BtoBマーケティングファネルとは?リード・MQL・SQLなど主要用語と活用法を徹底解説

    BtoB Marketing Funnel Infographic

    マーケティングファネルを
    図解でやさしく理解する

    見込み顧客が「知る」から「買う」まで、どのように絞り込まれていくのか。リード・MQL・SQLなどの専門用語も、この1枚でスッキリわかります。

    BtoBマーケティングでは、すべての見込み顧客が契約に至るわけではありません。「認知→興味→検討→購入」と段階が進むにつれて人数は絞り込まれていきます。この流れを漏斗(じょうご)の形で可視化したものがマーケティングファネルです。本インフォグラフィックでは、ファネルの基本構造からリード用語、各段階の施策、マーケ×営業連携のポイントまでを図解で解説します。

    マーケティングファネルとは?

    見込み顧客が「知る → 買う」までに絞り込まれていく流れを、漏斗(じょうご)の形で可視化したフレームワーク

    STEP 1 ─ 認知

    自社の存在を知ってもらう。広告・SEO・展示会などが接点。

    ◀ ここが最も人数が多い ▶

    STEP 2 ─ 興味・関心

    より深い情報を届け、関係性を構築する。メルマガ・ウェビナー等。

    STEP 3 ─ 比較・検討

    複数の候補を比べ、導入を具体的に検討。導入事例・デモが有効。

    STEP 4 ─ 購入・契約

    提案・見積もりを経て契約を締結。

    ▲ 最も人数が少ない ▲

    段階が進むほど人数が減る → 漏斗(ファネル)の形になる

    ファネルの3つの種類

    目的に応じて使い分けることで、マーケティング戦略の精度が上がります。

    パーチェスファネル

    認知〜購入までの新規獲得プロセスを可視化する、最も基本的なモデル。

    逆三角形 ▽

    インフルエンスファネル

    購入後の紹介・口コミ・情報発信の拡散プロセスを可視化するモデル。

    三角形 △

    ダブルファネル

    上記2つを結合し、新規獲得+既存維持を一体管理するモデル。

    砂時計型 ⏳

    BtoBでファネルが特に有効な理由

    BtoBの購買プロセスには、ファネル管理と相性の良い3つの特性があります。

    購買決定が長期化

    数か月〜1年以上。衝動買いはほぼ起きず、段階的に検討が進む。

    意思決定者が複数

    担当者・上長・経営層・情シスなど、組織的に検討される。

    深い情報収集

    競合比較・ROI試算・導入事例など、高度な情報が求められる。

    「ファネルは古い」って本当?

    BtoCではSNS口コミなど非直線的な購買行動が増え「古い」と言われることもあります。しかしBtoBでは購買プロセスが依然として段階的であり、特にニッチな専門製品ではファネルの有効性は健在です。カスタマージャーニーやABMなど他のフレームワークと組み合わせて使うのが現代の最適解です。

    これだけ覚えればOK!リード用語マップ

    BtoBマーケティングで頻出するリードの分類用語を、フロー図で一気に理解しましょう。

    リード(Lead)

    自社に接点を持った見込み顧客の総称。名刺交換、資料DL、問い合わせなど。

    MAL Marketing Accepted Lead

    マーケティング部門が育成対象として受け入れたリード。競合や対象外を除外済み。

    担当:マーケティング部門
    MQL Marketing Qualified Lead

    マーケティング部門が「商談可能」と認定した確度の高いリード。スコアリングで判定。

    料金ページ閲覧 資料DL ウェビナー参加
    担当:マーケティング部門
    SAL Sales Accepted Lead

    営業部門が「フォローする価値あり」と受け入れたリード。差し戻しの場合もあり。

    担当:営業部門
    SQL Sales Qualified Lead

    営業部門が「商談対象」として認定した受注確度の高いリード。

    担当:営業部門
    商談 → 受注

    SGL(Sales Generated Lead)

    マーケティングを経由せず、営業活動から直接創出されたリード(引き合い・紹介案件など)。SGLは上記フローを経ずに直接SQLとして扱われます。

    SQL認定に使う「BANTC条件」

    B
    予算は確保されているか
    A
    決裁権を持つ人にアクセスできるか
    N
    明確な課題やニーズがあるか
    T
    導入時期の目処が立っているか
    C
    競合の検討状況はどうか

    営業案件を生み出す「デマンドジェネレーション」3ステップ

    リードを獲得 → 育成 → 絞り込み、の流れでMQLを創出します。

    1

    リードジェネレーション

    ─ 見込み顧客の獲得

    自社に関心を持つ見込み顧客を集める活動。ファネルの「認知」段階に対応。

    SEO Web広告 展示会 SNS
    2

    リードナーチャリング

    ─ 見込み顧客の育成

    継続的に情報を届け、購買意欲を段階的に引き上げる活動。

    メルマガ ホワイトペーパー ウェビナー
    3

    リードクオリフィケーション

    ─ 見込み顧客の絞り込み

    受注確度の高いリードをスコアリングで選別し、MQLとして営業に引き渡す。

    スコアリング 行動トラッキング

    獲得リードの直近案件化率はわずか約15%。さらにフォローを怠ると、80%は2年以内に競合から購入するという調査結果も。ナーチャリングの継続が機会損失を防ぐ鍵です。 出典:SiriusDecisions(現Forrester)の調査

    ファネル段階別 × やるべき施策マップ

    各段階で有効な施策は異なります。自社のボトルネックに合った施策を選びましょう。

    認知段階

    知ってもらう

    • オウンドメディアの SEO 対策
    • リスティング広告・ディスプレイ広告
    • 業界展示会への出展
    • SNS(LinkedIn・X)での情報発信

    興味・関心段階

    関係性を築く

    • メルマガの定期配信
    • ホワイトペーパー・eBook
    • ウェビナー・オンラインセミナー
    • 導入事例コンテンツの提供

    比較・検討段階

    選ばれる理由をつくる

    • 導入事例・お客様の声
    • 製品比較ガイド
    • 無料トライアル・デモの提供
    • 個別相談会の実施

    購入・契約段階

    契約を勝ち取る

    • 個別ニーズに合わせた提案書
    • 詳細な見積もりの提示
    • 導入スケジュール・サポート体制の説明
    • 契約条件の交渉と合意形成

    ファネル成功の鍵:マーケ × 営業の連携

    ファネルの成果を左右する最大の要因は、2つの部門がどれだけ噛み合っているかです。

    引き渡し基準の合意

    MQL・SQLの定義を両部門で共同策定し、明文化する。スコアリング閾値やトリガーアクションを具体的に決め、定期的に見直す。

    リード情報の共有

    MAツール×SFA/CRMを連携し、リードの行動履歴を一元管理。営業は「どのコンテンツに触れたか」を把握した上でアプローチできる。

    定期フィードバック

    月次/四半期ごとに「どの業種のMQLが商談化しやすかったか」「基準の調整は必要か」を振り返り、ファネル精度を継続改善する。

    Key Takeaways

    覚えておきたい 3つの原則

    可視化する

    ファネルで購買プロセスを段階的に見える化し、どこで顧客が離脱しているかを特定する。

    分類する

    MAL→MQL→SAL→SQLの段階でリードを管理し、適切なタイミングで営業に引き渡す。

    改善し続ける

    マーケ×営業の定期的なフィードバックでMQL/SQLの基準を見直し、ファネル精度を高め続ける。

    まずは自社のリード管理プロセスを振り返り、ファネルのどの段階にボトルネックがあるかを特定することから始めてみましょう。

    © BtoB Marketing Funnel Infographic

    BtoBマーケティングに携わっていると、「マーケティングファネル」「MQL」「SQL」といった用語を目にする機会が増えてきます。しかし、それぞれの意味や関係性を正確に理解できている方は意外と少ないのではないでしょうか。

    本記事では、マーケティングファネルの基本的な考え方から、BtoBならではの特性、そしてリード・MQL・SQLをはじめとする主要用語の定義と実務での活用法までを体系的に解説します。マーケティング部門と営業部門の連携に課題を感じている方や、リード管理の仕組みを見直したい方は、ぜひ参考にしてください。

    マーケティングファネルとは

    マーケティングファネルとは、見込み顧客が商品やサービスを「認知」してから「購入」に至るまでのプロセスを段階的に可視化したフレームワークです。

    「ファネル(Funnel)」は日本語で「漏斗(ろうと・じょうご)」を意味します。商品を認知した多くの見込み顧客のうち、次の段階に進むのは一部であり、最終的に購入に至る人数はさらに絞り込まれていきます。この段階的に人数が減少していく様子を図にすると漏斗のような逆三角形になることから、マーケティングファネルと呼ばれるようになりました。

    認知 多くの潜在顧客に自社の存在を知ってもらう 興味・関心 より深い情報を提供し関係性を構築する 比較・検討 複数の選択肢を比較し導入を具体的に検討する 購入・契約 多い 少ない 見込み顧客数
    図1:マーケティングファネルの基本4段階モデル

    一般的なマーケティングファネルは、以下の4段階で構成されます。

    1. 認知 ─ 見込み顧客が自社の商品やサービスの存在を知る段階。広告やSEO、展示会などが接点となります。
    2. 興味・関心 ─ 認知した見込み顧客が自社の商品やサービスに対して興味を持ち始める段階。メルマガやホワイトペーパーなどで情報提供を行います。
    3. 比較・検討 ─ 見込み顧客が複数の選択肢を比較し、導入を具体的に検討する段階。導入事例や製品比較ガイドが有効に機能します。
    4. 購入(契約) ─ 最終的に購入や契約を決定する段階。提案書の提示やスムーズな契約プロセスが求められます。

    このように購買プロセスを段階ごとに分解することで、「どのフェーズで見込み顧客が離脱しているか」を把握でき、マーケティング施策のボトルネックを特定しやすくなるのがファネルの大きなメリットです。

    マーケティングファネルの3つの種類

    マーケティングファネルには、目的や視点の違いにより大きく3つの種類があります。自社のマーケティング戦略に合わせて使い分けることが重要です。

    パーチェスファネル(購買ファネル)

    パーチェスファネルは、最も基本的で広く知られているファネルモデルです。前述した「認知→興味・関心→比較・検討→購入」の流れがこれにあたります。AIDMAモデル(Attention→Interest→Desire→Memory→Action)をベースとしており、消費者の購買行動を段階的に追跡する企業視点のフレームワークです。

    BtoBマーケティングでは、このパーチェスファネルを基本としながら、自社の商材やターゲットに合わせてカスタマイズするのが一般的です。

    インフルエンスファネル

    インフルエンスファネルは、パーチェスファネルとは逆に、購入後のプロセスに焦点を当てたモデルです。形状は逆三角形ではなく三角形(上に広がる形)になります。「継続利用→他者への紹介→情報発信(口コミ・SNSなど)」という流れで、購入した顧客が自社のブランドや製品を周囲に広めていくプロセスを表しています。

    BtoBにおいては、既存顧客からの紹介案件や事例インタビューの協力といった形で、このファネルが機能します。

    ダブルファネル

    ダブルファネルは、パーチェスファネルとインフルエンスファネルを組み合わせたモデルです。新規顧客の獲得(パーチェスファネル)と既存顧客の維持・推奨促進(インフルエンスファネル)の両方を一つの流れとして捉えます。

    認知 興味・関心 比較・検討 購入・契約 継続利用 他者への紹介 情報発信(口コミ・SNS) パーチェスファネル インフルエンスファネル
    図2:ダブルファネルの構造(パーチェスファネル + インフルエンスファネル)

    BtoBビジネスでは新規顧客の獲得と既存顧客のリテンション(維持)の双方が売上に直結するため、このダブルファネルの視点を持つことで、マーケティング全体の成果を最大化できます。

    種類 対象フェーズ 形状 主な目的
    パーチェスファネル 認知〜購入 逆三角形(▽) 新規顧客の獲得プロセスを可視化し、離脱ポイントを特定する
    インフルエンスファネル 購入後〜情報発信 三角形(△) 既存顧客による紹介・口コミの拡散プロセスを可視化する
    ダブルファネル 認知〜情報発信 砂時計型(⏳) 新規獲得と既存維持の双方を一体的に管理する

    出典:マーケティングファネルとは?基本情報から種類・活用方法までわかりやすく解説|BowNow

    BtoBマーケティングにおけるファネルの特性

    マーケティングファネルはBtoCで生まれた概念ですが、BtoBマーケティングにおいても非常に有効なフレームワークです。ただし、BtoBには特有の事情があるため、その違いを理解しておく必要があります。

    BtoCとの違い

    BtoBとBtoCでは、購買プロセスに以下のような違いがあります。

    比較項目 BtoB BtoC
    購買決定までの期間 数か月〜1年以上と長期化しやすい 即日〜数週間と比較的短い
    意思決定者 担当者・上長・経営層など複数が関与 基本的に個人が判断
    購買の動機 論理的・組織的な判断(ROI重視) 感情的な要素が強い(衝動買いもあり)
    情報収集の深さ 競合比較・導入事例・技術仕様など深い調査を行う 口コミやSNS、広告からの情報が中心
    ファネルの絞り込み 各段階で顕著に人数が減少する BtoBほど急激ではない

    出典:マーケティングファネルとは?作成方法や必要な理由等|Adobe

    これらの特性から、BtoBでは見込み顧客がファネルの各段階を進む際に「漏斗」のように絞られる傾向がBtoC以上に顕著であり、だからこそファネルによるプロセス管理が効果を発揮します。

    「マーケティングファネルは古い」は本当か?

    近年、「マーケティングファネルは古い」「時代遅れだ」という意見を見かけることがあります。この主張の背景には、消費者の購買行動が多様化し、必ずしもファネルのように直線的に進むわけではないという現実があります。たとえば、SNSの口コミで突然購入を決める場合や、一度離脱した顧客が再び検討段階に戻るケースなど、従来のファネルモデルでは説明しきれない行動パターンが増えています。

    しかし、BtoBにおいては事情が異なります。BtoBの購買プロセスは依然として「認知→検討→商談→契約」という段階的な流れを大きく逸脱しないケースが多く、特にニッチな領域の専門的な製品やサービスではファネルの有効性が高いといえます。

    BtoBの特性上、購入側(顧客企業側)の行動はまだ多様化していないことが多い。しかしDXの推進や人手不足などの影響がより強くなっていくと、BtoBでもマーケティングファネルは古いと言われるようになる可能性もある。

    ── ALUHA「BtoBマーケティングファネルとは?」

    もちろん、BtoBでもオンライン商談の普及により購買行動のデジタル化は進んでいます。そのため、ファネルだけに頼るのではなく、カスタマージャーニーやABM(アカウントベースドマーケティング)など他のフレームワークと組み合わせて活用することが、現代のBtoBマーケティングでは推奨されます。

    リードに関する主要用語を徹底解説

    BtoBマーケティングファネルを運用するうえで欠かせないのが、リードの分類に関する用語の理解です。ここでは、実務で頻繁に登場する主要用語を一つずつ解説します。

    リード(Lead)

    リードとは、自社の商品やサービスに何らかの接点を持った「見込み顧客」の総称です。展示会で名刺を交換した相手、ホワイトペーパーをダウンロードした人、Webサイトの問い合わせフォームから連絡をくれた人など、すべてが「リード」に含まれます。リードは、マーケティング活動の出発点となる存在です。

    MAL(Marketing Accepted Lead)

    MALは「Marketing Accepted Lead」の略で、マーケティング部門が「育成対象として受け入れたリード」を指します。すべてのリードがマーケティング施策の対象になるわけではありません。たとえば競合企業の情報収集目的の担当者、学生、自社のターゲットに合致しない業種のリードは除外する必要があります。こうした不要なリードを除外し、今後のリードナーチャリング(育成活動)の対象として認めたリードがMALです。

    MQL(Marketing Qualified Lead)

    MQLは「Marketing Qualified Lead」の略で、マーケティング活動を通じて一定の基準を超え、「商談につながる可能性が高い」と判断された見込み顧客です。MALの中からリードナーチャリングを行い、受注確度が高まったリードをMQLとして選別します。具体的には、以下のような行動が「MQL認定」の判断材料になります。

    • 製品の料金ページを複数回閲覧している
    • サービス詳細資料や導入事例をダウンロードした
    • ウェビナーに参加した後にお問い合わせページを訪問している
    • MAツールのスコアリングで一定のスコアを超えた

    MQLはマーケティング部門のKPI(重要業績評価指標)として設定されることが多く、その数と質がマーケティング活動の成果を測る重要な指標となります。

    出典:MQLとは?SQLとの違い・効果的な創出方法|SATORI

    SAL(Sales Accepted Lead)

    SALは「Sales Accepted Lead」の略で、マーケティング部門から引き渡されたMQLのうち、営業部門が「フォローする価値がある」と判断して受け入れたリードです。MQLが必ずしもそのままSQLになるわけではなく、営業部門がMQLを確認した結果、「まだ時期尚早」「ターゲットと合致しない」と判断してマーケティング部門に差し戻すケースもあります。SALは、この営業側の承認プロセスを経たリードを指す重要な中間ステータスです。

    SQL(Sales Qualified Lead)

    SQLは「Sales Qualified Lead」の略で、営業部門が「商談対象として認定した、受注確度の高いリード」を意味します。SQLに認定されたリードは、具体的なニーズが顕在化しており、予算や導入時期についても一定の見通しが立っている状態です。

    SQLの認定にあたっては、BANTC条件と呼ばれるヒアリングフレームワークがよく活用されます。

    要素 英語 確認内容
    B Budget 予算は確保されているか
    A Authority 決裁権を持つ人物にアクセスできるか
    N Need 明確な課題やニーズがあるか
    T Timeline 導入時期の目処が立っているか
    C Competitor 競合の検討状況はどうか

    出典:SQLとは?MQLとの違いやよくある課題と対策について解説|Sansan

    SGL(Sales Generated Lead)

    SGLは「Sales Generated Lead」の略で、マーケティング部門ではなく、営業活動によって直接創出されたリードです。いわゆる「引き合い」と呼ばれるもので、顧客からの直接の問い合わせや紹介案件などが該当します。SGLはすでにニーズが明確な状態で営業に接触してくるため、MQLからの育成プロセスを経るリードよりも商談化スピードが速い傾向にあります。

    出典:MQLとSQLの違いとは?マーケティング部門と営業部門の連携のコツを解説|アドエビス

    用語の関係性まとめ

    これらの用語は、リードの状態(ステータス)を段階的に表現したものです。全体の流れを以下の表で整理します。

    ステータス 正式名称 管理部門 定義
    リード Lead 自社に接点を持った見込み顧客の総称
    MAL Marketing Accepted Lead マーケティング マーケティング部門が育成対象として受け入れたリード
    MQL Marketing Qualified Lead マーケティング マーケティング部門が商談可能と認定した確度の高いリード
    SAL Sales Accepted Lead 営業 営業部門がフォロー対象として受け入れたリード
    SQL Sales Qualified Lead 営業 営業部門が商談対象として認定した受注確度の高いリード
    SGL Sales Generated Lead 営業 営業活動から直接創出されたリード(引き合い)

    出典:「MAL」「MQL」「SAL」「SQL」とは? リードを分類する用語を理解しよう|シャノン

    リード獲得(Lead) MAL(育成対象として受入れ) ← リードナーチャリング(育成) MQL(商談可能と認定) ← マーケ → 営業 引き渡し SAL(営業が受入れ・承認) ← BANTC条件の確認 SQL(商談対象として認定) 商談 → 受注 SGL 営業が直接創出 した引き合い マーケティング部門の管轄 営業部門の管轄 営業から直接創出(SGL)
    図3:リードのステータス遷移フロー(MAL → MQL → SAL → SQL → 受注)とSGLの合流

    デマンドジェネレーションとファネルの関係

    BtoBマーケティングファネルを実務で運用するうえで、「デマンドジェネレーション」の概念を理解しておくことが不可欠です。デマンドジェネレーションとは、営業案件を創出するためのマーケティング活動全体を指し、以下の3つのステップで構成されます。

    ステップ1:リードジェネレーション(見込み顧客の獲得)

    自社の商品やサービスに関心を持つ見込み顧客を獲得する活動です。ファネルでいう「認知」段階にあたります。主な施策としては、SEOによるオーガニック流入の獲得、Web広告の出稿、展示会への出展、セミナー・ウェビナーの開催、SNS(特にLinkedInやX)を活用した情報発信などがあります。単に大量のリードを集めるのではなく、自社のターゲットに合致した質の高いリードを効率的に獲得することが重要です。

    ステップ2:リードナーチャリング(見込み顧客の育成)

    獲得したリードに対して継続的に情報を提供し、購買意欲を段階的に高めていく活動です。ファネルの「興味・関心」から「比較・検討」段階への引き上げに対応します。メルマガ配信による定期的な情報提供、ホワイトペーパーや導入事例コンテンツの提供、ウェビナーへの招待などを通じて、リードとの関係性を構築します。

    獲得したリードのうち直近で案件化するのはわずか15%程度であり、フォローを怠った場合、その80%は2年以内に競合から製品を購入しているという調査結果もある。

    ── イノベーション「MQL(Marketing Qualified Lead)とは?」(SiriusDecisions社の調査を引用)

    長期的な視点でリードとの関係性を維持し続けることが、機会損失を防ぐ鍵となります。

    ステップ3:リードクオリフィケーション(見込み顧客の絞り込み)

    ナーチャリングを通じて購買意欲が高まったリードの中から、さらに受注確度の高いリードを選別する活動です。ここで選別されたリードがMQLとなり、営業部門に引き渡されます。MAツールのスコアリング機能を活用し、Webサイト閲覧履歴、メール開封・クリック状況、資料ダウンロードの有無、セミナー参加状況などをスコア化してMQLを認定するのが一般的です。

    ステップ 活動内容 対応するファネル段階 代表的な施策
    リードジェネレーション 見込み顧客の獲得 認知 SEO、Web広告、展示会、SNS
    リードナーチャリング 見込み顧客の育成 興味・関心 → 比較・検討 メルマガ、ホワイトペーパー、ウェビナー
    リードクオリフィケーション 見込み顧客の絞り込み 比較・検討 → 購入 スコアリング、行動トラッキング

    ファネル各段階で実施すべきBtoB施策

    ファネルの各段階で効果を発揮する施策は異なります。ここでは、各フェーズで実施すべき代表的な施策を紹介します。

    認知段階の施策

    認知段階では、ターゲット企業の担当者に自社の存在を知ってもらうことが目的です。まだ自社に接点のない潜在顧客に対して、広く情報を届ける施策が中心になります。

    • オウンドメディアのSEO対策による検索流入の獲得
    • 業界メディアへの記事寄稿やプレスリリース配信
    • リスティング広告・ディスプレイ広告の出稿
    • 業界展示会への出展
    • SNS(LinkedIn・Xなど)を活用した情報発信

    この段階ではまだ具体的なニーズが顕在化していないリードが多いため、自社の製品を直接売り込むのではなく、業界のトレンドや課題に関する有益な情報を発信し、信頼を獲得することが重要です。

    興味・関心段階の施策

    認知段階を経て自社に興味を持ち始めたリードに対して、より深い情報を提供し、関係性を構築するフェーズです。

    • メルマガの定期配信(業界動向・自社の知見の共有)
    • ホワイトペーパー・eBook(特定テーマの専門コンテンツ)
    • ウェビナー・オンラインセミナーの開催
    • 導入事例コンテンツの提供

    この段階では、リードの行動データ(どのコンテンツを閲覧しているか、メールの開封率等)をMAツールで追跡し、関心領域や検討度合いを把握しておくことが、次の段階への引き上げに役立ちます。

    比較・検討段階の施策

    リードが具体的に導入を検討し始め、複数の選択肢を比較しているフェーズです。自社の製品やサービスが選ばれるための決定的な情報を提供する必要があります。

    • 導入事例・お客様の声(同業種・同規模企業の成功事例)
    • 製品比較ガイド(競合との差別化ポイントの明示)
    • 無料トライアル・デモの提供
    • 個別相談会の実施

    購入(商談・契約)段階の施策

    ファネルの最終段階で、リードを顧客に転換するフェーズです。ここでは営業部門が主役となり、マーケティング部門はサポート役に回ります。

    • 個別のニーズに合わせた提案書の作成
    • 詳細な見積もりの提示
    • 導入スケジュールや運用サポート体制の説明
    • 契約条件の交渉と合意形成

    BtoBでは複数の意思決定者が関与するため、それぞれのステークホルダーが求める情報(技術仕様、費用対効果、セキュリティ要件など)を的確に提供できる体制を整えておく必要があります。

    出典:マーケティングファネルとは?効果的な活用方法とフェーズ別の施策例を解説|Sansan

    カスタマージャーニーとファネルの違い

    マーケティングファネルと混同されやすい概念に「カスタマージャーニー」があります。両者は補完関係にあり、BtoBマーケティングではどちらか一方ではなく、併用することでより効果的な戦略を構築できます。

    比較項目 マーケティングファネル カスタマージャーニー
    視点 企業視点 顧客視点
    目的 購買プロセスの段階管理・ボトルネック特定 顧客体験の可視化・タッチポイントの最適化
    構造 漏斗型の段階モデル 時系列のマッピング(感情・行動を含む)
    強み 全体の俯瞰と定量的なプロセス管理 個別の顧客理解とタッチポイントの深掘り
    BtoBでの活用 リード管理・MQL/SQL設計の土台として活用 ペルソナ別のコンテンツ設計に活用

    出典:BtoBマーケティングファネルとは?意味やカスタマージャーニーとの違い・活用例を解説|ALUHA

    実務においては、まずファネルで全体のプロセスと施策の枠組みを設計し、次にカスタマージャーニーマップで各段階における顧客の具体的な行動や心理を掘り下げるという使い方が効果的です。

    デマンドウォーターフォールとは

    リードの分類をより体系的に理解するために、「デマンドウォーターフォール」というフレームワークも押さえておくと役立ちます。デマンドウォーターフォールは、アメリカのBtoBマーケティングリサーチ企業「SiriusDecisions(現Forrester)」が提唱したモデルで、案件創出から受注までのプロセスをウォーターフォール(滝)のように段階的に構造化したものです。

    デマンドウォーターフォール(Demand Waterfall) Inquiry(問い合わせ・接点発生) MAL(育成対象として受入れ) MQL(商談可能と認定) SAL(営業が受入れ) SQL(商談対象として認定) Close(受注) 転換率を計測 各段階間の ボトルネックを 特定できる
    図4:デマンドウォーターフォールの段階構造

    各段階間の転換率(コンバージョン率)を計測することで、プロセス全体のどこにボトルネックがあるかを数値で把握できるのが、このフレームワークの強みです。たとえば、MQL→SALの転換率が低い場合は「マーケティング部門が営業に引き渡すリードの質に問題がある」と推測でき、SAL→SQLの転換率が低い場合は「営業のフォロー体制やヒアリングプロセスに改善の余地がある」といった課題特定が可能になります。

    出典:MQLとSQLの違いとは?マーケティング部門と営業部門の連携のコツを解説|アドエビス

    マーケティング部門と営業部門の連携ポイント

    BtoBマーケティングファネルを効果的に運用するうえで最も重要なのが、マーケティング部門と営業部門の連携です。ここでは、連携を強化するための具体的なポイントを紹介します。

    MQL→SQLの引き渡し基準を合意する

    マーケティング部門と営業部門の間で最も摩擦が生じやすいのが、「どのようなリードをMQLとして引き渡すか」の基準です。マーケティング部門は「十分に育成したリードを渡しているのに、営業が放置している」と感じ、営業部門は「MQLの質が低く、商談につながらない」と感じるケースは多くの企業で見られます。

    この問題を解決するには、MQLとSQLの定義を両部門で共同で策定し、明文化することが不可欠です。スコアリングの閾値、特定のアクション(料金ページの閲覧、見積もり依頼など)をトリガーとしたMQL認定基準、営業が求めるBANTC情報の有無など、具体的な基準を設定し、定期的に見直しましょう。

    リード情報の共有体制を整える

    MQLを営業に引き渡す際には、そのリードがどのようなコンテンツに触れ、どのような関心を持っているかの情報を共有することが重要です。たとえば、「この企業のマーケティング担当者が、3回連続でウェビナーに参加しており、直近では料金ページを閲覧している」という情報があれば、営業は的確なアプローチが可能になります。MAツールとSFA(営業支援ツール)やCRM(顧客管理ツール)を連携させ、リードの行動履歴を一元管理できる環境を構築しましょう。

    定期的なフィードバックミーティングを実施する

    MQLから商談化した案件がどのような結果になったか、営業からマーケティングへのフィードバックを定期的に行う仕組みを作りましょう。確認すべき観点として、以下の項目が挙げられます。

    • どの業種のMQLが商談化しやすかったか
    • どのコンテンツに触れたリードが受注につながったか
    • MQLの基準は現状で適切か、引き上げ・引き下げが必要か

    月次または四半期ごとにレビューを行うことで、ファネル全体の精度を継続的に改善できます。

    出典:【徹底解説】MQLとSQLの違いとは?定義から基準設定、部門連携強化で売上を最大化する方法|Salesforce

    MAツールの活用でファネル運用を効率化する

    BtoBマーケティングファネルの運用を実務レベルで回すには、MA(マーケティングオートメーション)ツールの活用が有効です。MAツールは、リードの行動データ(Webサイトの閲覧履歴、メールの開封・クリック、資料ダウンロードなど)を自動で収集・管理し、スコアリングによってリードの検討度合いを数値化してくれます。

    これにより、人力では把握しきれない大量のリードの状態を効率的に管理し、適切なタイミングでMQLとして営業に引き渡すことが可能になります。またリードナーチャリングの自動化も実現でき、たとえばホワイトペーパーをダウンロードしたリードに対して、1週間後に関連するウェビナーの案内メールを自動送信し、参加した場合はスコアを加算してMQL候補としてフラグを立てるといった一連のプロセスを自動化できます。

    BtoB向け 代表的なMAツール

    ツール名 提供企業 特徴
    Marketo Engage Adobe エンタープライズ向け。高度なスコアリングとSalesforce連携に強み
    Account Engagement(旧Pardot) Salesforce Salesforce CRMとのネイティブ連携。BtoB特化の設計
    HubSpot HubSpot 無料プランあり。CRM・SFA一体型で中小企業にも導入しやすい
    SATORI SATORI 国産MAツール。匿名リードへのアプローチ機能が特徴
    BowNow クラウドサーカス 無料プランあり。シンプルなUI設計で導入ハードルが低い

    自社の規模、予算、既存のCRM/SFAとの連携性を考慮して選定することが重要です。

    まとめ

    マーケティングファネルは、BtoBマーケティングにおいて見込み顧客の購買プロセスを可視化し、各段階で最適な施策を打つための基本フレームワークです。「古い」と言われることもありますが、購買プロセスが長期化し、複数の意思決定者が関与するBtoBビジネスにおいては、依然として有効な考え方です。

    本記事のポイントを改めて整理します。

    1. マーケティングファネルは「認知→興味・関心→比較・検討→購入」の4段階が基本であり、パーチェスファネル、インフルエンスファネル、ダブルファネルの3種類が存在する
    2. BtoBでは購買プロセスの長期化と意思決定者の複数性から、ファネルによる段階的な管理が特に効果を発揮する
    3. リードの状態管理には MAL→MQL→SAL→SQL という段階的な分類が用いられ、これは「デマンドウォーターフォール」に基づいている
    4. 各段階間の転換率を計測することで、ボトルネックの特定と改善が可能になる
    5. ファネル運用の成否を左右するのは、マーケティング部門と営業部門の連携であり、MQL・SQLの定義の合意、MAツールを活用したリード情報の共有、定期的なフィードバックが鍵となる

    まずは自社の現状のリード管理プロセスを振り返り、ファネルのどの段階にボトルネックがあるかを特定することから始めてみてはいかがでしょうか。

    編集者:

    中川 晃次

    再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。

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