指名検索比率の平均値とベンチマーク|自社は高い?低い?判断基準を徹底解説

Marketing Benchmark Report 2025

指名検索比率のベンチマーク:
自社のブランド力を可視化する

「うちのブランドは知られている?」その疑問をデータで解決。AhrefsやStatistaの最新調査から、AI検索時代における新しい評価基準を解説します。

指名検索比率は、単なるアクセス解析の数値ではありません。それは「選ばれる理由」の強さを示す、経営の先行指標です。

指名検索比率とは?

サイト全体の検索流入のうち、「社名・サービス名」で検索して訪れた人の割合です。

指名キーワード流入 ÷ 全検索流入

なぜ重要なのか?

効果

CVRが2〜4倍高い: 既にあなたを知っているため、成約に繋がりやすい。

予測

市場シェアの先行指標: 検索数シェアが市場シェアの83%を説明する。

企業規模別・指名検索比率の平均値

中小企業 (SMB)
18%

一般キーワードへの依存度が高い

グローバルブランド
42%

強力なブランド認知による安定流入

※Statista/Uberall (2019) 調査データに基づく

自社の評価基準チェック

比率 評価 状態とアクション
40% 以上 非常に高い ブランディングの成功。AI検索時代でも選ばれ続ける強力なポジションです。
20% 〜 40% 平均的 一定の認知あり。さらなる成長には指名検索を増やす中長期の投資が必要です。
20% 未満 改善が必要 検索エンジン(SEO)に依存しすぎているリスク。認知度向上が急務。

AI検索時代の新常識

Ahrefsの2025年研究によると、「ブランドのウェブメンション数」がAI回答(Google AI Overviews等)での露出に最も強く相関(0.664)しています。

露出の鍵

検索数だけでなく、Web上での「言及」がAIに評価される。

指名価値の向上

AIは信頼できる既知のブランドを優先して回答する。

今日から始める「指名検索」3つの原則

1. 定期的な測定

Search Consoleや専門ツールを使い、自社の「指名比率」を月次で追跡しましょう。

2. 認知への投資

コンテンツやPRを通じて「社名」を露出。短期のCVだけでなく中長期のブランド構築を。

3. 流入のガード

指名キーワード広告を活用し、競合他社への「ブランド流入流出」を防ぎましょう。

「うちの会社の指名検索比率って、高いのか低いのか分からない…」

マーケティング担当者や経営者の方なら、一度は抱いたことがある疑問ではないでしょうか。指名検索は自社のブランド認知度を測る重要な指標ですが、その比率が「良好」なのか「改善が必要」なのかを判断するための明確な基準がなく、困っている方も多いはずです。

本記事では、Ahrefs、Statista、IPA(英国広告実務家協会)などの最新調査データをもとに指名検索比率の平均値やベンチマークを詳しく解説し、自社の指名検索比率を評価するための判断基準を提供します。さらに、AI検索時代における指名検索の重要性や、具体的な測定方法、改善策まで網羅的にお伝えします。

指名検索比率とは何か?なぜ重要なのか

指名検索比率とは、Webサイトへの総検索流入のうち、自社名やブランド名、サービス名など指名キーワードでの検索が占める割合のことです。例えば、月間1,000件の検索流入があり、そのうち400件が自社名での検索だった場合、指名検索比率は40%となります。

この指標が重要視される理由は、ブランド認知度を定量的に測定できるからです。指名検索を行うユーザーは、すでに自社のことを知っており、興味や関心を持っている状態です。そのため、一般的なキーワードで検索してくるユーザーと比べて、コンバージョン率が圧倒的に高い傾向にあります。

実際、日本国内のデータによると、一般検索のコンバージョン率が1〜5%程度であるのに対し、指名検索のコンバージョン率は10〜20%と、2倍から4倍もの差があることが報告されています。つまり、指名検索比率の高さは、質の高い見込み顧客をどれだけ獲得できているかの指標とも言えるのです。

AI検索時代における指名検索の重要性

さらに今、指名検索の重要性は増しています。ChatGPTやGoogle AI Overviewsなど、AIによる回答生成が普及したことで、検索数全体が減少傾向にあります。ユーザーは疑問をAIに直接質問して答えを得るようになり、従来のように検索エンジンで複数のサイトを比較検討する行動が減っているのです。

このような環境下では、一般キーワードでの流入獲得がますます難しくなる一方、「この会社のサービスを使いたい」と明確な意図を持って指名検索するユーザーの価値は相対的に高まります。

Ahrefsが2025年に発表したBrand Radar研究参照)では、ブランドのウェブメンション数とAI Overviewsでの可視性の相関係数が0.664と高く、ブランド力がAI検索時代でも重要であることが示されています。

指名検索比率の平均値とベンチマーク

では、実際に指名検索比率の平均はどのくらいなのでしょうか。複数の信頼性の高い調査データから、具体的な数値を見ていきましょう。

Google検索全体における指名検索の割合

2025年5月に発表されたAhrefsの大規模調査Almost Half of Google Searches Are Branded)によると、米国の約1億5000万キーワードを分析した結果、以下のことが明らかになりました。

  • 検索クエリ数ベース:36.9%が指名検索
  • 検索ボリュームベース:45.7%が指名検索

つまり、Google検索のほぼ半分が指名検索という状況です。

ただし、これは検索エンジン全体の話であり、個別の企業Webサイトにおける指名検索比率とは異なります。企業サイトレベルでは、企業規模やブランド力によって大きな差が生じます。

企業規模による指名検索比率の違い

Statista/Uberallが2018年から2019年にかけて実施した調査Branded vs Unbranded Search Volume)では、グローバルブランド22社(計48,000拠点)と中小企業を比較したところ、以下のような結果が出ています。

企業規模 指名検索比率 一般検索比率
グローバルブランド 42% 58%
中小企業(SMB) 約18% 約82%

グローバルブランドは中小企業の約2.3倍の指名検索比率を持っており、この差は非常に重要な示唆を与えてくれます。ブランド認知度の高い大企業ほど指名検索比率が高く、認知度の低い中小企業ほど一般検索への依存度が高いのです。言い換えれば、指名検索比率はブランド力の強さを直接的に反映する指標だと言えます。

業界別・個別事例から見る指名検索比率

自動車業界の実証実験

Coviello, Gneezy, Goetteによる2017年の研究A Large-Scale Field Experiment to Evaluate the Effectiveness of Paid Search Advertising)では、米国Alexaランク559位の自動車情報サイトEdmunds.comを対象とした大規模実験が行われました。

2015年8月から11月にかけて、米国210の地域市場を無作為化し、105市場で指名検索広告を停止したところ、通常の約50%のトラフィックしかサイトに到達しませんでした。これは、オーガニック検索だけでは指名検索ユーザーの半分を逃してしまうことを意味しており、指名検索の価値の高さを示しています。

小規模ECサイトの事例

一方、特定分野で一定の知名度を持つ非常に小規模なECサイトでは、全検索流入の数%が指名検索という報告もあります。これは限定的な分野であっても、一定のブランド確立ができれば指名検索を獲得できることを示しています。

自社の指名検索比率は高い?低い?判断基準

上記の調査データを踏まえて、自社の指名検索比率をどう評価すればよいのでしょうか。以下に判断基準を示します。

指名検索比率 評価 説明
40%以上 非常に高い水準 グローバルブランドの平均である42%に近い、または上回る水準。ブランド認知度は十分に高く、ブランディング施策が成功している状態。
20〜40% 平均的な水準 中小企業の平均18%を上回り、グローバルブランドの平均には届かない範囲。ブランド認知は一定程度あるが、さらなる向上の余地がある。
20%未満 改善が必要な水準 中小企業の平均である18%前後、またはそれを下回る水準。一般検索への依存度が高く、ブランド認知度の向上が課題。

ただし、この判断基準はあくまで目安です。業界特性や事業モデルによって適正値は異なります。例えば、ニッチな専門分野で展開している企業の場合、市場規模が小さいため指名検索の絶対数は少なくても、その分野では十分な認知度を持っていることもあります。重要なのは、自社の過去データと比較して改善しているか、競合他社と比較してどうかという視点です。

指名検索比率とビジネス成果の関係

指名検索比率が重要な理由は、ビジネス成果と強い相関関係があるからです。複数の学術研究や業界調査がこれを実証しています。

Share of Searchと市場シェアの関係

IPA(英国広告実務家協会)のLes Binetによる2021年の研究Share of Search Research)は、この関係性を明確に示しています。

12カテゴリー、7カ国、30のケーススタディを分析した結果、Share of Search(カテゴリー内での自社ブランド検索数の割合)が市場シェアの83%を説明することが明らかになりました。

さらに重要なのは、Share of Searchが市場シェアの先行指標であることです。Share of Searchが変化すると、数ヶ月から四半期遅れで市場シェアも変化します。つまり、指名検索数を追跡することで、将来の市場シェアの動向を予測できるのです。

コンバージョン率の圧倒的な差

先ほども触れましたが、指名検索のコンバージョン率は一般検索の2〜4倍です。指名検索を行うユーザーは、すでにブランドを認知し、興味を持っている段階です。公式サイトにアクセスして製品詳細を確認したい、価格を知りたい、資料をダウンロードしたいなど、明確な目的を持っています。

このため、リスティング広告においても、指名検索キーワードが最もコンバージョン率が高くなる傾向があります。

2025年5月に実施された「指名検索に対する課題や悩みに関する調査」調査結果)では、以下のことが明らかになっています。

  • 76.7%の企業が指名検索広告を活用
    • 常時出稿:約50%
    • 状況に応じて出稿:26.7%
  • 出稿目的のトップは「ブランド流入を守るため」(34.6%)

これは、競合他社による指名キーワード広告への対抗策としても重要視されていることを示しています。

AI検索時代のブランドメンション

2025年のAhrefs Brand Radar研究AI SEO Statistics)では、AI検索時代における新たな発見がありました。

  • ブランドのウェブメンション数とAI Overviewsでの可視性の相関係数:0.664
  • 上位3つの相関要因(すべてオフサイト要因):
    1. ブランドウェブメンション
    2. ブランドアンカーテキスト
    3. ブランド検索ボリューム

最もウェブメンションを獲得しているブランドは、次の四分位と比較して最大10倍のAI Overviewsメンションを獲得しています。これは、従来のSEO以上に、ブランド力そのものがAI検索時代の可視性を左右することを示しています。

指名検索比率の測定方法

自社の指名検索比率を把握するには、適切な測定方法を知る必要があります。ここでは、代表的な測定方法を紹介します。

Google Search Consoleでの確認

最も正確かつ無料で利用できるのが、Google Search Consoleです。以下の手順で指名検索比率を確認できます。

  1. Google Search Consoleにログインし、左メニューの「検索パフォーマンス」から「検索結果」を選択
  2. 表示された画面で「クエリ」タブをクリック
  3. ユーザーが実際に検索したキーワードの一覧から、自社名やブランド名を含むキーワードを確認

フィルタ機能を使うと便利です。「+新規」から「検索キーワード」を選択し、指名キーワード(例:自社名、サービス名)を入力して適用すると、指名キーワードが含まれるクエリのみに絞り込まれます。上部に表示される「合計クリック数」「合計表示回数」を、全体の数値と比較することで、指名検索比率を算出できます。

Google キーワードプランナーの活用

Google キーワードプランナーでは、特定のキーワードの月間検索ボリュームを調べることができます。自社名やサービス名を入力すれば、どれくらいの検索需要があるかを把握できます。

ただし、Google広告を出稿していない場合、正確な数値ではなく「1,000〜1万」といった範囲での表示になります。また、あくまで予測値であるため、実際の流入データが取得できるSearch Consoleの方が正確です。

tovira Core Analyticsでの自動分析

BtoB企業の場合、より詳細な分析を行いたいなら、専門ツールの活用も検討する価値があります。例えば、tovirahttps://tovira.jp/)が提供するCore Analyticsは、BtoB企業に特化したサイト分析ツールで、指名検索比率を自動で可視化する機能を備えています。

主な機能:

  • 総流入数に対する指名検索(社名・ブランド名での検索)の割合を「指名検索比率75.4%」のように具体的な数値で一目で把握
  • CTRやインプレッション、表示順位なども同時に確認可能
  • Search Consoleでの手動集計の手間を削減
  • 継続的なモニタリング機能
  • 訪問企業の業種や規模別にデータを分析
  • ターゲット企業からの指名検索の深掘り分析

AI時代においてブランド認知の維持・向上はより重要性を増しているという観点から設計されており、BtoB企業のマーケティング活動を強力にサポートします。

詳細は公式サイト(検索キーワード・指名検索調査)をご確認ください。

指名検索比率が低い場合の改善策

もし自社の指名検索比率が低い場合、どのような施策を講じるべきでしょうか。以下に、データに基づいた代表的な改善策を紹介します。

ブランディング施策の強化

指名検索を増やす最も直接的な方法は、ブランド認知度を高めることです。テレビCMやWebメディアでの露出、PR活動などを通じて、より多くの人に自社のブランド名を知ってもらう必要があります。

Les Binetの研究(IPA, 2021)によれば:

  • 広告のShare of Searchへの影響は、短期(1ヶ月以内)で約40%
  • 長期(継続的)で約60%の効果
  • マスメディア(テレビ)がターゲット広告よりもShare of Searchへの影響が大きい

これらのデータは、ブランド認知向上のための投資が長期的に指名検索増加につながることを示しています。

コンテンツマーケティングの展開

ブログ記事、ホワイトペーパー、動画、ポッドキャストなど、複数のチャネルで有益なコンテンツを提供することで、自社の専門性や信頼性を高め、ブランド認知を広げることができます。重要なのは、継続できる方法だけを続けることです。

外部プラットフォームであなたの会社や商品に興味を持った人は、検索エンジンで探してくれる可能性があります。YouTubeやnote、各種メディアなど、複数の接点を持つことで、最終的に指名検索につながるのです。

広告・PR活動の実施

認知度拡大には、広告やPR活動も有効です。特に潜在層をターゲットにした認知広告は、短期的には直接的なコンバージョンにつながりにくいものの、長期的には指名検索を増やす効果があります。

一度広告をクリックしてサイトを見て離脱した人が、後日指名検索でまた流入してきて成約するケースも多く報告されています。このような間接効果まで含めて、広告の効果を測定することが重要です。

指名検索広告の活用

前述の調査データのとおり、76.7%の企業が指名検索広告を活用しています。自社名で検索した際に競合他社の広告が表示されていると、せっかくの見込み顧客が流出してしまう可能性があります。

指名検索広告を出稿することで、検索結果の最上部を確保し、ブランド流入を守ることができます。また、「公式サイト」であることを明示することで、クリック率やコンバージョン率を高める効果もあります。

実際、2025年の調査では、競合が指名キーワード広告を出している高競争環境において、82%の企業が有意なリフト(効果)を測定しています。

まとめ:まずは自社の指名検索比率を測定しよう

本記事では、複数の信頼性の高い調査データに基づき、指名検索比率の平均値やベンチマークを解説してきました。

重要なポイントのおさらい:

  1. Google検索全体では約40%が指名検索(Ahrefs, 2025)
  2. 企業レベルではグローバルブランドで約42%、中小企業で約18%(Statista/Uberall)
  3. Share of Searchが市場シェアの83%を説明(IPA/Les Binet, 2021)
  4. 指名検索のコンバージョン率は一般検索の2〜4倍
  5. AI時代ではブランドメンションがAI可視性と強く相関(Ahrefs Brand Radar, 2025)

自社の指名検索比率を評価する際は、40%以上なら非常に高い、20〜40%なら平均的、20%未満なら改善が必要という基準を参考にしてください。ただし、業界特性や企業規模によって適正値は異なるため、自社の過去データや競合との比較も重要です。

AI検索時代においては、一般キーワードでの流入獲得が難しくなる一方、指名検索の価値は相対的に高まっています。ブランド認知の維持・向上は、今後さらに重要性を増すでしょう。

まずは、Google Search Consoleやtovira Core Analyticsなどのツールを活用して、自社の指名検索比率を正確に測定することから始めてください。現状を把握することで、ブランディング施策への投資判断や優先順位付けが可能になります。

指名検索比率を継続的にモニタリングし、ブランド力を高める施策を実行することで、質の高い見込み顧客を増やし、ビジネス成果の向上につなげていきましょう。

参考文献・データソース

本記事は以下の信頼性の高い調査・研究データに基づいて作成されています。

  1. Ahrefs (2025年5月). "Almost Half of Google Searches Are Branded"
    https://ahrefs.com/blog/almost-half-of-google-searches-are-branded-study/
  2. Statista/Uberall (2018-2019). "Branded vs Unbranded Search Volume"
    https://www.statista.com/statistics/1143368/distribution-branded-search-volume-global-brands-smbs/
  3. IPA/Les Binet (2021年10月). "Share of Search Research"
    https://www.marketingweek.com/share-of-search-market-share/
  4. Coviello, L., Gneezy, U., & Goette, L. (2017). "A Large-Scale Field Experiment to Evaluate the Effectiveness of Paid Search Advertising"
    https://cepr.org/voxeu/columns/experiment-estimate-effectiveness-branded-search-ads
  5. Ahrefs (2025). "Brand Radar and AI Search Visibility"
    https://ahrefs.com/blog/ai-seo-statistics/
  6. 指名検索広告調査 (2025年5月). "指名検索に対する課題や悩みに関する調査結果"
    https://kwmlabo.com/research-release/2427/

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