欧州・アジア太平洋の約4,000人)。出典:6sense「2025 B2B Buyer Experience Report」

    記事で集めて育てる流れが通用しにくくなった

    記事を読んでもらい、資料をダウンロードしてもらい、メールで関係を育てる流れは、買い手が早い段階でサイトに来てくれることが前提でした。その前提が崩れています。

    候補は、AIの回答や動画、同僚の意見で決まるようになってきました。最初の候補に入れなかった会社が、あとから記事で巻き返すのは難しくなっています。

    AIに置き換えられているのは、一般論の記事

    買い手の8割が「一般論ばかり」と感じている

    買い手は、企業の発信に何が足りないと感じているのでしょうか。IDEATECHは2026年5月、業務システムなどの導入を検討した担当者や決裁者105人に聞いています。そのうち79.0%が、企業の発信を「一般論ばかり」と感じていました。

    いちばん求められていたのは「AIには書けない生々しい事例や現場のノウハウ」(56.2%)です。足りない情報としては「リアルな料金目安」(45.7%)と「合わない企業の特徴」(44.8%)が挙がりました。

    問い合わせ先を決めた理由では、デメリットやリスクを隠さない「誠実さ」が57.1%でした。

    企業ブログの信頼度は、AIのまとめとほぼ同じ

    人数の多いHubSpot Japanの調査も、同じ傾向です。信頼できる情報源の1位は「価格・追加費用・契約条件が明瞭」(60.6%)で、「導入事例」は57.0%でした。

    「企業ブログ」は39.3%で、「生成AIがまとめた情報」の37.8%とほとんど変わりません。

    信頼できる情報源として挙げられた割合 価格・追加費用・契約条件が明瞭60.6%、担当者の個別説明59.8%、導入事例57.0%、提供会社のWebサイト・資料50.0%、企業ブログ39.3%、生成AIがまとめた情報37.8%。 価格・追加費用・契約条件が明瞭 60.6% 担当者の個別説明 59.8% 導入事例 57.0% 提供会社のWebサイト・資料 50.0% 企業ブログ 39.3% 生成AIがまとめた情報 37.8%
    図4 信頼できる情報源として挙げられた割合(本文で触れた項目のみ。青は企業ブログと生成AIのまとめ)。出典:HubSpot Japan「日本のBtoB購買に関する意識・実態調査2026」

    一般論こそ、AIの要約がいちばん得意

    「〇〇とは」「選び方5選」のような記事は、どの会社が書いても中身がだいたい同じになります。そして、こういう情報こそ、AIの要約がいちばん得意なところです。

    こうした記事から順番に読まれなくなっている、と考えています。

    伸び悩みはAIが出てくる前から始まっていた

    ただ、オウンドメディアの伸び悩みは、AIが出てくる前から始まっていました。

    EXIDEAは2022年2月、大手BtoB企業の経営層やマーケティング担当108人に調査しています。オウンドメディアを運営している76社のうち、8割超が課題を感じていました。課題を感じている63社の50.8%が、「受注に繋がっていない」を挙げています。

    検索順位が取れていたあいだは、「中身で差がついていない」という問題は目立ちませんでした。AIの登場で、その問題が隠せなくなったと見ています。

    AIからの流入はまだ少ないが、AIの回答に名前が出るかどうかが大事になってきた

    ChatGPTからの流入は急増しているが、まだ全体の0.33%

    ChatGPTから来る人は増えていますが、数はまだ少ないです。Demandbaseは、自社サービスで計測している1,584のサイト環境について、合わせて110億件を超える訪問を調べました。

    ChatGPTからBtoBサイトへの月間の流入は、2025年6月の64.5万件から2026年6月には260万件になっています。1年で303%増です。それでも、訪問全体に占める割合は約0.33%しかありません。

    AIから来る人は登録しやすい、という報告もある

    数は少なくても、来る人は買う気が高いかもしれません。Ahrefsは自社サイトについて、AI検索から来た人は全体の0.5%なのに、新規登録の12.1%を占めたと報告しています。

    ふつうの検索から来た人と比べて、23倍の割合で登録している計算です。ただしAhrefs 1社の数字なので、そのまま一般化はできません。

    AIの影響は、社名の検索に紛れて見えにくい

    気をつけたいのは、AIの影響がアクセス解析に出にくいことです。Similarwebが2026年6月に出した分析では、ChatGPTにすすめられてからサイトに来た人の56%が、AIのリンクではなく社名の検索から来ていました。

    ふつうの訪問では約40%です。AIで名前を知った人が、あとでGoogleで社名を検索して来るからです。

    なお、この分析は金融・旅行・美容の分野が対象なので、BtoBにそのまま当てはまるとは限りません。

    AIに名前が出る会社は、社外でよく語られている

    では、AIの回答に名前が出る会社は何が違うのでしょうか。Ahrefsは2025年12月、7万5,000ブランドを対象に、ChatGPTの回答に出てくる頻度と、いろいろな指標との関係を調べました。

    いちばん関係が強かったのはYouTubeで言及されている量(相関係数0.737)で、次がWeb上で社名が言及されている量(0.664)です。サイトの強さを表すドメインレーティング(0.266)より、ずっと強い関係でした。

    ChatGPTの回答に出てくる頻度と各指標の相関係数 YouTubeでの言及量0.737、Web上での社名の言及量0.664、ドメインレーティング0.266。 YouTubeで言及されている量 0.737 Web上で社名が言及されている量 0.664 ドメインレーティング(サイトの強さ) 0.266
    図5 ChatGPTの回答に出てくる頻度と、各指標との相関係数(7万5,000ブランド)。出典:Ahrefs

    あくまで相関なので、言及を増やせばAIに選ばれると証明されたわけではありません。それでも、AIに名前を挙げてもらえるかどうかは、自社サイトの検索での評価より、社外でどれだけ話題にされているかで決まっている可能性が高いです。

    記事を「選ばれる根拠」に作り替え、社外でも語られるようにする

    オウンドメディアをやめる必要はありません。役割を変えます。

    ここから書く対策のうち、前半の三つはオウンドメディアそのものの作り替えです。四つ目は問い合わせを待つやり方に代わる手で、最後は成果の測り方の話になります。

    買い手が探しても見つからない情報を出す

    最初にやるのは、比較検討の段階で買い手が必ず確かめる情報の公開です。さきほどの調査で「信頼できる」「足りない」の上位に入っていたものが、そのまま候補になります。

    • 料金の目安、追加費用、契約期間と解約の条件
    • 向いていない会社、できないこと、導入でつまずきやすいところ
    • 業種・規模・導入期間・成果の数字が入った導入事例
    • 導入までの手順と期間、社内で用意しておく体制

    どれも、営業資料や商談ではもう話している内容のことが多いので、新しく取材しなくても書けます。

    料金を全部は出せない場合も、「従業員100人規模なら年間〇万円前後」のように幅を見せるだけで、問い合わせる前の判断材料になります。

    買い手がAIに「〇〇の料金相場は?」「〇〇が合わない会社は?」と聞いたとき、AIが答えの根拠にできるのは、こういう具体的なことが書いてあるページだけです。

    自社にしか出せない情報をつくり、今ある記事は見直す

    一般論の記事を新しく量産するのはやめましょう。その手間は、自社にしか出せない情報に回します。たとえば自社の顧客データの集計や業界向けの独自調査、現場の担当者やお客さまへのインタビュー、失敗事例の分析です。

    独自調査は、ほかの会社やメディアが引用する理由になるので、次に書く「社外で語られる場」にもつながります。実際、この記事の材料の多くも、HubSpot Japan・イニシャル・IDEATECHが自社で行った調査です。

    今ある記事は、消す前に見直します。対象は、1章で書いた「順位も表示回数も変わらないのに、クリックだけ減っている」情報収集系の記事です。

    こうした記事はまとめて数を減らすか、料金や事例、独自調査の情報を足して作り直します。商談や資料ダウンロードにつながっている記事は、そのまま残してかまいません。

    社外で語られる場を増やす

    AIの回答に名前が出るかどうかといちばん強く関係していたのは、社外での言及でした。買い手がふだん情報を得る場所も、ビジネス動画や同僚の意見に移っています。

    Forresterの2026年の報告でも、買い手は生成AIで調べた内容を、業界の専門家や同業者、提供している会社に確かめてから判断していました。オウンドメディアを補うものとして、自社サイトの外での活動が欠かせなくなっています。

    • 業界メディアへの寄稿、独自調査のプレスリリース
    • YouTubeやビジネス動画メディアへの出演、自社チャンネルでの解説
    • ITreviewやBOXILなど、比較・レビューサイトへの掲載と口コミ集め
    • ほかの会社と共催するウェビナー、業界コミュニティでの登壇

    HubSpot Japanの調査では、「担当者の個別説明」を信頼すると答えた人が59.8%いました。会社の名前より、顔の見える人の説明が信頼されていると読めます。

    社員が実名でnoteやLinkedIn、Xに仕事の知見を書くのも、この延長でとらえられます。

    問い合わせを待たずに、検討中の企業を見つけて声をかける

    ここまでの三つは、買い手に見つけてもらい、問い合わせてもらうための対策でした。別のルートとして、サイトに来ている企業をこちらから見つけにいく方法もあります。

    買い手は、売り手に連絡する前から売り手のサイトを見ています。HubSpot Japanの調査では、「提供会社のWebサイト・資料」を信頼できる情報源に挙げた人が50.0%いました。

    一方で、63.5%は候補を挙げる段階以降になってから、初めて売り手に連絡しています。検討中の企業の多くは、名乗らないままサイトを見て帰っていると考えられます。

    訪問企業を特定するツールを使えば、こうした表に出てこない検討の動きをつかめます。

    たとえばtovira(株式会社アーチャレス)は、同社が「IPジオロケーション」と呼ぶ技術で、訪問者のIPアドレスから企業名を割り出します。どのページをどの順番で見たかも、企業ごとに記録します。

    そのうえで、閲覧の様子・企業の属性・時間の経過の三つを合わせて、「今アプローチすべき企業」を判定します。判定した企業には、メール・問い合わせフォーム・紙のDM・FAX・広告で、AIが自動で声をかける仕組みです。

    サイトを作る機能(toviraCMS)や既存のお客さま向けのポータル(CustomerPortal)もそろっていて、記事の公開から訪問企業の分析、声かけまでを一続きで扱えます。

    使うときに気をつけたいことが三つあります。

    一つ目は、送る中身です。6senseの調査では、最初の接触の約8割は買い手のほうから始まっていて、買い手が最初に連絡した会社ほど受注しやすい傾向がありました。

    候補に入っていない段階で売り込みの連絡を送っても、相手にされにくいと考えられます。料金の目安や同じ業種の導入事例など、先に整えておいた判断材料を届ける形にすれば、受け取る側にとっても意味のある連絡になります。

    二つ目は、特定できる範囲です。IPアドレスで会社を特定する方法では、在宅勤務の人のように会社のネットワークを通らないアクセスは、ふつう拾えません。

    三つ目は、法令への対応です。メールやフォームでの営業は、特定電子メール法などのルールに沿っているかを先に確かめておきましょう。

    成果の測り方を変える

    PVだけでは、成果を測れなくなります。検索からの流入が減っていくなかで、PVや記事からのコンバージョン数だけを追っていると、正しいことをしていても失敗に見えてしまいます。

    次の指標もあわせて見てください。

    • 社名や製品名での検索数(Search Consoleで、社名・製品名を含む検索語のクリックと表示回数を見る)
    • AIの回答に名前が出るか(よくある質問を定期的にChatGPTやGeminiに入力し、自社が候補に出るかを記録する。Ahrefs Brand Radarのような計測ツールもある)
    • 商談で聞いた「どこで知ったか」(問い合わせフォームに自由記述の欄を置く)
    • サイトに来た企業の数と、狙っている業種・規模の企業の割合(訪問企業を特定するツールで測れる)
    • 商談になった割合と、受注への貢献

    4章で見たように、AIで社名を知った人の多くは社名の検索から来るので、アクセス解析だけではつかみきれません。

    フォームの自由記述は集計に手間がかかりますが、「ChatGPTで知った」「YouTubeで見た」という声を拾える、数少ない方法です。

    どの順番で進めるか

    最初の1か月は、現状の確認にあてます。Search Consoleでクリックが減った記事を洗い出し、よくある質問へのAIの回答に自社が出てくるかを確かめ、問い合わせフォームに「どこで知ったか」の欄を足します。

    訪問企業を特定するツールもこの時期に入れておくと、どんな企業がサイトを見ているかがわかり、次に何をやるかを決める材料になります。

    2〜3か月目に、料金や事例など「買い手が探しても見つからない情報」のページを整えます。手元にある情報を出すだけなので費用は小さく、効果も早めに見えやすいはずです。

    訪問企業への声かけは、このページができてから始めると、送る中身に困りません。

    そのあとで、独自調査と社外での発信に広げていきます。この二つは、効果が出るまで半年以上かかるつもりで予算を組むのが現実的だと思います。

    進める順番 最初の1か月は現状の確認。2〜3か月目に料金や事例などのページを整え、ページができたら訪問企業への声かけを始める。そのあと独自調査と社外での発信に広げ、効果が出るまで半年以上を見込む。 最初の1か月(現状の確認) ・Search Consoleでクリックが減った記事を洗い出す ・よくある質問へのAIの回答に自社が出てくるか確かめる ・問い合わせフォームに「どこで知ったか」の欄を足す ・訪問企業を特定するツールを入れる 2〜3か月目 ・料金や事例などのページを整える ・ページができたら、訪問企業への声かけを始める そのあと ・独自調査と社外での発信に広げる ・効果が出るまで半年以上かかるつもりで予算を組む
    図6 進める順番の目安

    出典

    編集者:

    中川 晃次

    再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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