ゼロクリック検索が68%に|BtoB企業がやめる記事、伸ばす7つのコンテンツ

    検索順位は変わっていないのに、自然検索からの流入が減っている。上司に理由を聞かれても、順位のレポートだけでは説明がつかない。こうした状況の背景にあるのが、ゼロクリック検索の広がりです。日本では2026年7月時点で、検索の68.1%がどのサイトも開かずに終わっていたという株式会社ヴァリューズのデータがあります。

    この記事はBtoB企業のマーケティング責任者やオウンドメディアの担当者に向けて、何を作り続け、何をやめ、成果をどう測るかを、社内で説明できる形にまとめました。

    先に結論をまとめておきます。

    • 日本の検索の68.1%(ヴァリューズ、2026年7月)、米国のGoogle検索の68.01%(SparkToro、2026年1〜4月)がクリックなしで終わっている。10年続く流れを、AIの要約が速めている
    • 候補の洗い出しや比較にAIを使うBtoBの買い手が増え、コンテンツのゴールは「クリックされること」から「AIの回答に引用され、社名で検索されること」に広がる
    • 一般的な「〜とは」の用語解説やまとめ記事は新しく作る優先度を下げ、一次情報、数字入りの事例、正直な比較、製品の事実情報など7つのコンテンツを伸ばす
    • 結論と事実はAIが読める公開ページに書き、「自社の場合どうなるか」は自社サイトで確かめてもらう。境界線の引き方は製造業・卸売業・ITで違う
    • まずSearch Consoleで「とは」系の検索のCTRを確かめ、KPIに指名検索数やAI経由の流入を加える

    この記事でわかること

    • ゼロクリック検索の国内外のデータと、自社サイトへの影響の確かめ方
    • やめる記事と、これから作るべき7つのコンテンツ
    • AIに渡す情報と自社サイトで確かめてもらう情報の分け方、KPIの変え方

    ゼロクリック検索とは

    ゼロクリック検索とは、検索した人が検索結果のページで用を済ませ、どのサイトも開かずに終わる検索のことです。AIによる概要(AI Overviews)、強調スニペット、ナレッジパネルなどで答えが分かれば、サイトを開く必要はありません。とくに用語の意味や一般的なやり方を知りたいだけの検索ほど、クリックされなくなっています。

    検索の68%がクリックなしで終わっている

    日本でも米国でも、検索の7割近くがクリックなしで終わっています。AIの要約が出る検索では、1位の記事でもクリックが大きく減ります。主な調査を、調査ごとに並べると次のとおりです。

    調査(発表元の立場) 数字 何を測ったか 対象・期間
    株式会社ヴァリューズ(Web行動ログの分析会社) 68.1%(2025年9月は63.5%) 検索したがサイトを訪れなかった割合 日本、約250万人のパネル、2026年7月(日経クロストレンドの報道)
    SparkToro(市場調査ツールの会社) 68.01% どのサイトもクリックされなかったGoogle検索の割合 米国、Similarwebのパネル、2026年1〜4月
    Pew Research Center(非営利の調査機関) 8%(要約なしは15%) AIの要約が出た検索結果で、通常のリンクがクリックされた割合 米国の成人900人、2025年3月
    Ahrefs(SEOツールの会社) 9.0%(予測値24.1%から62.7%減) 情報収集型の検索で、AIの要約が出たときの1位のクリック率 日本、2026年6月
    EXIDEA(SEOツールの会社) 93.1%(全体は75.3%) 「〜とは」型の検索で、AIの要約が出た割合 日本語の33,201の検索語、2026年2〜4月

    ※調査ごとに対象、定義、期間が違います。日米の68%も別々の調査で、たまたま同じ水準になったものです。数字をつないで1本の流れとして読まないでください。EXIDEAの75.3%は単語1つだけの検索を除いた値です。

    「株式会社ヴァリューズ・note株式会社による共同調査」(2025年10月)では、ゼロクリックを「検索をするが、サイトに訪れない」と定義し、推計したGoogleの検索セッション数に対する、サイトへの流入の割合から算出しています。株式会社ヴァリューズの2026年5月の発表では、2025年9月からほぼ毎月上がり、2026年4月に66.4%でした。

    AIの要約が出るかどうかは、分野よりも聞き方で変わります。EXIDEAの調査では、IT・テクノロジー(76.4%)やマーケティング(74.9%)の表示率は全体の75.3%に近い一方、「〜とは」の検索では93.1%でした。

    AIだけが原因ではない

    SparkToroの調べでは、米国のゼロクリック率は10年ほど前に約45%、2019年に49%でした。年ごとにデータの出どころが違うため伸び幅は正確に比べられませんが、増え続けてきたことは確かです。日本でも株式会社ヴァリューズの別の調査で、Google検索(指名検索を除く)からサイトに移った割合が、AIの要約が日本で始まる前の2021年から2023年にかけて52.8%から49.2%に下がっていました(2025年は41.1%)。

    一方、2026年1〜4月の米国の検索のうち、AIモードに進んだのは0.34%です。「AIのせいで急に減った」と見るより、「10年続く流れを、AIの要約が速めている」と捉えるほうが実態に近いでしょう。

    BtoBで起きていること

    AIに吸収されるのは「答えを渡すだけの記事」

    BtoBのオウンドメディアが力を入れてきた「〜とは」の用語解説、まとめ記事、網羅型の長い記事は、AIの要約がいちばん得意とする内容です。検索結果の上で答えが読めるため、順位が変わらなくてもクリックが減ります。背景は「BtoBのオウンドメディアで成果が出にくくなってきた理由と、AI時代にやるべきこと」でも解説しています。

    候補の洗い出しや比較にAIを使う買い手が増えている

    • HubSpot Japanの営業に関する2026年の調査(買い手515人)では、購買の検討に使う情報源として生成AIを挙げた人が、2024年の4.3%から2025年には11.7%に増えた。生成AIを使った買い手の52.4%は、生成AIで得た情報をきっかけに、当初は検討していなかった製品を候補に加えていた
    • HubSpot Japanの購買に関する2026年の調査では、生成AIやAI検索を使う1,155人の用途の1位が「候補となる商品・サービスの洗い出し」(50.3%)、2位が「各社の特徴・違いの整理」(47.1%)だった

    ただし、買い手はAIのまとめをそのまま信じてはいません。HubSpot Japanの購買に関する調査では、買い手が信頼する情報の1位は「価格・追加費用・契約条件が明瞭な情報」(60.6%)で、「生成AI・AI検索がまとめた情報」は37.8%と10項目の中で最も低くなっていました。AIで候補を挙げ、売り手の公式の情報で確かめる、という使い分けです。

    そのため、コンテンツのゴールは「クリックされること」に加えて、「AIの回答に正しく引用され、候補に入り、社名や製品名で検索されること」に広がります。

    ゼロクリック時代のBtoBの検討の流れと、効くコンテンツ BtoBの買い手の検討は4段階で進む。1の候補を洗い出す段階と2の候補を比べる段階は、AIの回答やレビューサイトの中で進み、クリックされにくい。ここで効くのは製品の事実情報、サイト外での露出、正直な比較、一次情報の結論、数字入りの事例の要約。3の自社に当てはめる段階と4の指名で探し相談する段階は自社サイトで進み、クリックされる。ここで効くのは診断・ROI試算・デモ、レポート全文、詳しい事例、料金・導入条件のページ、稟議用の資料、相談窓口。 AIの中で進む(クリックされにくい) 効くコンテンツ 1 候補を洗い出す AIの回答・検索結果 製品の事実情報 サイト外での露出・評判 2 候補を比べる AIの回答・レビューサイト 正直な比較、一次情報の結論 数字入りの事例の要約 3 自社に当てはめる 自社サイト 診断・ROI試算・デモ レポート全文、詳しい事例 4 指名で探し、相談する 社名・製品名での検索 料金・導入条件のページ 稟議用の資料、相談窓口 自社サイトで進む(クリックされる)
    図1 ゼロクリック時代のBtoBの検討の流れと、効くコンテンツ(当社作成)

    まずやること:自社サイトへの影響を確かめる

    「とは」系の記事で、クリックはどれくらい減るか

    社内で説明するための目安として、日本のデータで定義が1つにそろっているAhrefsの調査だけを使います。

    前提 AIの要約がなかったと仮定した場合(Ahrefsの予測) AIの要約が出た場合
    情報収集型(「とは」系など)の検索で1位、月1,000回表示 約240クリック(予測クリック率24.1%) 約90クリック(2026年6月の実測9.0%)。半年前の減り方(38%減)なら約150クリック

    ※予測クリック率は、AIの要約が出る検索語の過去のクリック率に、要約が出ない検索語のクリック率の推移を当てはめた値で、要約が出ない検索語の1位の実測(31.7%)とは別のものです。2位以下や、比較・料金などの検索にはそのまま当てはめられません。減り方は半年で大きくなっているため、約90クリックで見込むのが無難です。

    Search Consoleで「とは」系の検索のCTRを確かめる

    AIの要約やAIモードでの表示とクリックは、Search Consoleの検索パフォーマンスのレポートの「ウェブ」に含まれ、要約の分だけは取り出せません(Google 検索セントラル)。そこで検索語の種類で分けて比べます。

    1. 検索パフォーマンスのレポートで日付を「比較」にし、直近3か月と前年の同じ3か月を並べる
    2. 「検索キーワード」のフィルタで「カスタム(正規表現)」を選び、とは|意味|違い|読み方|定義 のように定義を聞く検索に絞って、CTRと平均掲載順位の変化を見る
    3. 「ページ」のタブで、表示回数と掲載順位はほぼ変わらないのにCTRだけ落ちたページを書き出す。これが作り直しの候補になる
    4. 候補ごとに、似た記事と統合するか、自社のデータや事例を足すか、比較・料金・事例のページへの導線を足すかを決める

    社名や製品名を含む検索の推移も、表記の揺れ(カタカナ、英字)を正規表現に入れて確かめておきましょう。結果はたとえば次の3行で上司に説明できます。

    1. 順位は維持しているが、「とは」系の検索でCTRが下がっている(自社のSearch Consoleの数字)
    2. 業界の調査でも、AIの要約が出る検索では1位のクリック率が予測より6割ほど低い(Ahrefs、2026年6月)
    3. 「とは」系の記事の新規制作を減らし、KPIに指名検索とAI経由の流入を加える

    やめるもの:新しく作る優先度を下げる記事

    • 一般的な「〜とは」型の用語解説:定義を聞く検索の9割以上でAIの要約が出る
    • 他社の記事や公開情報をまとめただけの記事:AIが同じことをより速くできる
    • 関連する話題を網羅しただけの長い記事:網羅性はAIの要約の強みと重なる

    用語解説を一律にやめる必要はありません。EXIDEAが約2万のURLを調べた別の調査では、用語集・辞書のページがAIの要約に引用された割合は44.2%で、比較・ランキングの記事(46.0%)に次いで高くなっていました。新しく作るのは、自社の定義やデータを入れられる用語に絞りましょう。

    比較、料金、事例、製品名を含む検索はクリックが残りやすいと考えられます。消費者向けの分野の調査ですが、ヴァリューズの調べでは「おすすめ」「比較」「レビュー」などを含む検索の62.3%が、2025年もサイトに移っていました。

    これから作るべき7つのコンテンツ

    伸ばすべきなのは、AIには書けない情報と、AIに正しく引用してほしい情報です。

      コンテンツ 理由 例
    1 一次情報・独自データ 自社にしかないデータは、AIがほかのページから書けない 自社の取引データや独自調査から出した業界別の傾向
    2 数字入りの導入事例・ノウハウ・失敗談 AIには書けない一次情報。事例のページ自体は引用されにくいので、要約と数字は製品ページにも載せる 「導入企業の平均で月〇時間削減」
    3 正直な比較・選定コンテンツ 向き不向きまで書いたページは、AIが比較の材料に使いやすい 比較ページに「向いていない企業」を明記する
    4 製品の事実情報 AIが候補を挙げるときの判断材料になる 価格の目安、仕様、取引条件、認証の公開
    5 実名の専門家による意見・提言 誰が言ったかが価値になり、要約されても名前が残りやすい 事業責任者や開発者が実名で書く提言
    6 体験型のコンテンツ 自分の数字を入れて初めて答えが出るので、AIの要約で済まない ROI試算、診断、テンプレート
    7 サイト外での露出 AIは自社サイト以外の評判も参照する レビューサイト、外部メディア、ウェビナー

    1. 一次情報・独自データ

    自社のデータは「〇〇社の調査によると」と出典ごと引用されることが多く、社名も一緒に伝わります。取引や問い合わせ、製品の利用のデータを使う場合は、個社が特定されない形で、契約や利用規約の範囲内で集計します。たとえばPR TIMESは配信されたプレスリリース38万件を分析して公表し、「AIエージェント」を含むリリースが前年の45件から2,580件に増えたことを示しました。

    2. 数字入りの導入事例・現場のノウハウ・失敗談

    サイボウズのkintoneの事例では、沖縄電力が年間6万件の書類業務をなくし、1万5,000時間の業務時間を減らしたと紹介しています。スタメンは公式のnoteで、マーケティング部長がリードを増やしたのに営業から「連絡がつかない」と言われた失敗を振り返っています。ただしEXIDEAの調査では、事例・インタビューのページがAIの要約に引用された割合は25.0%と低めでした。成果の要約と数字は製品ページにも載せておきましょう。

    3. 正直な比較・選定コンテンツ

    EXIDEAの調査では、AIの要約に引用された割合は比較・ランキングの記事が46.0%で最も高く、IT・テクノロジーの分野では62.4%でした。引用された記事にはメリットとデメリットの両方を書く、数字で比べる、表で整理する、といった特徴が多く見られました(相関の分析です)。たとえば米Help ScoutはZendeskとの比較ページで、「従業員が500人を超え、大企業向けの機能が必要ならZendeskを選んでください」と、競合を選ぶべき条件まで書いています。

    4. 価格・仕様・取引条件・認証など製品の事実情報

    これらが公開されていないと、AIは「情報がない」と答えるか、外部の古い記事をもとに答えます。HubSpot Japanの購買に関する調査では、買い手が売り手に初めて連絡する目的の1位が「価格・見積もりの確認」(42.4%)でした。個別見積もりの製品でも、価格帯の目安、最小ロット、納期の目安、取得している認証は公開できないか検討しましょう。

    5. 実名の専門家による意見・提言

    名前と経歴のある人が立場をとって述べた意見は、要約されても「誰が言ったか」が残りやすくなります。LayerXは社員が実名で書くnoteのリレー企画「#日めくりLayerX」を続けており、CEOの福島良典氏もAIの利用費の管理についての提言を書いています。

    6. 計算ツール・診断・テンプレートなどの体験型コンテンツ

    費用対効果の試算、製品の選定ツール、課題の診断は、自分の条件を入れて初めて答えが出るので、クリックする理由が残ります。稟議の資料に使える形にしておけば、相手の社内で検討を進めるきっかけにもなります。

    7. レビューサイト、外部メディア、SNS・ウェビナーなどサイト外での露出

    AIは社外の情報も参照して答えるため、社外で語られていない会社はAIの回答にも出にくくなります。たとえばサイボウズは、ユーザーが事例を発表するイベント「kintone hive」の内容を、ASCII.jpの連載として外部のメディアにも載せています。方法は「BtoB企業のためのAIO・AEO対策外部施策完全ガイド」をご覧ください。

    AIに渡す情報と、自社サイトで確かめてもらう情報を分ける

    ここでいう「AIに渡す」とは、AIが読める公開ページに書いておくことです。すべてを渡せば自社サイトに来る理由がなくなり、何も渡さなければAIの候補に入りません。AIには仕様、料金、条件、向き不向き、調査の結論と数字など、選定条件に当てはまるかを判断できる情報を渡します。自社サイトには診断、試算、デモ、詳しいデータ、相談など、「自分の会社の場合はどうなるか」に答えるものを置きます。

    AIに渡す情報と、自社サイトで確かめてもらう情報 左はAIに渡す情報で、候補に入るためのもの。仕様・料金・プラン、向いている企業と向いていない企業、調査の結論と主な数字、事例の成果の要約、認証・取引条件。右は自社サイトで確かめてもらう情報で、選ばれるためのもの。診断・ROI試算、無料トライアル・デモ、レポート全文・業界別の詳細、導入の詳しい経緯、見積もり・会員価格・CAD。下の注記:渡さないことは隠すことではない。情報があることとその価値はAIに伝える。 AIに渡す 候補に入るため 自社サイトで確かめてもらう 選ばれるため 仕様・料金・プラン 診断・ROI試算 向いている企業・向いていない企業 無料トライアル・デモ 調査の結論と主な数字 レポート全文・業界別の詳細 事例の成果の要約 導入の詳しい経緯 認証・取引条件 見積もり・会員価格・CAD 渡さない=隠す、ではない。情報があることと、その価値はAIに伝える
    図2 AIに渡す情報と、自社サイトで確かめてもらう情報(当社作成)
    • 渡さないことは、隠すことではない。「業界平均は〇%(業界別の詳細はレポートで)」のように、情報があることとその価値はAIに伝える
    • robots.txtでどのAIのクローラーを許可するか、フォームで閉じた資料をどう扱うかは、マーケティングと情シスで方針をそろえる。フォームの要否は「BtoB資料ダウンロードにフォーム入力は必要?不要?」で整理している
    • レビューサイトや外部の記事など、自社が管理できない情報もAIに渡る。これも設計の対象に含める

    境界線の引き方は業種によって違います。

    製造業(部品・素材・産業機械メーカー)の場合

    項目 AIに渡す(候補に入るため) 自社サイトで確かめてもらう(選ばれるため)
    製品仕様 型番、主なスペック、材質、寸法の範囲、対応規格(JIS・ISO・RoHSなど) CADデータ・詳細図面のダウンロード、サンプル請求
    適合性 主な用途、採用されている業界、向かない用途・条件 選定ツール、技術者への相談、試作・評価
    品質・供給 品質認証(ISO 9001、IATF 16949など)、生産拠点、標準リードタイム 品質データ、工場見学、監査対応の資料
    価格・取引 価格帯の目安、最小ロット、カスタム対応の可否 仕様・ロット別の見積もり

    仕様を出し惜しみすると不利になるのは、設計者がAIで候補を絞る段階です。図面・CADやカスタム対応は技術者と接点をつくる入口なので、自社サイトの側に置きます。キーエンスも製品の仕様は公開し、カタログや技術資料、CADデータのダウンロードと見積依頼はWeb会員向けにしています。

    卸売業(専門商社・卸)の場合

    項目 AIに渡す(候補に入るため) 自社サイトで確かめてもらう(選ばれるため)
    取扱商品 取扱カテゴリ、主なメーカー、品目数、対応エリア 品番検索、在庫確認、会員価格
    取引条件 最小発注単位、配送エリア、納期の目安、新規取引の流れ 個別見積もり、掛け取引、専用の発注サイト
    付加価値 物流網、小分け・加工・代替品の提案などの対応範囲 担当者による代替品やコスト削減の提案
    業界の知見 市況や価格動向の概況 詳しい市況レポート、定期配信、勉強会

    「何を扱い、どんな条件で買えるか」がAIに伝わらないと、候補になりません。取引先ごとの実際の価格と発注は会員サイトや営業担当者の価値の源泉なので、AIには渡しません。トラスコ中山も、取扱説明書や図面、SDSは商品検索サイトで見られるようにする一方、販売店が設定した価格で在庫と納期を確かめて注文できる購買サイトはユーザー向けの会員サイトにしています。

    IT(ソフトウェア・ITサービス)の場合

    項目 AIに渡す(候補に入るため) 自社サイトで確かめてもらう(選ばれるため)
    製品情報 料金体系、プラン、機能一覧、連携先、セキュリティ認証 無料トライアル、デモ
    適合性 向いている企業規模・業種、向いていないケース 診断ツール、導入相談
    データ 調査の結論と主な数字、ベンチマークの要旨 レポート全文、業界別・規模別の詳細
    費用対効果 一般的な効果の目安 自社の数字で計算するROI試算、稟議用の資料

    製品情報の公開が当たり前の業種なので、差は自社サイトの側でつきます。使い勝手やサポートの質は試してもらわないと伝わらないため、料金ページと比較ページから、無料トライアルとデモの申し込みへの導線を置きましょう。会員向けのサイトの業種ごとの使い分けは「業種別カスタマーポータル活用法」で紹介しています。

    AIに引用されやすい書き方

    EXIDEAが検索1位のページ1,094件を調べた調査では、AIの要約に引用されたページの53.9%が冒頭で質問に直接答えており、引用されなかったページ(37.2%)より多くなっていました。著者の情報を載せていた割合も24.9%と、引用されなかったページ(14.3%)を上回っていました。いずれも相関ですが、次の4点は押さえておきましょう。

    • 結論を先に書く。見出しのすぐ下の1〜2文で、その節の答えを言い切る
    • 数字は具体的に書き、調査主体・対象・期間を添える。「多くの企業が」ではなく「〇社中〇社が」と書く
    • 比較や条件は表に、よくある疑問はFAQにまとめる
    • 著者名と更新日を明記する。製品の仕様や料金のページも、いつ時点の情報かを書く

    施策の優先順位は「LLMO対策で何が効くのか?」で詳しく解説しています。

    KPIの変え方

    順位やCTRは引き続き見ながら、次の4つを加えます。

    指標 わかること 見る場所・方法
    指名検索数 社名や製品名で探す人が増えているか。AIの回答で名前を知った人も、ここに表れやすい Search Consoleで社名・製品名を含む検索語に絞る
    AI経由の流入 ChatGPTなどの回答から自社サイトに来た人の数と、その後の行動 GA4の「AI アシスタント」のチャネル
    商談時の認知経路 商談相手がどこで自社を知り、何と比べたか 商談のヒアリングに「AIで調べたか」「何と比べたか」を加える
    AIでの言及状況 買い手が使いそうな質問で、AIの回答に自社名が出るか 同じ質問を毎月ChatGPT・Gemini・Perplexityなどに聞いて記録する

    GA4の「AI アシスタント」は、2026年5月13日の更新で加わったチャネルです。GoogleのAIの要約とAIモードからの訪問は「オーガニック検索」に、リンク元が記録されない訪問は「ノーリファラー」に入るので、AI経由の流入は少なめに出ると考えておきましょう。

    どのページがAIの要約やAIモードに表示されたかは、2026年8月31日から全サイトで使えるSearch Consoleの「生成 AI パフォーマンス レポート(検索)」で確かめられます。分かるのは表示回数だけで、表示が少ないサイトではレポート自体が出ないこともあります。

    AIの回答は聞くたびに変わるので、言及状況は質問を固定して毎月記録し、傾向を見ます。指名検索の目安は「指名検索比率の平均値とベンチマーク」、増やし方は「BtoBサイトの指名検索を増やす方法」にまとめています。

    AIで調べた後にサイトを訪れる企業をつかむ

    ヴァリューズの調査は、検索行動が「AIの要約で済ませる」ものと「サイトでじっくり検討する」ものに分かれつつあるとしており、Google検索から来た人の直帰率は2023年以降下がり、滞在時間は伸びる傾向でした。流入の数が減っても、来た人の中には料金や事例を確かめに来た検討者がいます。

    toviraのcoreAnalyticsは、サイトを訪れた企業を特定するBtoB向けのアクセス解析ツールです。

    比較・選定の記事を、現場の担当者、情シス、決裁者の切り口でそろえるなら、1つの検討テーマを最大20本の記事群として制作するContent Studioが、CADデータや会員向けの情報を取引先ごとに出し分けるならカスタマーポータルが使えます。

    ※2026年10月時点の各機能ページの記載に基づきます。

    AIで候補を絞った企業の動きを確かめたい方へ

    coreAnalyticsでできることは機能ページで紹介しています。

    coreAnalyticsの機能を見る

    よくある質問

    ゼロクリック検索が増えると、SEOは意味がなくなりますか?

    なくなりません。AIの要約も検索結果のページを参照して作られ、EXIDEAが2026年2〜3月に調べた調査では、Google検索で1位だったページの61.2%がAIの要約に引用されていました。クリック数に加えて、AIの回答への引用と指名検索も見るようにします。

    「〜とは」の記事は削除したほうがいいですか?

    削除する必要はありません。Search ConsoleでCTRを確かめてから、統合するか、自社のデータや事例を足して作り直すかを決めます。自社の定義やデータが入った用語解説は、AIの回答に引用されるきっかけになります。

    料金を公開しないと、AIの比較で不利になりますか?

    不利になりやすいと考えられます。料金が載っていなければ、AIは「料金は非公開」と答えるか、外部の古い情報をもとに答えます。HubSpot Japanの購買に関する2026年の調査でも、買い手が最も信頼する情報は「価格・追加費用・契約条件が明瞭な情報」(60.6%)でした。

    まとめ

    • 日本の検索の68.1%、米国のGoogle検索の68.01%がクリックなしで終わっている。10年続く流れを、AIの要約が速めている
    • まずSearch Consoleで「とは」系の検索のCTRを確かめ、影響の大きさを社内で共有する
    • 一般的な用語解説やまとめ記事は新しく作る優先度を下げ、一次情報、事例、正直な比較、製品の事実情報など7つのコンテンツを伸ばす
    • 結論と事実はAIが読める公開ページに書き、「自社の場合どうなるか」は自社サイトで確かめてもらう。境界線は業種ごとに引く
    • KPIに、指名検索数、AI経由の流入、商談時の認知経路、AIでの言及を加える

    coreAnalyticsの機能を見る

    参考資料

    編集者:

    中川 晃次

    再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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