経営者に向けたマーケティング─日本のCEOに届くメディア・広告・手法を総まとめ

    INFOGRAPHIC GUIDE

    経営者マーケティング
    実践ガイド

    日本のCEO・経営者に届く11のメディア・広告・手法をビジュアルで完全解説

    経営者マーケティングとは、CEO・社長・CxOなど企業の最終意思決定者に、個人レベルで直接アプローチする手法の総称です。本記事ではこの考え方を「BtoCEO」(Business to CEO)という造語で表現。BtoBの精緻なターゲティングと、BtoCのパーソナルな訴求を掛け合わせた、新しいマーケティングの形を解説します。

    本ガイドの主な参考文献

    McKinsey & ANA 共同調査

    Fortune 250企業のCEOのうちマーケティング経験者はわずか約10%

    論文を読む →

    Gartner / Forrester (2024)

    BtoB購買委員会の平均人数は6〜13名。経営者は意思決定の頂点

    論文を読む →

    Edelman-LinkedIn B2B Impact Report (2024)

    C-suiteの54%が週1時間以上、ソートリーダーシップに触れている

    論文を読む →

    Concept

    BtoB・BtoC・BtoCEO
    3つの違い

    BtoB

    対象企業(組織・部署)
    決裁購買委員会(6〜13名)
    訴求ROI・コスト削減・効率
    手法ホワイトペーパー・事例
    思考ロジカル重視

    BtoC

    対象一般消費者(個人)
    決裁本人(または家族)
    訴求感情・体験・ライフスタイル
    手法SNS広告・レビュー・動画
    思考エモーショナル重視
    NEW

    BtoCEO

    対象経営者(CEO/CxO個人)
    決裁CEO本人+右腕(CxO)
    訴求経営課題の解決・ビジョン共感
    手法ソートリーダーシップ・DM
    思考ロジカル × エモーショナル

    BtoBの精緻なターゲティング + BtoCの人間味 = BtoCEO

    10%

    Fortune 250 CEOの
    MKT経験保有率

    73%

    無関係なアウトリーチを
    避けるバイヤー

    80%

    手紙DMの
    開封・閲読率

    94.8%

    テレ東TVer広告の
    視聴完了率

    Media & Ads

    日本の経営者が本当に見ている
    7つのメディア

    経営者に「仕事の文脈」で届くチャネルを厳選

    1

    業界新聞 / 専門サイト

    日刊工業新聞、繊研新聞など業界紙は経営者が「仕事として精読」する媒体。MONOist、m3.comなどのWebメディアへの寄稿も有効。数十万円〜の記事広告から始められます。

    2

    LinkedIn

    グローバルで1,000万人のC-levelが登録。外資系・グローバル志向CEOへのリーチに最適。Lead Gen FormsはCVR約5倍(13% vs 2.35%)。

    3

    Eight / Sansan

    日本特有の「名刺」起点リーチ。「代表取締役」「取締役」の肩書きで絞り込み可能。名刺データからABMターゲットリストを直接生成。

    4

    Facebook(Meta)広告

    月数万円から始められる経営者TG。役職×意思決定者セグメントで「社長」「CEO」を直接指定。類似オーディエンスの精度も高い。

    5

    ポッドキャスト / Voicy

    経営者の「ながら聴き」に入り込む。C-suiteの54%が週1時間以上ソートリーダーシップコンテンツに触れている。自社配信は無料

    6

    LINEヤフー広告2026年4月〜

    LINE 9,700万人+Yahoo!が統合。職業「経営者、会社役員」を直接指定可能。地方・50〜60代はFacebookよりリーチ優位。

    7

    テレ東経済番組 / 地方局テレビCM

    WBS・カンブリア宮殿は経営者が集中視聴。TVerへの動画広告は10万円〜で出稿可能(視聴完了率94.8%)。地方局スポットCMは1本数万円〜で「テレビに出ている会社」の信頼感を獲得。

    Approach

    経営者の心を動かす
    4つの手法

    ソートリーダーシップ

    自社の経営陣が「信頼される発信者」になることが最も強力な手法。日本では個人ブランディングに消極的な経営者が多い=先行者優位が大きい

    NewsPicks発信 Voicy / Podcast 業界専門誌 寄稿 カンファレンス登壇

    DM・セールスレター(手紙営業)

    最もコスパの高いCEOアプローチ。本人宛手紙の開封率約80%。メール返信率0.5%に対し手紙DMは1〜3%1通200〜500円で始められます。

    バイネーム宛名 IR情報引用 経営者名義で差出 3〜5日後フォローコール

    紹介ネットワークの設計

    日本で最も成功率が高いのは信頼できる第三者からの紹介。ツールでは代替できない、日本の商文化に根ざした手法。

    既存顧客リファレンス アドバイザリーボード 金融機関・会計事務所連携

    ABMオーケストレーション

    上記のメディア・手法をバラバラに使うのではなく、1つのカスタマージャーニーとして統合する。次のセクションで詳しく解説します。

    認知→興味→検討→商談→決定

    Orchestration

    経営者マーケティング
    オーケストレーション

    5つのフェーズで統合的にアプローチ

    認知 月5〜20万円

    Facebook広告 + LINEヤフー広告 + テレ東TVer広告

    興味 月数万円〜

    業界専門メディア + ソートリーダーシップ

    検討 1通200〜500円

    パーソナライズDM・セールスレター

    商談 会食費のみ

    紹介ネットワーク + 経営者同士の対話

    決定

    カスタムROI提案 + リファレンス紹介

    Budget Plan

    予算別アクションプラン

    大きな予算がなくても、今日から始められます

    STARTER

    月0〜5万円

    今すぐ始められる

    ターゲットCEO上位10名にセールスレター(1通200〜500円)
    Voicy / Podcastの発信を開始(無料)
    業界専門メディアへの寄稿1本(無料)
    既存顧客に紹介を1件依頼(無料)

    GROWTH

    月5〜20万円

    効果を加速させる

    Facebook + LINEヤフー広告で経営者セグメントにテスト配信
    テレ東TVer経済番組に動画広告(10万円〜)
    セールスレターを月50〜100通に拡大 + フォローコール体制

    SCALE

    月20万円以上

    本格的プログラム

    業界専門紙の記事広告を定期出稿
    地方局テレビCMで信頼性を獲得
    紹介ネットワーク仕組み化(アドバイザリーボード設置)

    Caution

    日本でやってはいけない
    NG手法

    NG

    一斉配信メルマガ

    バイヤーの73%が無関係なアウトリーチを送るサプライヤーを避けている(Gartner 2025)

    NG

    テレアポの代表電話突撃

    経営者に繋がる確率は極めて低い。むしろ企業イメージを毀損するリスクあり

    NG

    機能訴求の長文ホワイトペーパー

    CEOの70%がMKT効果を売上成長とマージンで評価。「機能一覧」は響かない(McKinsey)

    NG

    いきなりのLinkedIn InMail

    日本の経営者は営業InMailに慣れていない。先にコンテンツで認知を取るのが先

    Summary

    経営者マーケティング
    3つの原則

    精緻にターゲティング

    テクノロジーの力で経営者個人を特定し、役職・業界・行動データで無駄のないリーチを実現する

    丁寧さで信頼を築く

    日本ならではの手紙文化・紹介ネットワーク・対話を通じて、人間関係の中で信頼を積み上げる

    低予算でも始められる

    手紙1通、SNS広告月5万円、業界紙への寄稿──この3つで経営者マーケティングの最初の一歩が踏み出せる

    テクノロジー × 日本の丁寧さ = 経営者マーケティングの最適解

    経営者マーケティングとは、企業の最終意思決定者であるCEO・社長・CxOに対して、個人レベルでアプローチするマーケティング手法の総称です。従来のBtoBマーケティングが「企業」や「部署」を対象にしてきたのに対し、経営者マーケティングでは意思決定の頂点にいる経営者個人にフォーカスを絞ります。

    本記事では、この考え方を「BtoCEO」(Business to CEO)という造語で表現します。BtoBの「B(企業)」でもBtoCの「C(消費者)」でもなく、ターゲットを「CEO」に置き換えた概念です。この言葉自体は業界で定着した用語ではありませんが、経営者マーケティングの本質──BtoBの精緻なターゲティングと、BtoCのパーソナルな訴求を掛け合わせる──を端的に表しています。

    では、なぜ今「経営者個人」に届けることが重要なのか? まずはBtoB・BtoCとの違いを整理してから、本題の実践ガイドに入りましょう。

    BtoB・BtoC・経営者マーケティング(BtoCEO)──3つの違いを一目で理解する

      BtoB BtoC 経営者マーケティング(BtoCEO)
    ターゲット 企業(組織・部署) 一般消費者(個人) 経営者(CEO/CxO個人)
    意思決定者 購買委員会(平均6〜13名)※1 本人(または家族) CEO本人+その右腕(CFO、CxOなど)
    訴求ポイント ROI・コスト削減・業務効率 感情・体験・ライフスタイル 経営課題の解決・ビジョンへの共感
    購買サイクル 長い(数ヶ月〜年単位) 短い(即日〜数週間) 可変(CEOの一声で劇的に短縮されることも)
    コンテンツ ホワイトペーパー、事例、比較表 SNS広告、レビュー、動画 ソートリーダーシップ、経営者対談、パーソナライズDM
    主なチャネル 展示会、ウェビナー、メール Instagram、YouTube、店舗 経済メディア、紹介、クローズドイベント
    KPI MQL/SQL数、パイプライン金額 CVR、CPA、LTV ターゲット経営者のエンゲージメント率、商談化率
    アプローチ ロジカル(データ・数値重視) エモーショナル(感覚・直感重視) ロジカル×エモーショナルのハイブリッド

    ポイント:経営者マーケティングは「BtoBの進化形」であり「BtoCの要素」を取り込む

    経営者マーケティングは、BtoBを否定するものではありません。BtoBの枠組みの中で、最終意思決定者である経営者個人にフォーカスを絞るアプローチです。

    ただし、経営者へのアプローチにはBtoCの発想が不可欠です。なぜなら経営者も「ひとりの人間」だから。データだけでなくストーリーで心を動かし、パーソナルな接点で信頼を築く──こうしたBtoC的な要素を、BtoBの精緻なターゲティングと組み合わせるのが経営者マーケティングの真骨頂です。

    McKinseyの調査では、Fortune 250企業のCEOのうちマーケティングのバックグラウンドを持つのはわずか約10%と報告されています(※2)。日本企業においてはその比率はさらに低いと考えられます。だからこそ、BtoBのマーケティング用語ではなく、CEOが日常的に使う「成長」「競争優位」「リスク」といった経営の言語で語りかけることが決定的に重要になります。

    では、日本の商環境で具体的にどんなツール・メディア・手法を使えばいいのか? ここからが本題です。

    BtoB 企業(組織)を対象 ロジカル訴求 長い購買サイクル BtoC 一般消費者を対象 エモーショナル訴求 短い購買サイクル 経営者MKT (BtoCEO) ロジカル × エモーショナル 「経営の言語」で語る パーソナライズが命 CEO一声で短縮も 精緻な ターゲティング ストーリーと パーソナル接点 経営者マーケティング = BtoBの精緻さ × BtoCの人間味

    【メディア編】日本の経営者が本当に見ている場所

    1. 業界新聞 / 専門サイト ── 経営者が「仕事として読む」メディアに入る

    経営者がSNSを流し見する前に、業界紙や専門メディアは「仕事の一部」として精読される点が経営者マーケティングで見逃せないチャネルです。特定業界のCEOにピンポイントで届くうえ、広告費もマスメディアに比べて格段に低く抑えられます。

    具体的な活用法

    • 業界新聞への記事広告・タイアップ:日刊工業新聞(製造業)、日本農業新聞(農業・食品)、建設通信新聞(建設)、繊研新聞(アパレル)など、業界ごとに経営者が購読する専門紙が存在します。1回数十万円〜の記事広告から始められる媒体も多い。
    • 業界専門Webメディアへの寄稿・バナー広告:ITならTechCrunch Japan / ASCII.jp、製造業ならMONOist / @IT、医療ならm3.com、物流ならLOGI-BIZ。業界特化メディアは「経営者が業務として読んでいる」ため、広告の文脈適合性が高い。
    • 業界団体の会報誌・メールマガジン:各業界団体や商工会議所が発行する会報誌は、会員企業の経営者に直接届く。広告掲載費も比較的安価で、信頼性が高い(団体公認の広告という文脈)。
    • 日経産業新聞 / 日経MJ:日経本紙ほどの購読者数はないものの、業界別の深い記事を求める経営者が読むサブ媒体。タイアップ記事は本紙より低予算で出稿可能。

    2. LinkedIn ── 日本でも伸びているグローバル経営者チャネル

    日本でのLinkedIn利用者はまだ限定的ですが、外資系企業の経営者やグローバル志向の日本人CEOへのリーチでは圧倒的な強さを発揮します。グローバルでは1,000万人以上のC-level経営者が登録しており、メンバーの80%がビジネス上の意思決定に関与しています(※3)

    具体的な活用法

    • LinkedIn広告(Campaign Manager):役職×職種×業界でC-suiteに絞り込んだターゲティング広告。Lead Gen Formsは外部LPに比べてコンバージョン率が約5倍(13% vs 2.35%)(※4)
    • Thought Leader Ads:経営者個人の投稿をそのまま広告配信。企業アカウントよりも「人」の顔が見えるフォーマット(※5)
    • 日本市場での注意点:LinkedInは外資系・IT/SaaS・スタートアップ界隈では浸透していますが、日本の伝統的な大企業経営者へのリーチは限定的。ターゲット企業の属性を見極めて使い分けることが重要です。

    3. Eight / Sansan ── 日本特有の「名刺」起点のリーチ

    日本のビジネス文化で独自の存在感を持つのが、名刺管理プラットフォームです。Eight(ビジネスSNS)はSansan社が運営する名刺アプリで、経営者層のユーザーも多く、経営者マーケティング的なアプローチに活用できます。

    具体的な活用法

    • Eight広告:名刺交換データに基づく役職・業種ターゲティング広告。「代表取締役」「取締役」などの肩書きで絞り込み可能。
    • Sansanの企業データ活用:自社の名刺データを分析し、どの企業のどの役職者と接点があるかを可視化。ABMのターゲットリスト作成に直結。
    • Eightのビジネスイベント機能:経営者が参加するオンラインイベントへのスポンサーシップ。

    4. Facebook(Meta)広告 ── 月数万円から始められる経営者ターゲティング

    経営者マーケティングを低予算で始めるなら、Facebook広告(Meta広告)が最も現実的な選択肢のひとつです。Facebookは実名制のSNSであり、プロフィールに登録された役職・業界・勤務先情報を使った精度の高いターゲティングが可能。月額数万円からでも効果を実感できるとされています(※15)

    経営者をターゲティングする具体的な設定方法

    • 役職ターゲティング:「代表取締役」「社長」「CEO」「オーナー経営者」「取締役」「執行役員」などの役職で直接指定が可能(※16)
    • オーディエンスセグメント(2022年追加):「ビジネスの意思決定者の役職および興味・関心」「ビジネスの意思決定者」など、BtoB向けの専用セグメントが用意されています(※15)
    • 興味・関心ターゲティング:「高級車」「ゴルフ」「経営戦略」「M&A」など、経営者層に多い関心事で間接的にリーチ。役職を登録していない経営者にも届きやすい手法です(※17)
    • 類似オーディエンス:既存の顧客リスト(経営者リスト)をアップロードし、似た属性のユーザーに配信。経営者同士はFacebook上で繋がっていることが多く、類似配信の精度が高い傾向があります(※17)
    • カスタムオーディエンス:自社サイト訪問者やメールリストに基づくリターゲティング。一度関心を示した経営者を取りこぼさない。

    低予算で始めるコツ

    • CVポイントは「問い合わせ」ではなく「ホワイトペーパーDL」や「セミナー申込」などハードルの低いものに設定(※17)
    • まず月5〜10万円でテスト運用し、反応の良いセグメント×クリエイティブの組み合わせを見つける
    • LinkedIn広告(CPC $5-10)に比べてFacebook広告はCPCが数分の1で済むため、予算の限られたチームの最初の一歩に最適

    5. ポッドキャスト / Voicy ── 経営者の「ながら聴き」に入り込む

    経営者の情報収集手段として、音声コンテンツの存在感が増しています。Edelman-LinkedInの2024年調査では、C-suiteの54%が週1時間以上をソートリーダーシップコンテンツの閲覧・聴取に費やしていると報告されています(※6)

    具体的な活用法

    • Voicy:日本のビジネスパーソン向け音声プラットフォーム。経営者パーソナリティが多数活躍しており、ビジネス層リスナーが集中。自社経営陣のチャンネル開設や、人気パーソナリティへのスポンサーシップが有効。
    • 自社ポッドキャストの制作:「○○業界のCEOが語る△△」という経営者対談形式が特に効果的。Apple Podcasts / Spotifyで配信。
    • 既存の経営者向けポッドキャストへのゲスト出演:日本ではPIVOT、NewsPicksの番組、経営者向けビジネス番組などが候補。

    6. LINEヤフー広告 ── LINE×Yahoo!統合で最強の国内リーチ

    2026年4月1日、LINE広告とYahoo!広告ディスプレイ広告が統合され、「LINEヤフー広告」として生まれ変わります(※18)。LINEの9,700万人+Yahoo! JAPANの巨大なユーザー基盤が1つのプラットフォームで運用可能になり、経営者マーケティングにとっても見逃せないチャネルです。

    経営者をターゲティングする方法

    • 職業セグメント「経営者、会社役員」:旧LINE広告から引き継がれるオーディエンスセグメントで、職業として「経営者、会社役員」を直接指定可能。
    • Yahoo!側の属性データとの統合:Yahoo! JAPANはビジネス層・経営層のユーザー数が国内No.1クラスとされており、統合により両プラットフォームのデータを横断した学習・ターゲティング精度の向上が期待されます(※18b)
    • 推定年収ターゲティング:属性セグメントの「推定収入」で上位層を指定し、経営者クラスタに近づける。
    • 興味関心 × 行動データの掛け合わせ:「ビジネス・産業」カテゴリに加え、LINEニュースの閲覧履歴やYahoo!検索の行動データなど、統合後はより豊富なシグナルが活用可能に。
    • 類似オーディエンス:既存の経営者顧客リストをアップロードし、LINE・Yahoo!双方のユーザーから類似ターゲットに配信。
    • LINE公式アカウントとの連携:広告で獲得したリードをLINE公式アカウントの「友だち」に誘導し、ステップ配信でナーチャリング。経営者層にはセミナー案内や業界レポートの配信が効果的。

    Facebook広告との使い分け

    Facebook広告は役職ターゲティングの精度が高い一方、LINEヤフー広告はリーチの広さと日本市場での浸透度が強み。特に地方の中小企業経営者Facebookを積極的に使っていない50〜60代の経営者層にはLINEヤフー広告のほうが到達率が高い傾向にあります。両方を月5万円ずつでテスト運用し、反応の良いほうに予算を寄せるのが現実的です。

    注意: 旧LINE広告は2026年10月下旬頃に広告配信を停止し、段階的に提供終了予定です。現在LINE広告を運用中の場合は、LINEヤフー広告ディスプレイ広告への移行準備を進めてください(※18)

    7. テレ東の経済番組広告 / 地方局テレビCM ── 「テレビに出ている会社」の信頼感

    経営者がテレビを観る時間は限られていますが、テレビ東京の経済番組だけは別格です。WBS(ワールドビジネスサテライト)、カンブリア宮殿、ガイアの夜明け、Newsモーニングサテライトは、経営者やビジネスリーダー層の視聴が集中しています(※19)

    テレ東経済番組への広告出稿

    • TVerでの動画広告配信(10万円〜):地上波CMは数百万円〜のコストがかかりますが、テレ東の見逃し配信「ネットもテレ東」やTVer上の経済番組には、10万円(税別)から動画広告を出稿可能です(※19)。平均視聴完了率94.8%、ブランドリフト(認知度)58%という高い効果が報告されています。
    • 番組指定配信:カンブリア宮殿やWBSなど、特定の経済番組を指定して広告を配信可能。DMPやTVerアンケートを活用した個人属性のセグメント配信もできます。
    • CTV(コネクテッドテレビ)配信:TVerのCTV視聴が伸長しており、地上波CMと同じようにテレビ画面に動画広告を表示可能。

    地方局テレビCMという選択肢

    全国ネットのCMは予算的にハードルが高いですが、地方局のスポットCMは意外と現実的な価格帯で出稿できます。特に以下のケースで有効です:

    • 地方の中堅・中小企業の経営者にリーチしたい場合:地方局の夕方ニュースや朝の情報番組は、その地域の経営者が視聴している確率が高い
    • 「テレビCMを出している会社」という信頼性の獲得:総務省の調査でも、テレビは「信頼できるメディア」として上位にランクイン(※20)。特にBtoBでは「テレビで見た会社」という認知が商談時の信頼性を大きく底上げする
    • 営業チームへの士気向上効果:自社のCMがテレビで流れることで、社内のモチベーションや採用ブランディングにも好影響

    予算別の選択肢

    手法 予算目安 向いているケース
    テレ東TVerへの動画広告 月10万円〜 全国の経営者層に低予算でリーチしたい
    地方局スポットCM(15秒) 1本数万円〜(地域による) 特定地域の経営者に信頼感と認知を獲得したい
    BSテレ東の番組スポンサー 月数十万円〜 ビジネス層に継続的にリーチしたい

    【手法編】日本の経営者の心を動かすアプローチ

    8. エグゼクティブ・ソートリーダーシップ(経営者発信)

    自社の経営陣が「信頼される発信者」になることが、経営者マーケティングの最も強力な手法です。日本では「個人のブランディング」に消極的な経営者も多いですが、だからこそ先に始めた企業が圧倒的な優位を築けます。

    日本市場での実行ステップ

    1. NewsPicksでの発信を開始:業界ニュースへの専門的コメントを週3回以上。「この人はこの分野に詳しい」という認知を構築
    2. Voicyまたはポッドキャストを開始:週1回10分の音声配信。移動中に聴ける手軽さが経営者に刺さる
    3. 日経ビジネスや業界専門誌への寄稿:「○○業界の未来」といった大テーマで経営者の目に留まるコンテンツを制作
    4. 業界カンファレンスでの登壇:オンライン↔オフラインの相乗効果で、発信の信頼性を積み上げる

    9. DM・セールスレター(手紙営業)── 最もコスパの高いCEOアプローチ

    経営者マーケティングにおいて、最も低予算かつ高効果な手法が「手紙営業(セールスレター)」です。テレアポでは受付で弾かれる経営者にも、本人宛の手紙は直接届きます。本人宛の手紙の開封・閲読率は約80%といわれ、メールの返信率(約0.5%)に対して手紙DMの反応率は約1%〜3%と大幅に高い数字が報告されています(※15b)

    スタートアップのLeanerは、エンタープライズ企業の決裁者に対して週200通もの営業レターを送り、インバウンド施策と比較して成約率2倍以上、リードタイムも短い成果を上げています(※15c)

    セールスレターの基本構成

    1. 宛名:必ずバイネーム(「○○株式会社 代表取締役 △△様」)。「ご担当者様」は絶対にNG
    2. 冒頭:相手企業の中期経営計画やIR情報、最近のニュースに触れて「あなたのために調べました」を示す
    3. 課題提起:経営者の立場で共感できる課題を1つだけ提示
    4. 解決策の示唆:自社サービスの紹介は最小限に。「○○業界の他社ではこのように解決しています」という事例ベースが効果的
    5. CTA:「15分のオンライン面談」など、ハードルの低いネクストステップを提示
    6. 差出人:経営者宛には自社の経営者名義で出す。「担当→経営者」より「経営者→経営者」のほうが開封・返信率が高い

    低予算で始める具体的なステップ

    ステップ 内容 概算コスト
    ① ターゲットリスト作成 上場企業なら有報・IR情報からキーマンを特定。非上場なら帝国データバンクやスピーダを活用 無料〜月数万円
    ② 手紙の作成 1通ずつパーソナライズ。中期経営計画の該当箇所を引用するのが効果的(※15c) 人件費のみ
    ③ 封筒・切手 和紙の封筒+手書き宛名+記念切手で特別感を演出 1通あたり200〜500円
    ④ フォローコール 手紙送付3〜5日後にインサイドセールスが電話フォロー 人件費のみ
    ⑤ 効果測定 開封確認用QRコードの挿入、送付後の商談化率を追跡 無料

    BtoBマーケティングの専門家によるメソッドでは、CXO向け手紙施策のアポ獲得率は、内容とターゲティングが適切であれば10通に1通以上。ただし社長宛ではなく、自社の提案内容に合った担当役員(CMO、CTO、CFOなど)を特定して送ることが重要とされています。

    手紙の効果を高めるプラスアルファ

    • 書籍の同封:ターゲットCEOの経営課題に関連する書籍を「この本を読んで○○様のことが浮かびました」と手紙に添えて送付
    • 季節の挨拶に乗せる:年始の挨拶状、暑中見舞い、お歳暮の時期に合わせると、日本の商習慣として自然に受け入れられる
    • イベント後のフォローアップ:カンファレンスや会食での会話内容に触れたお礼の手紙は、デジタルでは出せない「温度感」
    • 手紙営業代行の活用:リソースが限られる場合は、カタセル、レタル、レタゲットなど専門の代行サービスも検討(月数万円〜)

    10. 紹介ネットワークの設計

    日本の経営者へのアプローチで最も成功率が高いのは、信頼できる第三者からの紹介です。これはツールでは代替できない、日本の商文化に根ざした手法です。

    仕組み化のポイント

    • 既存顧客の経営者にリファレンスを依頼:「○○社のCEOにご紹介いただけないか」を組織的にリクエストする仕組みを作る
    • アドバイザリーボードの設置:業界の有力経営者3〜5名に非常勤のアドバイザーを依頼し、その人脈を通じてターゲットCEOにリーチ
    • 金融機関・会計事務所との連携:地方の中堅・中小企業のCEOにリーチするには、地方銀行や商工会議所、顧問税理士・会計士からの紹介が最も効果的(※12)

    11. ABMオーケストレーション(マルチチャネル統合)

    上記のメディア・ツール・手法をバラバラに使うのではなく、ひとつのカスタマージャーニーとして統合するのがABMオーケストレーションです。

    日本版・経営者マーケティングのオーケストレーション例

    認知 Facebook広告 LINEヤフー広告 テレ東TVer広告 経営者セグメント× 意思決定者TG 月5〜20万円 興味 業界専門メディア ソートリーダーシップ 業界紙タイアップ Voicy / Podcast発信 月数万円〜 検討 パーソナライズド DM・セールスレター 手書き手紙+ IR情報引用 1通200〜500円 商談 紹介ネットワーク 経営者同士の対話 既存顧客リファレンス アドバイザリーボード 会食費のみ 決定 カスタムROI提案 リファレンス紹介 事例コンテンツで 意思決定の後押し 経営者マーケティング ABMオーケストレーション
    フェーズ チャネル 具体的施策 予算目安
    認知 Facebook広告 + LINEヤフー広告 + テレ東TVer広告 経営者セグメント×意思決定者ターゲティングで広く認知 月5〜20万円
    興味 業界専門メディア + 自社ソートリーダーシップ 業界紙タイアップ記事、Voicy/ポッドキャスト発信 月数万円〜
    検討 パーソナライズドDM・セールスレター 手書き手紙+IR情報引用で「あなた宛て」の接触 1通200〜500円
    商談 紹介ネットワーク + 経営者同士の対話 既存顧客リファレンス、アドバイザリーボード経由 会食費のみ
    決定 カスタムROI提案 + リファレンス紹介 事例コンテンツで意思決定の後押し

    【番外編】日本でやってはいけないNG手法

    • 一斉配信メルマガ:Gartnerの2025年調査では、B2Bバイヤーの73%が無関係なアウトリーチを送るサプライヤーを積極的に避けています(※13)。日本の経営者は特に「自分宛てではない」と感じた瞬間にメールを閉じます。
    • テレアポの代表電話突撃:経営者に代表電話経由で繋がる確率は極めて低く、むしろ企業イメージを毀損します。経営者層には紹介・手紙・イベントでの接点創出を優先すべきです。
    • 機能訴求の長文ホワイトペーパー:経営者が求めているのは機能一覧ではなく「ビジネスインパクト」です。McKinseyの調査では、CEOの70%がマーケティング効果を売上成長とマージンで測定しています(※14)
    • いきなりのLinkedIn InMail:日本の経営者はLinkedInからの営業メッセージに慣れておらず、パーソナライズなしの量産InMailは不信感を生みます。先にNewsPicks等で認知を取ってから使うのが得策です。

    まとめ──経営者マーケティングは「低予算」でも始められる

    経営者マーケティングは、大きな予算がなくても始められます。高額なABMプラットフォームがなくても、手紙1通、Facebook広告月5万円、業界紙への寄稿──この3つで最初の一歩は踏み出せます。

    改めて、予算別のアクションプランを整理すると:

    【月0〜5万円】今すぐ始められること

    • ターゲットCEOリスト上位10名にパーソナライズしたセールスレターを送る(1通200〜500円)
    • 自社経営陣のVoicy / ポッドキャストでの発信を開始(無料)
    • 業界専門メディアへの寄稿を1本書く(無料)
    • 既存顧客の経営者に紹介を1件依頼する(無料)

    【月5〜20万円】効果を加速させる施策

    • Facebook広告 + LINEヤフー広告で「経営者・意思決定者」セグメントにテスト配信
    • テレ東TVerの経済番組への動画広告を出稿(10万円〜)
    • セールスレターの送付数を月50〜100通に拡大(+フォローコール体制構築)

    【月20万円以上】本格的な経営者マーケティングプログラム

    • 業界専門紙への記事広告・タイアップを定期出稿
    • 地方局テレビCMで「テレビに出ている会社」の信頼性を獲得
    • 紹介ネットワークの仕組み化(アドバイザリーボード設置)

    テクノロジーの力で精緻にターゲティングし、日本ならではの丁寧さと人間関係で信頼を築く。この掛け算こそが、日本の経営者マーケティングの最適解です。

    最終更新日:2026-02-18
    編集者:

    中川 晃次

    再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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