BtoB Marketing Insight 2025
Messy Middle時代の
BtoBマーケティング
リニアファネルを超え、非線形バイヤージャーニーにどう対応するか──
海外最新リサーチから読み解く、これからの購買プロセス戦略
「認知→興味→検討→購入」の一直線ファネルに沿って施策を設計してきたBtoBマーケターの皆さんへ。2025年、海外では「ファネル崩壊論」がほぼコンセンサスになりつつあります。本インフォグラフィックでは、Google発の「Messy Middle」、BCGの「Influence Map」など最新フレームワークを、非マーケターの方にもわかりやすく図解します。
本記事の主要リサーチ出典
BCG × Google(2025)
It's Time for Marketers to Move Beyond the Linear Funnel
著者:R. Yu, D. Rodenhausen, Y. Ariav, T. Sponseller, C. Remy
論文を読むGoogle(2020)
Decoding Decisions: Making sense of the messy middle
著者:Alistair Rennie, Jonny Protheroe(Google Market Insights)
関連記事を読むMarketOne × 6sense(2025)
Lighting the Dark Funnel: The UK & Ireland Buyer Journey Revealed
対象:英国・アイルランドのBtoB購買担当者754名
解説記事を読むいま何が起きているのか
BtoB購買プロセスの80%は
セールス担当者が関与しない場面で進行
出典:Gartner
BtoB購買には平均
6〜10名のステークホルダーが関与
出典:Gartner
バイヤーは平均10以上のチャネルを横断して情報収集
出典:Martal Group
「Messy Middle」とは?
Googleが2020年に提唱した概念です。消費者は「きっかけ」から「購買」まで一直線に進むのではなく、その中間地点で探索と評価を何度もループします。BtoBでは、これを組織全体で行うため、さらに複雑になります。
出典:Google "Decoding Decisions" (2020) をもとに作成
なぜ従来のファネルは機能しなくなったのか
バイヤーの自己主導化
営業に会う前に、バイヤーは自力で情報収集をほぼ完了させます。営業との接触を意図的に遅らせるか、完全に避ける傾向が強まっています。
チャネルの爆発的増加
Web、LinkedIn、YouTube、ウェビナー、比較サイト、ポッドキャスト等、バイヤーは10以上のチャネルを自由に行き来しています。
ダークファネルの存在
Slack相談、クローズドコミュニティ、ChatGPTでの調査など、企業が追跡できない場所で購買判断の大部分が進行しています。
合意形成の複雑化
6〜10名のステークホルダーがそれぞれ独自に情報収集し、異なるフェーズを同時並行で進めています。一本道の想定は通用しません。
ダークファネル ── 見えない「氷山の下」
購買プロセスの大部分は、マーケティングツールで計測できない領域で進んでいます。まるで氷山の一角だけが見えている状態です。
※比率はGartner等の調査データに基づく概算
BCGの提言:Influence Map という新しい考え方
BCGはリニアファネルに代わる新しい概念として「Influence Map(インフルエンスマップ)」を提案しました。「どの段階にいるか」ではなく、「どこで影響力を発揮できるか」に焦点を移す考え方です。
従来:リニアファネル
一方向・段階的・予測可能
新:Influence Map
プレイ
バブルの大きさ=影響度 / 段階に縛られない
| 観点 | リニアファネル | Influence Map |
|---|---|---|
| 前提 | バイヤーは段階を順に進む | どの段階にも自由に出入りする |
| 評価軸 | 各段階のコンバージョン率 | 各タッチポイントの影響度 |
| メディア配分 | 上部=認知、下部=CV施策 | 影響度の高い施策に集中投下 |
| 最適化対象 | リーチ(到達数) | インフルエンス(影響力) |
4S Framework:現代のバイヤーの4つの行動
BCGとGoogleの共同研究によると、現代のバイヤーは以下の4つの行動をすべての段階で同時並行に行っています。これらはファネルの特定段階に限定されません。
Scrolling
スクロール
SNSやニュースの流し読み。受動的だがブランド認知の起点に
Streaming
ストリーミング
動画やポッドキャスト視聴。長尺で深い理解を得る
Searching
サーチ
検索エンジンやAIで能動的に情報を探索。比較検討の核心
Shopping
ショッピング
製品ページ確認、デモ申込、トライアル。購買アクションに直結
ポイント:バイヤーはYouTubeで製品デモを見ながら、同時にLinkedInで同業者の評価を確認し、Google検索で競合比較を行い、価格ページを確認しています。すべてが同時に起きているのです。
実務で取り組むべき5つのアクション
ファネルを捨てる必要はありません。しかしファネルだけに頼るのは危険です。非線形の視点をオーバーレイする、ハイブリッドなアプローチが現実的です。
バイヤーの実際の行動パターンを可視化する
既存顧客に「どこで当社を知りましたか」「意思決定の決め手は何でしたか」とシンプルに聞くだけで、ダークファネルの解像度が劇的に上がります。定量データだけでなく、定性的なヒアリングが鍵です。
コンテンツを「購買ジョブ」に紐づける
「ホワイトペーパー=認知用」「事例=検討用」という分類を見直しましょう。問題特定・ソリューション探索・要件整理・サプライヤー選定・検証・コンセンサス形成──どの段階からアクセスしても価値があるコンテンツ設計へ。
ダークファネルに「灯りをともす」
ダークファネルは消せませんが、対処は可能です。
- フォームに「きっかけ」の自由記述欄を追加
- LinkedIn・コミュニティ・ポッドキャストへの自社プレゼンス構築
- インテントデータで匿名段階のバイヤー行動を企業レベルで把握
- 導入事例やUGCを通じた口コミの促進
マーケとセールスの連携を再定義する
MQL→SQLの一方向トスアップだけでなく、バイヤーがジャーニーのどの地点にいても適切な情報にアクセスできる「バイヤーイネーブルメント」の視点を取り入れましょう。
メディア投資を「影響度別」に再評価する
「ファネル段階別」ではなく「影響度別」に整理しましょう。リーチが大きくても影響度が低い施策から、リーチは小さくても影響度が高い施策へのシフトを検討してみてください。
Conclusion
Messy Middle時代を勝ち抜く3つの原則
ファネルを捨てず
視点を重ねる
ファネルの骨格は管理に有効です。しかしその上に非線形の視点をオーバーレイし、バイヤーの実際の動きを捉えましょう。
リーチではなく
影響力を測る
広告が何人に届いたかではなく、どこで影響力を発揮できているかがこれからの競争原理です。
見えない場所に
灯りをともす
購買プロセスの80%はダークファネルで進行しています。観察と傾聴から始めましょう。
まずは自社のバイヤーがどのように情報を収集し、
どこで意思決定の影響を受けているのかを、先入観なく観察することから始めてみてください。
その観察こそが、Messy Middle時代を勝ち抜くための最も確実な第一歩です。
「認知→興味→検討→購入」──この一直線のファネルモデルに沿ってマーケティング施策を設計してきた方は多いのではないでしょうか。しかし2025年現在、海外のBtoBマーケティング界では「ファネル崩壊論」がほぼコンセンサスになりつつあります。
その根拠は明確です。BtoBの購買プロセスの80%は、セールス担当者が関与しない場面で進行しているとされています。バイヤーはLinkedIn、Reddit、ChatGPT、YouTubeなど複数チャネルを自在に横断し、どの段階からでも購買プロセスに入り、どの段階にでも戻ります。もはや予測可能な一本道は存在しません。
BCG(ボストン コンサルティング グループ)は2025年に「It's Time for Marketers to Move Beyond the Linear Funnel(リニアファネルを超えるべき時)」と題した提言を発表しました(出典:BCG)。MarTechの記事でも、バイヤーが自ら道筋を決め、チャネル間を飛び回り、セールスとの接触を遅らせるか完全に避けるようになった現実が報告されています。
本記事では、Googleが提唱した「Messy Middle」の概念を出発点に、BtoBバイヤージャーニーの非線形化がなぜ起きているのか、そしてマーケターは何をすべきなのかを、最新の海外リサーチと実務的な視点から解説します。
1. Messy Middleとは何か──Google発の購買行動モデル
1-1. 概念の起源
「Messy Middle」は、Googleの市場調査チームであるAlistair RennieとJonny Protheroeが2020年に発表した概念です。従来のマーケティングでは、消費者は「トリガー(きっかけ)」から「購買決定」まで直線的に進むと想定されていました。しかし実際には、その中間地点で消費者の行動は極めて混沌としています(出典:The Drum / Google)。
Messy Middleの核心は、Exploration(探索)とEvaluation(評価)の2つのモードを行き来するループ構造にあります。
- Exploration(探索):選択肢を広げる活動です。新しいブランドや製品を発見し、情報を収集する拡張的な行動を指します
- Evaluation(評価):選択肢を絞り込む活動です。比較検討し、候補を減らしていく収束的な行動を指します
消費者はこの2つのモードを何度も往復し、最終的に購買に至ります。あるいは至らないまま離脱します。この行き来のプロセスは予測不能であり、企業側がコントロールすることは極めて困難です。
1-2. BtoCからBtoBへの拡張
Messy Middleは当初BtoCの文脈で提唱されましたが、2025年現在ではBtoBにおいても同様の、あるいはそれ以上に複雑な現象が確認されています(出典:Oban International)。
BtoBの場合、以下の要因がMessy Middleをさらに「messy(混沌)」にしています。
- 意思決定者の多さ:平均的なBtoB購買には6〜10名のステークホルダーが関与し、それぞれが独自に情報収集を行います
- 検討期間の長さ:数週間から数ヶ月、場合によっては1年以上にわたり、バイヤーは探索と評価を繰り返します
- 情報源の多様化:公式サイトやホワイトペーパーだけでなく、LinkedIn投稿、業界コミュニティ、ポッドキャスト、さらにはChatGPTなどのAIツールまでが情報源となっています
つまりBtoBのバイヤーは、「Messy Middle」を一人ではなく組織全体でループしています。コンテンツを再訪問し、ベンダーを比較し、より多くのステークホルダーを巻き込みながら、非線形に購買プロセスを進めているのです。
2. なぜリニアファネルは機能しなくなったのか
2-1. バイヤーの自己主導化
現代のBtoBバイヤーは、営業担当者と接触する前に購買プロセスの大部分を自力で完了させます。Gartnerの調査によれば、2025年のBtoB購買のやりとりの80%はデジタルチャネル上で行われると予測されています(出典:マイノリティ)。バイヤーは自ら道筋を決め、チャネル間を飛び回り、セールスとの接触を意図的に遅らせるか、完全に避けるようになりました。
これは従来のファネル設計の前提──「マーケティングが上部で認知を獲得し、ナーチャリングで育成し、セールスに引き渡す」という直線的な分業──を根底から揺るがす変化です。
2-2. チャネルの爆発的増加
BtoBバイヤーが購買プロセスで利用するチャネルは平均10以上に達するとされています(出典:Martal Group)。Webサイト、検索エンジン、LinkedIn、YouTube、ウェビナー、比較サイト、業界フォーラム、ポッドキャスト、メール、チャットボット──これらを自由に行き来するバイヤーの行動は、リニアファネルの「段階」には収まりません。
2-3. ダークファネルの存在
ダークファネル(Dark Funnel)とは、従来のマーケティングツールでは追跡・計測が困難なバイヤージャーニーの領域を指します(出典:Cooqie Inc.)。具体的には、以下のような場面がダークファネルに該当します。
- SlackやTeamsの社内チャットでの同僚への相談
- クローズドなLinkedInグループやRedditでの情報交換
- ポッドキャストやYouTubeでの製品レビュー視聴
- ChatGPTやPerplexityなどAIツールでの情報収集
- 展示会やカンファレンスでの口頭での評判共有
GA4やMAツールのアトリビューション分析では、これらのタッチポイントは「ダイレクト」や「オーガニック」として集約され、バイヤーが本当にどこで自社を知り、何が意思決定の決め手になったのかが見えなくなります。購買プロセスの大半がこのダークファネル内で進行している以上、リニアファネルの各ステージを計測しても実態は把握できません。
2-4. ステークホルダーの増加と合意形成の複雑化
Gartnerは、BtoBの購買において「6つの購買ジョブ(Buying Jobs)」が並行して進行するフレームワークを提唱しています。問題の特定、ソリューションの探索、要件の整理、サプライヤーの選定、社内での検証、コンセンサスの形成──これらは直線的に進むのではなく、各ステークホルダーがそれぞれのジョブを同時並行で進め、行きつ戻りつしながら合意に至ります。
リニアファネルは「一人のバイヤーが段階を順に進む」ことを暗黙の前提としていました。しかし現実は、複数人がそれぞれ異なるフェーズにいる状態が常態化しているのです。
BtoBの平均的な購買グループは6〜10名の意思決定者で構成され、各ステークホルダーがそれぞれ独自に4〜5件の情報を持ち寄ります。──Gutenberg
3. BCGの提言:「リニアファネルを超えるべき時」
3-1. Influence Map(インフルエンスマップ)という新フレームワーク
BCGは2025年の提言において、リニアファネルに代わる新しい概念としてInfluence Map(インフルエンスマップ)を提案しました(出典:BCG)。
リニアファネルがタッチポイントを「認知→検討→購入」という段階に紐づけるのに対し、Influence Mapは各タッチポイントが購買ジャーニー全体を通じてどれだけの「影響力」を持っているかをマッピングします。
両者の違いを整理すると以下のようになります。
| 観点 | リニアファネル | Influence Map |
|---|---|---|
| 前提 | バイヤーは段階を順に進む | バイヤーはどの段階にも自由に出入りする |
| 評価軸 | 各段階でのコンバージョン率 | 各タッチポイントの影響度 |
| メディア配分 | ファネル上部=認知施策、下部=CV施策 | 影響度の高いタッチポイントに集中投下 |
| 最適化対象 | リーチ(到達数) | インフルエンス(影響力) |
重要なのは、Influence Mapの考え方では「リーチ=影響力」ではないという点です。広告が100万人に届いても、それが購買意思決定に影響を与えていなければ意味がありません。逆に、業界の信頼されるインフルエンサーの一言や、同僚からのSlackでの推薦が、購買を決定づけることがあります。
3-2. 4S Framework:現代のバイヤー行動を捉える4つの行動
BCGとGoogleの共同研究では、現代の消費者(およびBtoBバイヤー)の行動を4つのSで整理しています。
- Scrolling(スクロール):SNSフィードやニュースサイトを流し読みします。受動的ですが、ブランド認知やインスピレーションの起点になります
- Streaming(ストリーミング):動画コンテンツやポッドキャストを視聴します。長尺コンテンツで深い理解を得られます
- Searching(サーチ):検索エンジンやAIツールで能動的に情報を探します。比較検討の核心となる行動です
- Shopping(ショッピング):ECサイトや製品ページで具体的な購買アクションに近づきます。BtoBではデモ申込やトライアル利用が該当します
これらの行動はファネルの特定の段階に紐づくものではなく、すべての段階で同時並行的に起きています。バイヤーはYouTubeで製品デモを見ながら(Streaming)、同時にLinkedInで同業者の評価を確認し(Scrolling)、Google検索で競合比較を行い(Searching)、価格ページを確認します(Shopping)。
3-3. AIがもたらすパラダイムシフト
BCGの提言では、Influence Mapを実効性あるものにするためにAIの活用が不可欠とされています。
- 生成AI:コンテンツのローカライズやパーソナライズをスケーラブルに実行できます
- 予測AI:最も影響力の高いタッチポイントを特定し、メディア予算を最適配分できます
- AI搭載リサーチ:バイヤーが実際にどのような影響経路で購買に至っているかを解析できます
特にBtoBでは、ChatGPTやPerplexityなどの生成AIツールをバイヤー自身が情報収集に活用するようになったことで、従来のSEO施策だけでは検索流入を確保できなくなるという新たな課題も生まれています。
4. 日本のBtoBマーケティングへの示唆
4-1. 「ファネルは完全に死んだ」のか?
ここまでファネルの限界について述べてきましたが、重要なのは「ファネルを完全に捨てる」のではなく「非線形の視点をオーバーレイする」というアプローチです。
日本のBtoB市場において、ファネルモデルが依然として有効な場面は確かに存在します。BtoBでは購買の目的が組織的に定義されており、BtoCのように「途中で興味の対象が変わる」ことが起きにくい特徴があります。また、社内稟議や予算承認というプロセスは本質的に段階的であり、ファネル的な整理が実務の管理に役立ちます。
しかし、バイヤーが各段階をどのように移動するかという「動き方」は確実に非線形化しています。ファネルの「骨格」は維持しつつ、その中でバイヤーがどのように行動しているかをより精緻に捉えるハイブリッドなアプローチが現実的でしょう。
4-2. 実務で取り組むべき5つのアクション
アクション1:バイヤーの実際の行動パターンを可視化する
自社のバイヤーがどのようなジャーニーを辿っているのか、定量データだけでなく定性的なヒアリングを通じて把握しましょう。既存顧客への「どこで当社を知りましたか」「意思決定の決め手は何でしたか」というシンプルな質問(自己申告型アトリビューション)が、ダークファネルの解像度を劇的に上げてくれます。
アクション2:コンテンツを「ファネル段階」ではなく「購買ジョブ」に紐づける
ホワイトペーパーは認知用、事例は検討用──こうした従来の分類を見直しましょう。Gartnerの6つの購買ジョブ(問題特定、ソリューション探索、要件整理、サプライヤー選定、検証、コンセンサス形成)に対応したコンテンツを設計することで、どの段階からアクセスしてきたバイヤーにも価値を提供できます。
アクション3:ダークファネルに「灯りをともす」
ダークファネルは消せませんが、対処は可能です。具体的には以下のような施策が有効です。
- フォームに「当社を知ったきっかけ」の自由記述欄を追加する
- LinkedIn、業界コミュニティ、ポッドキャストなどダークファネル領域への自社プレゼンスを構築する
- インテントデータプロバイダーを活用し、匿名段階のバイヤー行動を企業レベルで把握する
- 顧客成功事例やUGC(ユーザー生成コンテンツ)を通じた口コミを促進する
アクション4:マーケティングとセールスの連携を再定義する
バイヤーが非線形にジャーニーを進める以上、マーケティングからセールスへの「リニアな引き渡し」モデルも見直しが必要です。MQLをSQLに変換してトスアップする一方向のフローだけでなく、バイヤーがジャーニーのどの地点にいても適切な情報にアクセスできるバイヤーイネーブルメントの視点を取り入れることが求められます。
アクション5:Influence Mapの思考でメディア投資を再評価する
自社のメディア投資を「ファネル段階別」ではなく「影響度別」に再整理しましょう。各タッチポイントが実際の購買意思決定にどれだけ影響を与えているかを検証し、リーチが大きくても影響度が低い施策から、リーチは小さくても影響度が高い施策へのリソースシフトを検討してみてください。
5. まとめ:非線形時代のBtoBマーケティングに必要な「姿勢」
Messy Middleの概念が示しているのは、「バイヤーの行動を企業がコントロールできる時代は終わった」という事実です。BCGの提言が示しているのは、「ファネルのどの段階にいるかではなく、どこで影響力を発揮できるかが勝負を分ける」という新しい競争原理です。
これは日本のBtoBマーケターにとって、脅威であると同時に大きなチャンスでもあります。なぜなら、日本市場ではまだ多くの企業がリニアファネルの枠組みだけでマーケティングを設計しており、非線形の視点を取り入れた企業は先行者優位を確保できるからです。
ファネルを捨てる必要はありません。しかし、ファネルだけに頼るのは危険です。
まずは自社のバイヤーがどのように情報を収集し、どこで意思決定の影響を受けているのかを、先入観なく観察することから始めてみてください。その観察こそが、Messy Middle時代を勝ち抜くための最も確実な第一歩になるはずです。
参考情報
- BCG (2025) "It's Time for Marketers to Move Beyond the Linear Funnel"
- Google / The Behavioral Architects "Marketing in the Messy Middle"
- Oban International "Tackling the Messy Middle in B2B Marketing"
- Cooqie Inc. "B2Bマーケティングにおける"ダークファネル""
- tovira "B2Bマーケティングのダークファネル問題を解決する"
- Martal Group "B2B Sales Funnel 2025: AI, Data & Buyer Behavior Shifts"
- MarketOne International & 6sense (2025) "Lighting the Dark Funnel: The UK & Ireland Buyer Journey Revealed"
本記事で取り上げた「Messy Middle」「Influence Map」「4S Framework」などのフレームワークは、自社のBtoBマーケティング戦略を見直す際の出発点としてご活用ください。重要なのは、フレームワークを「知る」ことではなく、自社のバイヤーの実態に合わせて「適用する」ことです。
中川 晃次
再生ファンド傘下の複数企業にて、マーケティングディレクターとして事業再生を牽引。戦略立案から実行まで一貫して手がけ、ECサイトにおいては売上前年比150%成長を5年連続で達成した実績を持つ。現在はマーケティングSaaS「tovira」の開発に加え、BtoB領域のマーケティングコンサルティングを通じて、企業の持続的な成長を支援している。
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